令和4年2月17日 市長記者会見
- 日時
- 令和4年2月17日(木曜日)10時30分〜11時40分
- 場所
- 市庁舎4階会議室
- 出席者
-
帯広市長 米沢 則寿
帯広市副市長 前田 正明、田中 敬二
政策推進部 関口部長、中里参事、石井企画室長、桃井財務室長
総務部 廣瀬部長
市民福祉部 下野部長、五十嵐保健医療担当参事
経済部 相澤部長、吉田商業労働室長、加藤観光交流室長
- 記者数
- 11名(テレビカメラ2台)
会見項目について動画(YouTubeへのリンク)でお伝えします。
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報道機関との質疑応答要旨(テキストデータ)については、会見終了後1週間以内をめどに掲載しています。
会見項目
- 令和4年度予算案について
- 公約に関する取り組み(平成30~令和3年度)について
- 新型コロナウイルス感染症について
記者からの質問
- 義務的経費の増加により、予算の自由度は低下していると思うが、予算編成においてどのような難しさを感じたのか伺う。
- さらなる「ふるさと納税」の増加に向け、どのように全国に帯広の魅力を発信し、知名度を上げていくのか伺う。
- 今後の新型コロナ対策で何が必要と考えるのか伺う。
- 近年、財政規模が膨れ上がってきている状況について要因を伺う。
- 国の「小規模事業者持続化補助金」に対する市の上乗せ補助「小規模事業者緊急支援事業」を計上している。前向きな事業者を支援する制度だと思うが、国の制度の認知や活用状況に関して、市長の認識を伺う。
- 公約の大きな成果、達成できなかった点を伺う。
- 公約推進について、市長の自己評価を伺う。
- 「よつ葉アリーナ十勝」の完成や整備手法などについて、市長の評価や受け止めを伺う、ほか。
- 今年度で終了する中心市街地の再開発事業について、公約とあわせて所感を伺う、ほか。
- 財政健全化に向けて、市長として心がけていたことについて伺う。
- 市長が公約として取り組んできたことを、今後、市民にどう知らせていくのか伺う。
- 新型コロナウイルス感染症対策について、予算の配分で苦労した点など、これまでの取り組みの振り返りを総括的に伺う、ほか。
市長から(要旨)
1 令和4年度予算案について
令和4年度当初予算は、4月に市長選挙を控えておりますので、いわゆる「骨格予算」を編成いたしました。
社会保障関係経費をはじめとする義務的経費や継続事業を中心とした予算になりますが、編成に当たっては地域における感染症の状況などを踏まえ、市民生活に影響が生じないよう留意しながら、作業を進めてきたところであります。
この結果、令和4年度予算案は、帯広市がさまざまな行政サービスを展開していく上で必要となる経費をしっかりと盛り込んだ予算になったと考えております。
- 配布資料1 令和4年度予算(案)の概要 (PDF 1.6MB)
- 配布資料2 令和4年度予算(案)の概要の説明 (PDF 198.0KB)
- 配布資料3 令和3年度帯広市各会計補正予算(案) (PDF 653.2KB)
- 配布資料3-1 令和3年度帯広市各会計補正予算(案)寄附金に関する一覧表 (PDF 1.8MB)
2 公約に関する取り組み(平成30~令和3年度)について
市民の皆さんにお約束した公約について、この間、どのように取り組んできたのかをお伝えするため、配布資料の冊子のとおり、取りまとめました。
私は公約を着実に進めていくことが、十勝・帯広の未来、そして全ての市民の幸せにつながっていくとの思いから、常に公約の進捗を意識しながら全力で市政執行にあたってまいりました。
冊子には、公約に掲げた38の項目ごとに主な取り組みを整理して掲載しています。
災害やコロナなど、想定外のこともありましたが、全ての公約について一定の結果を残すことができたと考えております。
本冊子は、市のホームページに掲載するほか、市役所や図書館、コミュニティセンターなどに配置し、市民の皆さんにお知らせしたいと考えております。
3 新型コロナウイルス感染症について
道内における今週の新規感染者数は前の週を下回ってはいるものの、十勝管内でも100人を超える日があり、依然、高い水準にあります。国は2月20日までを期限としていた、北海道の「まん延防止等重点措置」について延長する方針です。
道は感染状況をふまえ、これまでの取り組みに加え、感染が広がる学校や保育所、高齢者施設での対策を強化しています。
市においても、高齢者施設の現地対策本部や帯広保健所に職員を派遣しているほか、教職員や保育士などを中心に、64歳以下についても3回目接種の前倒しを進めており、2月18日以降、3月に接種時期が到来する人の接種券も順次発送します。
2月15日時点の全市民を母数とした接種率は、全道平均9.4%を上回る15.1%となり、順調に接種が進んでいます。
また、5歳から11歳の小児接種についても、3月に開始できるよう接種体制を整えているところです。
オミクロン株による感染についても、ワクチンを接種した場合、重症化しづらいことが明らかとなっています。市としても、引き続き、接種体制の拡充などに取り組んでまいりますので、接種券がお手元に届きましたら、予約のご検討をお願いいたします。
なお、予約にあたっては、ワクチンの効果や副反応のリスクを十分にご理解いただき、不安な場合はかかりつけ医やコールセンターに相談した上で、接種の判断を行っていただくようお願いいたします。
市民の皆さんや事業者の方々には、感染の拡大を早期に抑え込むためにも、今一度、マスク着用やこまめな手洗い、日々の体調管理など、自分がかからない、人にうつさないための、基本的な感染予防の徹底をよろしくお願いいたします。
記者との質疑応答(要旨)
<北海道新聞社>
3点、伺う。1点目は、社会保障費の増大によって、骨格予算にも関わらず、過去2番目の規模となっている。義務的経費の増加により、予算の自由度は低下していると思うが、予算編成においてどのような難しさを感じたのか伺う。
2点目は、歳入では「ふるさと納税」を中心とした寄附額の増加が目立つが、今後、さらなるふるさと納税の増加に向け、どのように全国に帯広の魅力を発信し、知名度を上げていくのか伺う。
最後の3点目は、オミクロン株の急拡大によって、十勝も連日感染者が100人を超えている状況だが、今後のコロナ対策で何が必要と考えるのか伺う。
<市長>
まず、1点目について。帯広市においても、全国的な傾向と同様に社会保障費が増加しており、財政の硬直性を示す「経常収支比率」は、道内主要都市の平均と比較して同程度あるいは低い状況にあるが、高い水準で推移しており、財政の弾力性は低い状況が続いていると認識している。
このため、令和4年度予算についても、限られた予算の中で最大の効果が得られるよう、各部に編成を指示し、事業の在り方や優先順位、実施手法などを議論しながら編成作業を進めてきたところである。限られた予算となるため、毎年ではあるが、その面で難しいと感じている。
次に2点目のふるさと納税について。今年度、寄附が増加しているところだが、今後は、この地域の大切な資源、自然や食、気風などを、しっかりと受け継いできた我々が、それらをベースとした今の十勝・帯広の動きを、域外の人たちに、どう肌感覚で伝えられるかが重要であると思う。
ふるさと納税は、その地域を応援したい、かつ、その地域の特性に触れたい、という気持ちの2点で構成されている制度。これまで、十勝・帯広の動きを感じていただけるよう、この地域の特性である前向きさを持つチャレンジングな人の塊をつくってきた。また、「十勝って元気だね」と思われるような地域を目指して、食と農の魅力を発信する「フードバレーとかち」にも取り組んできた。元気がある、面白そうな地域だな、応援したいなと思われるような発信が、これからも一層、大切になるのではないかと考えている。
そうした地域の魅力発信と、帯広ならではの返礼品の掘り起こしや開発、取り扱いサイトを閲覧する人数を増やす取り組みなどが結び付いてくることで、ふるさと納税の増加につながっていくものと認識している。
ここ数年、取り扱いサイトを増やしているし、返礼品も充実させてきている。令和2年の返礼品は349品だったが、令和3年の返礼品は461品に増やすことができた。取り扱いサイトも令和2年は6サイトだったが、令和3年は9サイトまで伸ばすことができた。
関係者と一緒になって、いろいろとチャレンジしてきたことが、少しずつ結び付いてきた成果だと感じている。
3点目のコロナ対策について。これまで、地域の実情やワクチン接種の状況のほか、国・北海道の動き、それぞれの役割などを踏まえ、中長期的な視点を忘れずに、感染拡大の状況などに応じた対策を講じてきた。
今回の予算編成に当たっても、国の政策動向を注視しながら、市民生活に影響が生じないよう留意して、作業を進めてきた。国の政策に我々は遅滞なく対応していかなければならない。国のいわゆる「16か月予算」の考え方を踏まえ、令和4年度予算と令和3年度補正予算とを一体的に編成し、令和4年度実施予定事業の前倒しや保育士・幼稚園教諭等の処遇改善に係る経費などを、令和3年度3月補正予算に一部盛り込んだところである。
<十勝毎日新聞社>
2点、伺う。1点目は、先ほどの質問に関連して財政について。今回の骨格予算は、842億円と昨年度に次いで多い。社会保障費の増大と説明されていたが、近年、財政規模が膨れ上がってきている状況について、そのほかの要因や考えられることがあれば伺う。
2点目は、当初予算に計上されている国の「小規模事業者持続化補助金」に対する市の上乗せ補助「小規模事業者緊急支援事業」について。帯広市ではコロナ禍でも前向きに販路拡大に取り組んでいる事業者もいると思うが、この国の制度の認知や活用について、市長はどのように認識しているのか伺う。
<市長>
まず、1点目の予算規模について。ご質問にもあったように、義務的経費である社会保障費の増加が大きいが、ふるさと納税の増加により返礼品等に要する経費の計上額が増えていることも、予算規模が大きくなっている要因としてあげられる。
民生費でいえば、平成30年度で約310億円だったのが、令和3年度には322億円、今般の令和4年度は329億円と増加している。
おびひろ応援寄附金のふるさと納税推進事業も、平成30年度の計上は約3千3百万円だったが、一気に10億5千5百万円まで増加しており、桁違いに大きく膨らんでいる。
また、基本的には、新規・拡充事業は6月補正予算となるが、地域における感染症の状況などを踏まえ、国の制度改正等に伴うものや4月からの対応が必要なものは、今回、計上しているところである。
次に、2点目の前向きな事業者の支援について。国や市などの支援制度があっても、事業者に関心を持ってもらえなければ、活用につながらない。市では、申請窓口の帯広商工会議所と連携しながら、過去に採択された事業者の活用例をホームページ等に掲載するなど、周知方法に意を用いてきたところである。
さらに、感染症の影響が本格化した昨年3月には、「経済産業省支援等相談窓口」を設置し、事業者を直接訪問するなどにより、現在の状況を丁寧にお聞きしながら、申請書の書き方も含めてアドバイスするといった、きめ細やかな支援も行ってきたところ。
こうした取り組みにより、制度の認知度が高まったものと捉えている。国の小規模事業者持続化補助金は、現時点で129件が採択されており、市の上乗せ支援の効果もあると思うが、地元事業者に積極的に活用いただいているものと考えている。
昨年10月に経済部が行った事業者へのヒアリング調査や、他の国補助金の活用状況なども踏まえると、新商品・サービスの開発や販路拡大など、アフターコロナを見据えた事業者の取り組みが増えてきていると感じており、こうした動きを支援することで、地域経済の回復・成長につなげてまいりたい。
第3回事業再構築補助金については、事業所数に占める採択件数の割合が道内主要都市でトップ。小規模事業者の皆さんのアグレッシブさ、前向きさの表れの一つだと感じている。
<北海道新聞社>
公約の大きな成果、逆に、コロナ禍などで達成できなかった点について伺う。
<市長>
すべての項目において取り組みが進捗したと捉えている。
その中で、自分の中でも位置づけが高いと考えられるものを、あえて申し上げるならば、やはり、時間をかけて、私自身も思いを持ちながら、市民の皆さんや議会と議論を重ね策定した「第7期総合計画」。「あおあお ひろびろ いきいき 未来を信じる 帯広」という将来のまちの姿を掲げることができた。
そのほか、いくつか申し上げれば、イノベーション・プログラムを含め創業・起業の促進を、この間、かなり意識して取り組んできた。その一環で、「LAND」も整備した。特に、イノベーション・プログラムは、7期目を迎えることができた。この種のプログラムで、これだけ長く続けることができている地域は、他にはないと思う。
また、全小・中学校における学校図書の整備率100%を達成することができ、教育環境の充実につながった。そして、産前産後サポート事業などによる切れ目のない子育て相談体制の充実、帯広らしい温かい制度ができた。
防災面では、まだ足りない部分はあるが、拠点備蓄倉庫の建設や災害備蓄品の整備ができた。
これらにより、地域活力の向上や安心して暮らせるまちづくりの面で、相応の成果を残せたのではないかと思っている。
取り組みの中には、今後も継続的に実施していくことが必要なものもある。すべての項目で前進し、将来の発展に向けた基盤強化につなげることができたと感じている。
思ったより進まなかったものについては、個別のことというより、この4年のうちの半分が、コロナだったということもあり、多くの人が集まって行うイベントなどにブレーキがかかり、思うに任せない部分があった。そうした面で、できなかったこと、足りなかったことがあったと感じている。
一方で、例えば、GIGAスクール構想の取り組みなど、コロナ禍でアクセルが踏まれた部分も多くあると思っている。この十勝・帯広エリアで、光回線が行き渡るには何年もかかると思っていたが、ここにきて、大きく前に進んだ。また、そうした整備により、新たにできるようになることもあると思っている。
<十勝毎日新聞社>
公約推進について、点数をつけるとすれば、など、市長の自己評価を伺う。
<市長>
38項目すべてで、着実に取り組むことができた。人や投資を呼び込むことが、地域経済の活性化につながるとの信念のもと、特に、基幹産業である農業を中心とした産業振興を基本に、創業・起業や企業立地の促進などに取り組んできた。その基盤がかたちになったのではないかと思っている。
また、教育環境や子育て相談体制の充実、防災など、生活環境の充実を進めてきた。1期目、2期目からの積み重ねがあったからできたという面もあり、単純に3期目だけで達成できたとは考えていない。3期にわたり取り組んだ結果、それなりのかたちになったものと思っている。
また、3期にわたり、帯広だけで進めるのではなく、十勝というひとつのエリアの中で物事を考えてきたことが、成果に結びついたと、改めて感じている。
経済やまちの活性化には、将来への期待感が重要だと思っている。この3期12年の公約を総括すると、「フードバレーとかち」のもとで、将来に対して「この地域がこれからもっと元気になるのでは、面白くなるのでは」、「あそこにいけば何か生まれるのでは」といった期待感を、皆さんに持っていただけるような政策を続けてきた結果、皆さんの未来への期待感、地域としての存在感が生まれてきたのではないかと考えている。
点数については、採点の基準がないので、自分ではつけづらい。市民の皆さんに評価いただくものだと思う。ただ私としては、それなりに成果が目に見えるかたちになってきたことで、ある程度の達成感は感じている。
<北海道新聞社>
「よつ葉アリーナ十勝」の完成が、3期目で市民から見たわかりやすい成果だと思う。新しい手法を取り入れて進められたが、市長の評価や受け止めを伺う。
<市長>
新総合体育館の整備は、大きなプロジェクトだった。ちょうどこけら落としのタイミングで、コロナに見舞われ、スタートダッシュというわけにはいかなかったが、現在まで、多くの皆さんにご利用いただき、「よかった」との声もいただいている。
市の借金をできるだけ増加させず、民間の資金、活力を使って公共施設を整備・運営していく、いわゆる「PFI」の手法をとった。帯広市では初めてのことで、画期的なプロジェクトだったと思っている。施設を使っていただいたプロスポーツチームやアーティストから、施設の使い勝手や設備・音響などについて、お褒めの言葉もいただいている。市民の皆さんにも健康づくり、子どもの遊び場として活用いただいており、この施設を評価いただいていることを、うれしく感じている。
PFIを活用した整備を通じて、これからの時代に沿ったかたちで、さまざまなプロジェクトを進めていくことの重要性を認識した。国内では、ゼネコンなど大手企業がPFI事業を請け負うことが多いが、今回の帯広でのPFI事業は、「十勝型」と言うと大げさかもしれないが、十勝の企業が共同企業体となって、事業を請け負っていただいた。あれだけのプロジェクトに対して、十勝の中で、共同企業体を組める力のある企業、金融機関があるということが、事業の成就に向けての重要なポイントではないかと思っている。かつ、ネーミングライツの面でも、十勝らしいスポンサー企業についていただけた。
こうしたことからも、「よつ葉アリーナ十勝」の供用開始は、大きなものだと思っている。
<北海道新聞社>
自主財源の確保が難しい中で、PFIや空港の民営化など民間活力の活用のほか、地域の稼ぐ力を高めることが重要になってくると思う。その上での、十勝・帯広における課題や今後の考えについて伺う。
<市長>
一般的に、地方は、新しいものに対して慎重な面があると思う。特に新しい金融手法に対して、手を出しづらいものだと思う。ただ、十勝の皆さんは、あまり躊躇せずに前向きに考えていると感じている。
空港運営の民間委託も同じで、「民営化」の意義や効果はなかなかわかりづらく、将来価値から割り戻して今を考えるような複雑な点を、帯広では、市議会を含めてしっかりと理解していただけた。
ご質問にあった「稼ぐ」ということは、新しいお金を外から獲ってくることだけではなく、出ていくお金を出ないようにすることとの合わせ技だと思う。そういう面では、PFIや民営化といった手法は、将来に対する夢に値段をつけて、出ていくお金をどれだけ少なくするかといった考え方が中心になる。
この4年間の中で、こうした民間活用の手法を受け入れていただけたということは、十勝・帯広の人たちが未来志向であり、未来に自信を持って足もとをしっかりと固めていくという意識、姿勢の表れではないか。そういう面でも、素晴らしい地域になっていけると期待している。
<北海道建設新聞社>
今年度で、中心市街地の再開発事業が終了する。市も支援してきた事業だが、公約とあわせて所感を伺う。
<市長>
西3条南9丁目の再開発事業については、市民の皆さんの関心も高く、市議会でも議論いただいてきたところ。こうしたプロジェクトは、何年にもわたるもので、それを遅滞なく、無事終われたことに安堵しているところ。
私もかつての職で経験したが、例えば大きな工場をつくるのには5~6年かかる。この間、どんな経済状況のもとで工場の建設を始め、いつ稼働し、どう収益を上げていくか、ということが重要になる。経済の好況、不況のタイミングと、大きなプロジェクトの成功は、リンクしている。西3・9再開発事業に関して言えば、例えばスタートがあと2年遅れていたら、コロナの影響や資材の高騰のほか、今後の世界情勢から株価が下がりつつあり、金利も従来と違った方向へ行くことも考えられる中で、事業の成否にどんな影響が及んだだろうか。
当初のスケジュールから多少の変更はあったが、国とのやりとりも概ね順調に進んできている。それぞれの立場で、すべて予定どおりとはいかないかもしれないが、我々行政としてお手伝いした部分について申し上げれば、大きな齟齬や遅滞がなくプロジェクトが終わったことに関しては、安堵している。
<北海道建設新聞社>
完成後、今後の中心市街地の活性化への期待について伺う。
<市長>
かつての建物があの場所に残っている姿と、現在の建物があるのとで、どう感じるだろうか。以前のままで、今回のプロジェクトが進んでいなかった場合と比較すれば、少なくとも、現在の帯広のまちの見え方は、違う。あの場所に住んでいる方々もいて、その経済効果もある。今後、帯広への期待感の中で、企業の方々がお越しになっていただければ、建物の利用などの可能性も出てくる。
将来への可能性があることと、将来、何をしていいかわからないことの差というのは、大きい。まちづくりにおいても同じ。私は、このコロナ、先行きの見えない経済といった環境下で、西3条南9丁目が今の姿になっているということが、これからの帯広の発展、まちなかの活性化を考えていくうえで、プラスであると信じて疑っていない。
<朝日新聞社>
3期12年、財政健全化に向けて、市長として心がけていたことについて伺う。
<市長>
財政の健全性を測る指標は、健全に推移していると認識している。
実質公債費比率は、私が市長に就任した平成22年には11.7%だったものが、令和2年度には8.7%になった。また、将来負担比率は、同じく110.2%だったものが、70.2%と、いずれも指標は向上してきている。
年度によって増減はあるが、市債の計画的な発行に努めてきたことなどの結果として表れてきており、市債残高についても、平成22年度に968億円だったものが、令和2年度に823億円と、徐々に減少してきている。
また、自主財源の根幹である市税収入については、平成22年度に213億円だったものが、令和2年度に225億円へ増加している。このほか、新たな自主財源の確保のため、広告事業の拡大や、ふるさと納税、大口の寄附の獲得などに取り組んできている。
財政の健全化に向けて、できることは常に意識して取り組んできたが、特に、自主財源、税収を増やしていくための一環として、起業・創業の促進に取り組んできた。帯広には、大きな企業はほとんどなく、中小企業がほとんどである。新しい企業が生まれ、収益を上げていくことが税収につながる。人口減少局面では、個人からの税収よりも、法人からの税収をいかに増やしていけるかが重要となる。少し時間がかかる取り組みだが、続けてきたことで、この地域に関心を持ってもらえるようにもなり、土地の価格も、ここにきて上昇してきている。
企業の収益と固定資産税が安定した収入源となるが、これらを増やしていくことが、「フードバレーとかち」のねらいだった。3期目になって、こうした動きが、皆さんにもわかっていただけるようになってきたのではないか。札幌圏を除いて、人口減少が最も緩やかな地域であり、土地の価格も、札幌圏以外で上昇しているのは帯広くらいである。これは、1年や2年では、できない。
マネジメントというのは、民間でいう「貸借対照表」や「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」をきちんと眺めながら、何をどこで手を打つか、ということだと思う。公会計はそれと全く同じではないが、そうした感覚でやっていくことが大切。お金が出ていくことをできるだけ抑え、将来のこのまちの価値を現金化していくということ。要するに、どこまでいっても、この地域の将来性。その将来性を、住んでいる人、この地域に投資をしようかと考えている人、みんなに感じていただけるような施策を、12年間かけてやってきた。
ただ、経常収支比率は、高い水準で推移しており、財政の弾力性が低い状況にある。その中で、我々のような地方自治体の行政は何ができるのかといえば、繰り返しになるが、市民の皆さんが、将来に向けて夢を持って、夢を感じてくれて、また、ここで夢が実現できると感じてくれる状況を、どうつくり上げていけるか、ということに尽きるのではないかと感じている。
<北海道新聞社>
市長が公約として取り組んできたことを、今後、市民にどう知らせていくのか伺う。
<市長>
2期目を終えるときに、情報発信不足だと指摘されたことを反省し、3期目になってから、定例記者会見をやらせていただいた。また、SNSなど従来なかったツールも使って、皆さんに発信をしてきた。
ただ、今回の公約の達成状況がどうだったということは別にしても、そんなに皆さんが、この公約に関する取り組みの冊子を一斉に読んでいただけるような状況がつくれるとは考えていない。
これは、まちづくりにどれだけ関心を持っていただけるかにかかっていると思う。さまざまな資料を、できるだけわかりやすく作成してきているが、多くの市民の皆さんにご理解いただけるまでは至っていない。今日、明日で解決できる問題だとは思っていないが、関心を持っていただいたときに、すぐに調べられる状況にはしておかなければならないと思う。
また、私はもう3期目を終える立場だが、市民の皆さんとのまちづくりについて意見交換ができるような場も必要だと思う。市民の皆さんが、帯広のまちづくりにさらに関心を持っていただけるようになればいい。
行政としては、市民の皆さんが、まちづくりについて調べたいときに調べられる状況をつくる、わかってもらうための資料をつくる、といったことを意識していかなければならないと思っている。
<十勝毎日新聞社>
新型コロナウイルス感染症対策について、これまで、国の地方創生臨時交付金を活用し、その都度、補正予算を組みながら対策を講じてきたと思う。支援を求める要望や議会論議などがあった中で、先を見据えたGIGAスクールの整備や農村地区の光回線の整備などと、今、困っている人への生活支援などについて、バランスを見ながら予算を配分されてきたと思うが、これまでの取り組みの振り返りを総括的に伺う。市長は、アカウンタビリティを果たさなくてはいけない、と議会で発言されたこともあったが、その面での苦労や配分の考え方などがあれば伺う。
<市長>
繰り返しになるが、これまで中長期的な視点を持ちながら、感染拡大の状況などに応じた対策を講じてきた。地方創生臨時交付金の使途については、議会も含めてご議論いただきながら、地域経済や住民生活への支援、事業継続や雇用維持等への対応など、さまざまなことに目配りしてきた。
その上で、アフターコロナ、ウィズコロナにおいて、地域経済をどのように活性化していくのか考えていかなければならない。十勝・帯広が持つ文化や歴史、資源は、こうした時代に輝きを増す可能性があるものが多いと感じている。我々が頑張ることで、アフターコロナにおける日本・北海道の在り方のフロンティアとして、先を行くことができるのではないかと思う。
最近、特に感じているが、「この種のビジネスに取り組む人はいなかった」と思うような、これまで十勝・帯広にいなかったタイプの人たちが、この12年間の取り組みを通じて、随分とここに来ていただけるようになり、ここから発信もしてくれている。このタイミングでそういった人たちのお力を借りることもできるようになった。
そうしたことからも、今、この地域は注目を浴びているのではないかと感じている。コロナ禍を契機にさらに加速していけることもある。我々としては、しっかりとその動きをつかまえていきたい。
その流れの中で、今、困窮しているのはどの分野の事業者なのか、どのような支援をしていくのか、経済部を中心にアンテナを高くして、対応していかなければならないと思う。
「アカウンタビリティ」という単語はよく説明責任と訳されるが、自分もしっかりわかっているのか、他人に対しても説明できるのか、それを確認することだと思う。
判断をするときに、説明がつくことなのか、思いつきではないか、今だけではなく持続的にできるのか、そんな基準を持てるようにしていかなければならない。地方創生臨時交付金の使い道を考える場合にも、必要なことは同じ。
ある業界のために何かをすると別の業界では困ることもある。全体像を見て、ものごとを判断していくこと、独りよがりではないことが大切。多様な業界があることで経済が回る。
SDGsにも掲げられている「多様性」と「持続可能性」がこれから大切な時代になってくると思う。今後のコロナ対策を考えていく上でも、その視点を忘れずにしっかりとやっていかなければならない。
<十勝毎日新聞社>
1年前と今とでは、コロナの状況も変わってきていると思う。いろいろなことがわからなかった時期から比べると、アフターコロナ、出口を見据えたことも考えなくてはいけない時期になっている。
ちょうど今日で、国内のワクチン接種が始まってから1年となる。ワクチン接種が進み、状況が変化する中で、コロナ対策も段階に応じて変化していくと思うが、まだ交付金の限度額の残額が6億5千万円あるとのことであり、今後、その残額も活用しながら、対策を講じていくと思う。市長は、以前、アウトドア振興など磨き上げの余地がまだあると仰っていたが、このコロナ禍の2年間を踏まえて、もう少し先のことについて、どんな対策があるのか考えを伺う。
<市長>
市長としての任期が残り2か月ほどとなり、先の話をするのは適当ではないかもしれないが、我々がこの地域で、これから何をしていかなければならないのかと考える時に、一般論として外せない部分は、やはり十勝・帯広の文化・歴史と資源。そして、そのど真ん中にあるのは、恐らく「食」。そう思い「フードバレーとかち」にも取り組んできた。
アフターコロナにおいて、「食」の周りでどんな価値をつくっていけるのか、これからみんなでしっかり考えなければならないと思う。なぜなら、我々にとって一番の競争有利な資源であるから。
人類の歴史は「食」の歴史だといわれている。何を食べてきたのか、どうやって食べてきたのか、誰と食べてきたのか、そして食べながら何を決めてきたのか、と考えていくと、結局、人類の歴史の中心は、食の歴史ではないかと思う。
コロナ禍において、我々は、この生活パターンでいいのか、何が大切なのか、いろいろなことを考え始めた。そこでも真ん中になるのは、「食」ではないだろうか。
このまちの将来を考えていくときに、これからの「食」にみんながどんな価値を見出すのか、または求めるのか、それに十勝・帯広は何ができるのか、ということを考える大切なタイミングになってきていると思う。
【以上】
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