個性を生かして(広報おびひろ平成24年6月号掲載)
市内の小中学校では、まもなく運動会・体育祭が行われます。十勝晴れの下、子どもたちの元気な歓声が響き渡ることを楽しみにしています。私が子どもの頃の運動会は、地域を挙げての一大行事で、近所のおじいちゃんやおばあちゃんまでもが総出で声援を送ってくれていました。弁当ものり巻きやいなりずしなど、ほぼみんな同じようなものが入っていました。そして、バナナを楽しみにしていたことを懐かしく思い返しています。
一時期、運動会の徒競走でみんな一斉に手をつないでゴールする、勝ち負けや順位を決めないということが全国的な話題になりました。
子どもたちに、行き過ぎた競争原理を強いることは問題があります。しかし、一斉にゴールさせるという、これも行き過ぎた一律性にはさらに違和感を覚えました。
社会は個性の集まりです。かけっこが速い子どももいれば、歌が得意な子どももいます。人にはそれぞれ個性があります。さらに適性や特性など本来、個人差があり、そして、順番や能力などいろいろなところに差が出ることをみんなが認識しているはずです。しかし、厳しい競争社会の中で生きてきた私たちは、自分の子どもたちに、せめて子ども時代にはつらい思いはさせたくないと、社会の現実から目をそらさせてきた結果、先に述べたような徒競走になったのかもしれません。また、世の中には数々の危険が存在し、確実なことなど無いという現実を見ないように、子どもたちに見せないようにしてきたのではないでしょうか。
今般、東日本大震災によって、世の中は不確実性と危険の塊であることを再認識させられました。そして、自分の命や将来は、他人任せにせず、自分や自分の地域で守らなければならないこと、そして社会の現実を直視しなければならないことが分かってきました。
地域にも個性や適性、特性があります。ばんえい競馬では、観客の皆さんが全ての馬のゴールを見届けて、その努力に大きな拍手を送ります。あの姿は帯広の文化の一つだと感じています。
このような私たちの十勝・帯広は、命の源である「食」を通じて人々の生活を守り、地域を発展させていくことに最も優れた場所であることは衆目の一致するところです。17万市民一人ひとりが、夢を持ち、努力が報われるまち、地域の個性・特性を生かした現実から目をそらさないまちづくりを市民の皆さんと一緒に進めていきたいと思います。
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