生物多様性保全事業について

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ページ番号1003715  更新日 2020年12月14日

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本業務は、帯広市内の自然環境について、業務位置において生物の多様さをはぐくむいしずえになる植生、とくに森林の状況を把握することで、自然環境の保全に必要な基礎的データを収集し、帯広市環境基本計画に掲げる大きな基本目標である「多様な動植物の生息環境を保全するため」に実施しました。

事業概要

業務位置

帯広市農村地区※:30,770.5ヘクタール※帯広市から市街化区域及び標高300メートル以上の山間地区を除いた範囲

調査対象

写真:調査対象イメージ

業務位置において、下記の項目を対象に調査を行いました。

  1. 植生にまつわる資料収集と記載種の調査
  2. 森林の分布状況
  3. いくつかの森林における詳しい調査

調査期間

平成23年4月28日から平成23年11月30日

事業報告

1.植生にまつわる資料収集と記載種の調査

地図
収集資料と調査場所の位置図

調査は、のべ38点の資料を収集し、平成23年度までに確認された植生や植物種の状況を調査しました。その結果、119科1035種の植物が確認され、そのうち36科64種の貴重な種(注1).を確認しました。収集した資料の調査位置は下図に示す通りです。

また、調査対象にある森林を天然林と人工林に分けて、生育する樹木により11の植生に分類しました。分類結果と植生の概要は下記の表1の通りです。

注1.下記の区分に該当する種を貴重な種と定義しました。

  1. 文化財保護法(昭和25年5月30日法律第214号)により指定されている特別天然記念物、天然記念物
  2. 「北海道文化財保護条例」(昭和30年11月30日条例第83号)により指定されている天然記念物
  3. 絶滅のおそれのある野生生物の種の保存に関する法律(平成4年6月5日法律第75号)により指定されている(特定)指定国内希少野生動植物種
  4. 北海道希少野生動植物の保護に関する条例(平成13年3月30日条例第4号) により指定されている(特定)指定希少野生動植物種
  5. 絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト-レッドリスト(環境省、2007)に記載のある種
  6. 北海道レッドデータブック(北海道、2001)に記載のある種

表1 森林の分類と植生の概要

天然林
森林の分類 植生の概要
カシワ-ミズナラ林 カシワかミズナラが優占または、混生する乾性林
シラカンバ-ミズナラ林 ミズナラかシラカンバが優占または、混生する林
主に伐採後成立した二次林
ハルニレ-ミズナラ複成林 主に段丘の斜面上に成立し、斜面下部にハルニレやヤチダモ、斜面上部にミズナラやカシワなどが生育する林。林床はミヤコザサが多く生育
ハルニレ-ヤチダモ林 ハルニレかヤチダモが優占または、混生する湿性林で、ハンノキとの混生も見られる
林床はミヤコザサやオシダ、スゲ属の仲間が多い
ハンノキ林 ハンノキが優占する湿性林で、林床は、ミヤコザサやオシダ、スゲ属の仲間が多く見られる
ハルニレやヤチダモが多く混生する場合は、ハルニレ-ヤチダモ林に含める
ヤナギ林 主に河川沿いでヤナギ類(オノエヤナギ・エゾノキヌヤナギ・ドロヤナギ・ケショウヤナギ・オオバヤナギ等)が優占し、ケヤマハンノキやシラカンバが混生する河畔林
人工林
森林の分類 植生の概要
常緑針葉樹植林 常緑針葉樹が優占する人工林
トドマツ、アカエゾマツ、ストローブマツ、チョウセンゴヨウ等
落葉針葉樹植林 カラマツが優占する人工林
落葉広葉樹植林 落葉広葉樹(シラカンバ、ヤチダモなど)が優占する人工林
常緑落葉針葉樹植林 常緑針葉樹とカラマツが混植されている人工林
針広混交植林 針葉樹と広葉樹が混植されている人工林

※本凡例は、環境省植生図の凡例とは異なります。

2.森林の分布状況について

本調査では、数値地図、航空写真、植生図(環境省)や防風林調査(平成15・16年度十勝農村観光資源調査事業委託業務報告書)を利用して森林の分類図を作成しました。使用した図面等の作成年度は表2の通りです。調査結果は下記のPDFファイルをご覧ください。

表2 図面の作成年度

図面 作成年度
数値地図(祥栄) 平成18年5月1日
数値地図(帯広北部) 平成19年12月1日
数値地図(芽室) 平成18年5月1日
数値地図(帯広南部) 平成18年5月1日
数値地図(上帯広) 平成20年2月1日
数値地図(大正) 平成18年5月1日
数値地図(拓成) 平成19年8月1日
数値地図(十勝清川) 平成20年2月1日
数値地図(中札内) 平成22年8月1日
数値地図(岩内川上流) 平成13年11月1日
航空写真 平成20年、平成21年(帯広市撮影)
環境省植生図(祥栄) 平成13年(平成9年)
環境省植生図(帯広北部) 平成13年(平成9年)
環境省植生図(芽室) 平成13年(平成10年)
環境省植生図(帯広南部) 平成13年(平成10年)
環境省植生図(上帯広) 平成13年(平成10年)
環境省植生図(大正) 平成13年(平成10年)
環境省植生図(十勝清川) 平成13年(平成11年)
環境省植生図(中札内) 平成13年(平成10年)
環境省植生図(札内岳) 昭和56年発行、昭和54年調査
環境省植生図(札内川上流) 昭和56年発行、昭和54年調査

※環境省植生図の括弧内の年度は、植生図の判読に用いた空中写真の撮影年月を示す。

地図:森林の分布状況

3.いくつかの森林における詳しい調査

写真:森林

郊外に点在する孤立林等から6か所を選び植生調査を行いました。調査は夏(7~9月)に行われ、任意ルート調査、群落組成調査、毎木調査、植生断面調査を実施しました。

それぞれの調査地点と調査内容の対応表(表2及び及び表3)を下記に示します。なお、地点4から地点6は帯広市自然環境保全条例により、帯広市自然環境保全地区に指定されている森林です。

表2 調査地点とその特徴

地点1

桜木町の斜面上に成立している林で、林床はミヤコザサ、キツリフネ、シダ類が優占しており、高標高側はやや乾いた植生、低標高側はやや湿った植生が見られます。林内では貴重種が2種発見されました。稚樹や幼木が大変多くみられ、これらの若木がどう生育するかで、今後の森の様子が決まってくると考えられます。

所在
帯広市桜木町
森林区分
湿生林
林冠優占種
ハンノキ・ハルニレ
地点2

小河川が林内を流れる林で、林床は、トクサ、フッキソウ、スゲ類、エゾイラクサ、ミヤコザサなどに覆われています。林内では貴重種が6種確認されました。現在、林内で最も大きな木はドロノキですが、この林ではこの後、勢力が衰えハルニレ、ヤチダモやミズナラ、今はまだ小さなエゾイタヤなどが取って代わると考えられます。

所在
帯広市昭和町
森林区分
湿生林
林冠優占種
ドロノキ・ヤチダモ・ミズナラ
地点3

地点2と同じく小河川が林内を流れる林で、林床は、雑草種も多いのですが、ミヤコザサ、フッキソウが主です。林内に現れる植物種は多く貴重種も見られます。胸高直径50センチメートルを超える大きなハルニレやミズナラが見られることが特徴です。この林は大木から幼木までまんべんなく生育しており、今後もハルニレ、ヤチダモ、ミズナラを中心に維持されていくと考えられます。

所在
帯広市昭和町
森林区分
湿生林
林冠優占種
ハルニレ・ミズナラ・ヤチダモ
地点4

帯広市自然環境保全地区(上帯広ハンノキ林)として指定された林です。ハンノキ以外にカシワやミズナラ、シラカンバが優占する部分も一部にみられ、林床はミヤコザサが広く優占しており、乾燥化が見られます。また、ハンノキの若木が確認できないため、順調な世代交代が行われておらず、今後長期的にはハンノキ林を維持することは困難と考えられ、ハルニレやミズナラ等に置き換わっていくと思われます。

所在
帯広市上帯広町
森林区分
湿生林
林冠優占種
ハンノキ
地点5

帯広市自然環境保全地区(上帯広河畔林)として指定された林です。かつて帯広川の洪水の影響を受けた場所に成立した河畔林の名残です。林床はミヤコザサで広く覆われており乾燥化がうかがえます。今後は、ハルニレ・ヤチダモを主体とする森になっていくと考えられます。

所在
帯広市上帯広町
森林区分
湿生林
林冠優占種
ハンノキ・ドロノキ
地点6

帯広市自然環境保全地区(桜木町カシワ林)として指定された林です。林床は広くミヤコザサに覆われていますが、8種の貴重種が見られました。カシワは大変風に強く倒れにくいとされ、この林は畑を風害から守る防風林として、維持されています。このカシワは、自然に世代交代している様子が見てとれ、この林は今後もカシワ林として維持されていくと考えられます。

所在
帯広市桜木町
森林区分
乾生林
林冠優占種
カシワ

表3 調査地点別調査実施状況表

地点 任意ルート調査 群落組成調査 毎木調査 植生断面調査

地点1

地点2

地点3

地点4

-

-

地点5

-

-

地点6

-

-

※凡例・・・○は実施した項目、−は実施しなかった項目

成果物の公開

本事業では、GISを用いてマップ作製を含む各種調査を実施しました。この成果の広い活用を願ってここにGISデータ成果物を公開いたします。なお、データの利用には専用のGISソフトウェアが必要となりますので、ご利用される方においてご用意ください。
当ページで公開している成果物は、特に記述がない場合、帯広市がすべての著作権を有しております。成果物の成果については、どなたでもご自由に使用していただくことができます。ただし、成果物の内容を変更しないで複製すること、法令等に違反する目的、手段、方法での使用、公序良俗を乱すような使用については一切禁止します。また、成果物の使用によって、損害が生じた場合、事由の如何を問わず帯広市は一切の責任を負いません。

成果を使用して作成した成果を公表される場合、例えば下記のように出所の明示をしていただきますようお願いいたします。成果の使用に当たって事前事後の連絡は特に必要ありませんが、成果公表の際に、よろしければ公表した成果又は、その写しを帯広市環境都市推進課まで1部送付いただきますようお願いいたします。

「平成23年度帯広市生物多様性保全事業の成果を使用した。」

なお、上記データを利用するために必要な個々のソフトウェアについては利用される方においてご用意ください。また、帯広市では個々のソフトウェアについてのご質問はお受け致しかねますので予めご了承ください。

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このページに関するご意見・お問い合わせ

都市環境部環境室環境課自然公園係
〒080-8670 帯広市西5条南7丁目1番地
電話:0155-65-4136 ファクス:0155-23-0159
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