「ワクワク」が共感を呼ぶ(広報おびひろ平成29年9月号掲載)
9月24日から、秋のごみ減量・資源化促進月間が始まります。帯広市では、平成9年に資源回収事業(Sの日)を開始して以来、市民の皆さんのご協力により、市民1人1日当たりのごみ排出量は、過去10年間で最少となり、道内主要都市の中でも、リサイクル率とともに上位に位置しています。
2年ほど前に、斬新な発想でリサイクルビジネスを展開されている、日本環境設計の社長を務める岩元美智彦さんに、帯広で講演していただく機会がありました。
1985年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、ごみを燃料にして車が走っている未来の姿に感銘を受けた、当時大学生だった岩元さんは、商社勤務を経てベンチャー企業を立ち上げ、これまでごみとして処分されていた衣料品などを燃料に変える独自の技術を開発しました。さらに燃料の原料となる古着などを回収する仕組みづくりにも取り組みます。
古着の回収ボックスを小売店に設置し、古着からできた燃料で、映画と同じ車を走らせるイベントを開催するなど、消費者の「ワクワク感」を高めながら、「買って捨てる」から「リサイクルして買う」へと消費者の意識と行動を変えました。その結果、リサイクルと消費を結び付けた誰もが参加しやすい仕組みが出来上がったのです。
東京オリンピック・パラリンピックのメダルを、携帯電話などのリサイクル金属で作る国民参加型の企画。帯広市も参加していますが、これもまた、岩元さんたちの提案から生まれたものです。
使い古された携帯電話がキラキラと輝くメダルとなって、表彰台のメダリストの首にかけられる―。こんな場面を想像すれば、誰もがワクワクして、携帯電話の回収に参加したくなるのだと思います。
これまで捨てた後の「ゴミ」の姿など無関心だった人たちが、岩元さんの「ワクワク感」の演出により、リサイクルの意義を実感するようになる。「ワクワク感」が、人々の共感や共鳴、さらには当事者意識を生み、やがて、これまで課題や問題であった「モノ」が、未来の資源に変わってゆく―。
行政の取り組みの、その先にある「市民の幸せ」や「十勝・帯広の輝く未来」といった姿を、市民の皆さんと共有し、共感できているだろうか。そして、その実現に、市民の皆さんと「ワクワク感」を持って臨んでいるだろうか。
岩元さんの視点は、私たちの「市民協働のまちづくり」に、大きなヒントを与えてくれています。
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