平成22年11月 市長記者会見

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ページ番号1001215  更新日 2020年12月14日

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とき
11月29日(月曜)10時00分〜10時30分
ところ
市庁舎4階 会議室
出席者
米沢市長
産業連携室 都鳥主幹 小野副主幹

写真:記者会見の様子

「フードバレーとかち」第2回講演会について

資料1にありますとおり「フードバレーとかち」第2回講演会についてお知らせをさせていただきます。
フードバレーのまちづくりに取り組んでいる先輩格にあたります、静岡県富士宮市の小室直義(こむろ なおよし)市長をお招きして、12月11日、土曜日午後6時から、とかちプラザで開催いたします。私も、講演会の後半で小室市長と対談させていただく企画を予定しています。

今年の8月20日に私が富士宮市にお伺いして、小室市長と「フードバレー交流に関する共同声明」に調印してまいりました。小室市長は、フードバレーという言葉を市役所で商標登録するというビックリするようなことをされた方であり、大変ユニークな取り組みをまちとして行っています。調印式の時、印象的なお話をいっぱいお聞きし、「これからフードバレーという言葉を使って地域興しをお互いにやっていきましょう」とお声を掛けていただきました。

第3回のフードバレーとかち講演会になりますが、1月19日、水曜日に北海道中小企業家同友会帯広支部のご協力をいただき、同じ富士宮市から全国B−1グランプリで有名になりました「富士宮やきそば学会」の会長「渡辺英彦(わたなべ ひでひこ)さん」をお招きして開催を予定しています。

富士宮市は、まちづくりに行政が旗をたくさん振っているわけではなく、フードバレーをやろうよと声を掛けた後で、食べ物ごとのいろいろな学会を作って市民活動で盛り上げていると伺いました。今回、アイディアあふれる事業を展開している民間の方々と交流を図っていきたいと思います。食を中心としたまちづくりのトップランナーである富士宮市から、2回目、3回目とお二人をお招きすることになりました。

フードバレーのさまざまな取り組みや裏方のご苦労、まちづくりにどのような効果があったかなどについて、直接、お聞きできることを楽しみにしています。ぜひ、多くの方に参加していただき、フードバレーとかちのこれからを皆さんと一緒に考えていく一つのきっかけにしたいと思います。このような講演会を継続的に行い、まちの中でフードバレーについて考える機会を提供してまいりたいと考えています。

報道について、告知も含めてよろしくお願いします。

コーネル大学を核とする地域フードクラスター調査について

次に、11月13日から19日まで、7日間の日程で、「コーネル大学を核とする地域フードクラスター」の調査を行って参りました。アメリカ合衆国ニューヨーク州イサカ市に本部を置くコーネル大学を中心に、地域フードクラスターを調査する調査団の一員として参加しました。

私自身、コーネル大学は初めての訪問です。農業分野における全米屈指の大学といわれています。正確な数字はありませんが、アメリカで農業というと3つの大学が有名であり、東部ではコーネル大学、中央部ではウィスコンシン州立大学、ここは酪農関係が有名で、帯広と国際姉妹都市の関係にあるマディソン校です。西部は、カリフォルニア大学のデービス校、ここはナパバレーのワインの開発とまちづくりで有名になりました。今回訪問しましたコーネル大学は、アメリカで一番初めに獣医学部を創設した大学で、アメリカ国内のある調査ですが、ここ10年間獣医学部で全米ナンバーワンの大学と聞いています。

コーネル大学を訪問した実質3日間に、農業生命科学学部や食品科学学部、作物土壌学部、獣医学部など、25人の教授などにお会いし、世界の先端研究の興味深いお話を多くお聞きすることができました。大変な過密日程でしたが、同じキャンパスの中でしたので、予定どおりお会いすることができました。
その中で特に印象に残ったこと、それぞれの学部でいろいろな角度からお話を伺った中でよく出てきた言葉は、次の4つです。

  • グローバル(global)
  • サスティナビリティ(sustainability)
  • ダイバーシティ(diversity)
  • ワン ヘルス(one health)

自分なりに解釈すると4つの言葉は、ベースが一緒であると感じました。
グローバルとは地球規模の、ひとつのまとまりとしての地球全体、ひとつの塊として物を見るというグローバルですね。

サスティナビリティは、持続可能性という意味ですが、私の拡大解釈になりますが、地域やコミュニティ、国などがこれからも持続可能であることを常に意識した動きをしていかなければならない。例えばまちづくりの設計も拡大していけばいいというものではなく、都市計画の中でコンパクトシティーという議論でサスティナビリティという言葉がよく出てきます。

ダイバーシティですが、生物多様性という意味で使われている言葉です。昨年のアメリカ大統領選挙の時に「イエスウイキャン(Yes we can)」に次いで、民族の多様性などという意味でよく使われていました。一つの色に染めてしまう、一つの種に限られてしまったなら、何か大きな危機が発生した時にバタバタといってしまいます。サスティナビリティと重なってきますが、持続可能なものを作っていくというときには多様性がなければいけないと。特に今回食品関係の方と話をしましたので、その中で多く使われていました。世界が1つか2つの企業で独占されたとしたら、その企業の食品の中に何か異物混入または汚染があった場合、世界中でその食品が食べられない現象が起きてしまうということです。

ワン ヘルスは、ワンは1つで、ヘルスは健康。意味が分からず聞いたのですが、ある部分だけが健康ということはありなえない。土壌が健康でなければそこで生育する植物は健康でない。それを食べている動物は健康でない。そして、その動物を食べている人間は健康でない。このようにぐるっとまわるというお話でした。地域の開発であったり、フードバレーとかちと言っていますが、全体のバランスをしっかり考えてやっていかなければならないと研究者のトップでも考えていることを実感しました。

特にグローバルは前から言われていますが、ダイバーシティですとかサスティナビリティは、まちづくりの中での、例えば交通機関や医療機関の問題など、将来までも考えた上で実行していかなければならないと改めて感じさせられました。

マディソン校と帯広はこれまでの歴史もありコンタクトができた所、また、コンタクトがある所と交流を図りながら、十勝・帯広のフードバレーを皆で考えていきたいと思っています。
国際戦略総合特区も含めてですが、十勝を大きく世界にPRしていこうと考えている時、ネットワークもグローバルに作っていかなければならないと思いますし、国際戦略総合特区を標ぼうするのであれば、世界レベルで物事を考えたり、これからの投資も世界を意識してやっていかなければならないと感じてきました。

私からの報告は、以上です。

資料

報道機関との質疑応答要旨

(報道)コーネル大学での実際の研究を調査し、その中で十勝・帯広で取り組める項目はあったか。

(市長)ずいぶん示唆的なことがありました。コーネル大学は獣医学部で有名といいましたが、食品関係でもアメリカのFDA(食品医薬品局:Food and Drug Administration)などへ人材を輩出しています。

例えばGAP(農業生産工程管理:Good Agricultural Practice)です。農業、農場をどうやって行うと安全なものとして認識してもらえるかのスタンダードを研究しているのですが、これからの食品業界における安全を考えていく上で進んだ事例を聞くことができました。大学で話し合われ、産業界とつながり、まち、地域が発展していくというアメリカ型のモデルを見せていただいきました。

獣医学部ではBSE(牛海綿状脳症:Bovine Spongiform Encephalopathy)や口蹄疫の危機管理について話を伺ってきました。これから帯広での産官学というつながりを作っていく上でも非常に参考になりました。

(報道)今回の調査項目の中でさっそく取り組もうという具体例はあるか。

(市長)調査に一緒に行った方々がいろいろな議論をしていました。まだ、みなさんと具体的な話はしていません。

姉妹都市のマディソンへは、民間の方が先日行き、その報告も聞けるであろうということと私も今後行く機会があると思いましたので、今回、他の方と多面的に議論できるようにコーネル大学に行かせていただきました。どう地域に大学の知を持っていくかという視点で聞いてきました。日本の現状や大学のあり方が随分違うという印象を受けましたが、できれば帯広畜産大学の先生たちと話してみたいと思います。

(報道)今回の調査結果とTPP(環太平洋パートナーシップ協定:Trans-Pacific Partnership Agreement)に対する地元での流れとの兼ね合いをどう考えるか。

(市長)昨日28日の「TPPから食卓と地域社会を守る十勝大会」の会場では皆さん10月1日に突然TPPの話が出できて驚いたということでした。私は、4月の選挙の時からフードバレーとかちを申し上げており、TPPの話が出たから急にこれをもっとしなければならないということではありません。

地域の活力を作っていく上でやっていかなければならないことであり、国際戦略総合特区も9月の段階で提出している話で同様と考えています。TPPなど貿易に関する協定などは一方で進んでいくと思いますが、進んでも進まなくても、十勝・帯広の地域づくりはこれを抜きでは考えられないと思います。

十勝・帯広での方向は何も変わらないと思います。改めてみなさんと一緒に軸をぶらさずに、しなければならないことはしっかりやっていかなければならないと思っています。

(報道)軸というのは「農業の国際競争力、食の国際競争力」ということか。

(市長)まず、これからの十勝の農業はどうあるべきかを皆さんと議論しなければならないと思います。その中で日本国内のマーケット、海外のマーケットなど、どういうマーケットにどういう照準を合わせて十勝・帯広の農業を考えていくかという議論ということです。

国内だけで消費できない、外に持っていった方が付加価値を高く認められるなら外に持っていってもいいのではないか。逆に環境変化の中で、国内における評価が高まるかもしれません。日本国内において「安全」を中心に考えた時に今以上に需要が高まるのではないかと思います。

我々ができること、やらなければならないことと環境の変化の中で何が今までと違うかを議論し、まちづくりの旗印のフードバレーの中でやっていくことと思っています。

(報道)TPPは日本を除いて世界の流れと思われるが、世界レベルで物事を考えるとした場合、協議に参加しないとネットワークを作りづらいのではないか。こうした整合性について、現時点の考え方を伺う。

また、事業仕分けで総合特区の予算計上が見送りになったが、仮に実現できなかった場合、練り上げてきた計画などはどうなるのか。

(市長)TPPは貿易の枠組みであり、農業をどうしていくかということと農業生産物をどう持っていくかということとはそのままつながらないと思っています。きちんとした良い物を作っていけるか、自分たちが考えているコンセプトの物を作っていけるかということです。海外とのネットワークというときに、例えば技術提携を行ったり大学との連携を行ったりすることは、貿易協定とは関係ない話だと考えています。

全く関係ないということはないかもしれませんが、入口のところでふらふらしてはいけないということで、先程、軸ということでお話をさせていただきました。

国際戦略総合特区のことですが、特区があったのでフードバレーを始めた訳ではありません。十勝としてスクラムを組んで物事を進めていこうとする時に格好の事業があったということです。国際戦略総合特区そのものが否定された訳ではありませんが、今のところ他の選択肢はありません。もし、国際総合特区の法案が、来年、できないということになったとしても、新たに設置される国の「食と農林漁業の再生推進本部」で協議をする時に1100パーセントの食料自給率を保持している十勝の農業を全く無視して進むとは考えていません。我々の取り組みが国の成長戦略の流れからかけ離れているとは思っていません。変わらずにやっていけば、どこかで重なっていくのではないかと思っています。

(報道)公共施設の使用料を今回改訂する予定とのことであるが、使用料に対しての考え方を伺う。

(市長)その都度、いろいろな環境の中で積算をしてきた結果だと思いますが、なぜ乖離が出たのか分析して、乖離がないようにしていくこと、みなさんが納得できるようにしていく、公共施設の使用料はいかなるものかをきちんとやっていくことかと思います。

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