オリンピックに思うこと(広報おびひろ平成24年8月号掲載)
ロンドンオリンピックの開幕です。ロンドンの風景がテレビに映し出され、6年間の駐在時代をとても懐かしく感じています。十勝からは福島千里選手、山本幸平選手、パラリンピックには小野智華子選手が出場しますので、地元から声援を送りたいと思います。
かつてのオリンピックは、勝利至上主義で、さまざまな悲劇が繰り返されてきました。日本代表という重圧と責任を過度に背負い、実力を出し切れずに繰り返される不幸な出来事は、選手本人だけではなく、送り出すわれわれ国民の過度な期待にも原因があったのではないでしょうか。
最近では、さまざまな情報が伝えられるようになり、オリンピックの見方もそこに至るまでのプロセスと努力に大きな意味があるというように変わってきました。
成果に結びつくか否かは運、不運もありますが、自らに課した目標に向かって、一歩一歩がゴールと位置付けながら、日々一生懸命努力を積み重ねて、当日にピークを持っていく。そして、他人任せにせず、自身の実力を信じてベストを尽くそうとする、甘えやわがままのないひたむきな姿にわれわれは感動を覚えるのではないでしょうか。その一つ一つの真摯な行動が、日本代表の果たすべき責任なのかもしれません。
先日のサッカーワールドカップ最終予選では、日本にとって不可解な判定が多く、大変厳しい試合展開でしたが、試合後の公式インタビューで日本代表の選手たちは誰一人として異議を唱えていませんでした。たとえ自分の立場・視点で納得がいかない判定であっても、ルールを遵守しそれを競技の一部として受け止め、自らを戒めて、既に次の試合に向けた抱負を語っていました。日本代表という立場にあることをしっかり自覚した責任ある立派な対応だったと思いました。
ロンドン時代に、英国人と「責任」ということについて議論したことがあります。それは、われわれは普段の生活の中で、みんながそれぞれの立場で責任を負っていますが、結果責任を問う日本人の責任に対して、英国人は過程をも含めた説明責任を問うところに違いがあるというものでした。結果や事象のみを見て、安易に他人の責任を問うことほど、無責任はありません。
日本代表の皆さんには、過度な責任を背負い込まずに、それぞれの競技ルールのもと、ベストなパフォーマンスを期待しています。
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