衣替え(広報おびひろ平成29年6月号掲載)

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ページ番号1001597  更新日 2020年12月14日

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今年も衣替えの時期を迎え、人々の彩り豊かで軽快な装いが、新緑薫る帯広の街並みに、明るさを添える季節となりました。
日本の衣替えは、中国の古い風習にならい、平安時代の宮中行事として始まったとされています。季節に合わせて衣服を替えるこの慣習は、四季がはっきりしている日本の気候ならではのものです。
とりわけ、北国の長く厳しい冬を知る私たちにとって、衣替えは、厚手の衣服から解放されることで、十勝の爽やかな気候を肌で感じながら、明るく前向きな気持ちになる機会でもあると思います。
20代の頃、パリのセーヌ川を上下する船には、「たゆたえど沈まず」と記されていることを教えてもらいました。「どんなに強い波や風に見舞われても、揺れるだけで沈まない」という意味で、フランス革命など歴史の荒波を越えてきたパリっ子の気概を見る思いがしました。私は、この言葉に、「どんなに厳しい状況でも沈んではならない。そのためには、できるだけ軽くならなければならない」というメッセージを感じています。
私たちは、家庭や学校、会社など社会の一員として、それぞれ役割を担い、責任を果たしながら生きています。その中で、積み重ねてきた常識や実績、時にはプライドなどが重くなり、息苦しさを感じることもあります。そんな時に、これまでため込んできた重い「荷物」を捨てて、身軽になることで、機動性が増したり、新しいものを受け入れることもできるようになります。そして、見えなかった展望が開けて、元気も湧いてきます。
これまで時間をかけて積み重ねてきたものをいざ捨てるには、戸惑いや迷いが生じるものです。大事なものは簡単に捨ててはいけませんが、明日のため、次のステップに進むために、「今の自分に本当に必要なものだろうか―」。そう、自問自答しながら、身軽になるための「棚卸し作業」を行い、心の衣替えをすることも大切なことだと思います。
1千年以上も前から、行われてきた衣替え。着物の種類が増えた江戸時代には、年に4回もの衣替えが行われていたそうです。きっと先人たちは、季節の変わり目に合わせて、気持ちも衣替えしながら、メリハリをつけて生活していたのではないでしょうか。
日差しが力強さを増し、爽やかな風が心地よいこの時期。身も心も軽やかにして、前向きな発想で毎日を明るく過ごしていきたいと思っています。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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