令和6年2月16日 市長記者会見

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ページ番号1016651  更新日 2024年2月22日

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日時
令和6年2月16日(金曜日)10時30分~11時25分
場所
市庁舎4階会議室
出席者

帯広市長 米沢 則寿

帯広市副市長 安達 康博、池原 佳一

政策推進部 中里部長、石井参事

総務部 廣瀬部長

市民福祉部 石田こども健康担当参事

経済部 吉田部長

都市環境部 篠原部長、高橋参事

記者数
10名、カメラ2台

会見項目

  1. 令和6年度予算(案)について

会見動画

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記者からの質問

  1. 新年度予算案における教育・子育て関連施策に手厚く配分した考えについて伺う。
  2. 帯広市の人口動態に対する市長の認識について伺う、ほか。
  3. これまでの予算配分と異なる印象を受けるが、本予算に対する市長の思いについて伺う、ほか。
  4. 高齢者福祉に対する市長の考えについて伺う。
  5. 今回の予算案を通して市長が目指すまちづくりについて伺う。
  6. 物価高騰の長期化による市の財政運営への影響及び対応策について伺う。
  7. 市債が減少傾向にあることに対する市長の思いについて伺う。
  8. 子どもの医療費について、無償とはせず保護者負担を1割とした考えについて伺う。
  9. 中心市街地活性化に対する市長の思いについて伺う、ほか。
  10. 財政運営や財源確保の難しさについて市長の認識について伺う、ほか。
  11. 老朽化が進む公共施設の整備などにおいて、歳出削減に関わる市長の考えについて伺う、ほか。
  12. 高等教育整備基金廃止後の財源の積み立て先の考え方について伺う、ほか。

市長から(要旨)

1 令和6年度予算(案)について

お手元にある資料のとおり、令和6年度予算案を取りまとめましたので、ご説明いたします。
モニターに表示されておりますのは、資料「令和6年度予算(案)の概要」の7ページにあります令和6年度予算案を第七期帯広市総合計画の4つのまちづくりの目標などに沿って整理したものです。
令和6年度予算編成は、コロナからの回復に向けた情勢が変化する中で、まちづくりの様々な分野において、新しい価値の創出を図り、十勝・帯広の活力ある未来づくりに取り組んでいくことが重要であるという考えのもと、公約の取り組みや総合計画における各事業の着実な推進といった視点で、進めてきたところです。
歳出においては、原材料費や人件費の高騰の影響が、広範の事業に及んでおり、厳しい予算編成作業となりましたが、歳入において、国の財源や有利な起債の活用、さらには新設いたします公共施設等整備保全基金をはじめとする各種基金の活用などによりまして、令和6年度予算案は、まさに今、講じておくべき施策をバランスよく配分できたと考えています。
予算案に関する各種資料は、会見終了後、ホームページにて公開いたします。予算案の説明動画についても、近日中に公開する予定です。

記者との質疑応答

<北海道新聞>
新年度予算案において、教育・子育て分野に手厚いという印象を受けるが、そのねらいや期待について伺う。また、帯広市の人口動態に関する市長の認識について伺う。

 

<市長>
国は、社会全体で子どもや子育て家庭を支えようと、昨年12月に「こども大綱」を決定し、今後の子育て政策に関する基本的な方針や方向性について示したところ。帯広市においても、その方針に沿いながら、多様な子育てニーズに対応するため、地域の実情に応じた施策の充実に取り組む必要があると認識している。
本予算の教育・子育て分野においては、国の動きなども見据えながら、今講じておくべき施策として、小学校・義務教育学校へのエアコン整備、それから保育ICTの導入、こどもの医療費助成制度の拡充などを計上している。教育・保育環境を整え、ICTなどを活用し保護者や保育士の皆さんの負担軽減を図ることで、市民が未来に希望を持ち安心して暮らせるよう取り組んでいこうと考え、今回の予算を計上したもの。
人口動態に関しては、4年振りに社会動態が転出超過となった。令和2年からの3年間は、新型コロナウイルスの感染拡大により、以前とは異なる転入超過の傾向が続いていたと捉えており、令和5年は296人の転出超過となった。感染症の収束などに伴い、札幌市や東京圏への転出が増加しているほか、圏域内の周辺3町における宅地造成や分譲なども要因の一つと捉えている。
長期的視点、かつ道内全体の中での数字を見ていくと、主要都市と比べて帯広市の人口減少は緩やかな傾向にあり、地域の強みを活かした仕事づくり、生活環境の整備に着実に取り組んできたことが、比較的堅調な人口推移につながっているものと捉えている。
今後もこうした視点を大切にしながら、引き続き、しっかりと人口対策を進めていきたい。

 

<北海道新聞>
東京圏、札幌圏、周辺3町への流出が転出超過の理由として具体的にあげられ、音更町では国道沿いに商業施設や大手の飲食チェーン等の出店も目立つ。不動産業者からは、帯広市から移住する人も一定数いるという話も伺っており、周辺町村への流出に対する危機感はあるか。

 

<市長>
札幌市長は「札幌だけでは生きていけない」と言っている。札幌だけが独り勝ちしても、周りが枯れていったら札幌も枯れていくという話をすることがあり、私もその通りだと思う。これまでも「フードバレーとかち」という旗を掲げる、帯広圏でのデジタル化構想をつくるということを進めてきたのは、帯広市だけが良くても、色々な政策も含めて広がりを欠いてしまうから。危機感はあるかということだが、帯広圏がダム機能を持ち、他の圏域へ人が流れないようにするという視点も持つべきであり、十勝19市町村の全体で、今後の生き残りや発展について考えていくことが必要。
これまでも十勝全体で、(道東道の)4車線化や道の駅、またはスマートインターチェンジなどに対する国の施策を引っ張ってくる陳情活動などを行ってきており、その成果が少しずつ出てきていると思っている。各市町村における施策をそれぞれが頑張っているところだと思うので、帯広圏域や十勝全体の中にある帯広市という視点を持ちながら、これからもまちづくりを進めていきたい。

 

<十勝毎日新聞>
子育て関係や除雪など、これまで積極的ではなかったところに予算が手厚くなったという印象を受けるが、そのあたりに対する市長の思いについて伺う。

 

<市長>
これまでも、公約の中で子ども・子育てについて触れており、第七期総合計画の中でもしっかりと位置付けをしている。記者会見などの場で、予算の目玉は何かと問われれば、いつも〝バランス良く〟という回答をしてきた。お金は降って湧いてくるわけではないので、総合計画に沿いながら、国の施策や予算付けなどを常に確認しつつ、その時々に必要となる施策について議論し、最終的な予算案を議会に諮って決めていくもの。
今年は子育て施策に重点を置く、高齢者対策をやる、という形で予算案はつくっておらず、帯広圏でデジタル化構想をまとめていく中で様々な議論を行い、保育所のICT化や子育て関連のICTなりを利用した施策というものが、ちょうどこのタイミングで出てきた。国において「こども大綱」が示されたタイミングが重ったことや、医療費助成の拡大においても、昨年から頭出しをして準備してきたこともあり、子育て施策に関する予算が目立ったかもしれないが、今年、意識的に手厚くしたという意図はない。

 

<十勝毎日新聞>
産業政策においては、継続事業が中心に見えるが、形として出来上がってきたという認識なのか。

 

<市長>
出来上がってきたというほど満足しているわけではない。産業政策は、短期でフラフラするものではないと思っているし、特に「フードバレーとかち」を13、14年やってきているが、全く変えていない。その時々に起きる様々な課題には対応してきており、順調にというか、しっかりやってきていると感じている。
先ほど、北海道の中で人口の減り方が緩やかという話をしたが、労働人口についても他の圏域と比較し、モデレート(適度な、穏やかな)というか、安定的だと思っている。先般、北海道新聞の記事に、旭川や帯広などの3地区における法人所得を人口と対比する表が載っており、帯広は、それなりにステディ(安定している)な数字になっていたと思う。そういう面でも、今までの産業政策が、曲がり角に来ているとか、壁に当たっているという感覚は持っておらず、食料安全保障の問題等々も喧伝(けんでん)されている中で、「フードバレーとかち」という旗を掲げて進めてきた産業や人材に関わる施策などは、大きくずれていないと認識している。

 

<十勝毎日新聞>
高齢者施策において、新規事業や拡充事業があまり見当たらない。年金が目減りするなど、高齢者の生活が苦しい中で、高齢者施策に対する市長の思いについて伺う。

 

<市長>
団塊の世代が後期高齢者になるなど、高齢化の進行による社会保障関連経費は今後も増加していくと見込まれることから、厳しい状況が続くものと認識している。こうしたことに、新規・拡充事業という形では見えていないが、しっかりと対応していくことで、高齢者をはじめ市民の皆さんが安心して暮らせるように取り組んでいくことが重要だと認識している。併せて、国と地方の役割分担があり、国においてもしっかりと安定的な地方財源の確保に努めていただきたいと期待している。
令和6年度当初予算ではないが、これまでも住民税非課税世帯への給付金給付事業や暖房代の支援など、高齢者世帯の割合が多い事業なども補正予算で対応してきており、今後も国や北海道の動向を見定めながら、必要な対策を適時適切に講じていきたい。
令和6年度は、第9期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の初年度となる。こういった計画に基づき、これからも高齢者の方々が、この地域で安心して暮らし続けられるよう、必要な施策や支援をしっかり行っていきたい。

 

<NHK>
バランス良く予算を配分したということだが、今回のこの予算案で、どのようなまちづくりを市長は目指していくのか伺う。また、物価高騰による財政の硬直化も懸念されており、実際に財政運営に影響が出ているのか、今後における市の対策や方針について伺う。

 

<市長>
まちづくりという質問だが、私たちのような地方の行政は、市民の皆さんが安心して暮らせるまちをどうつくっていくかだと思っている。その安心というのは、現状における安全・安心というほかにも、将来に向けての夢や期待もあることから、将来に向けて仕事づくりをしっかりとやっていかなければいけない。
安全・安心といえば、少し離れて聞こえるかもしれないが、今回の能登半島地震の報道から見えてきたことがある。復興に際して、または危機に陥った時、やはり若い人が少ない地域では、なかなか手を打てないという状況を目の当たりにした。やはり、若い人からご高齢の方、そして子どもたちなど、良いバランスで住んでいただけるような地域づくりをしていかなくてはならない。どこかのカテゴリーだけ突出しているというより、予算においてもバランスの良い配分ができるということ自体が、これまでの先輩諸氏のおかげでもあるが、帯広市はそれなりのバランスの中でまちづくりが行われてきたと感じている。これからの時代を見据えて新しい価値を生み出し、時代遅れにならないよう、そのあたりもしっかりと考えた中で、今回の予算案に至ったもの。
2点目の物価高騰の影響については、事業量の増減もあり、単純比較は難しいが、光熱水費の増のほか、労務単価の上昇や資材高騰なども含め、経常的経費のみで、約1億8000万円の影響額と試算している。財源確保については、国の財源や有利な起債の活用のほか、公共施設等整備保全基金(以下「公マネ基金」)をはじめとした各種基金の活用などにより、財源の確保を図ったもの。一方で、指定管理者への電気料・燃料費などに係る経費については、令和6年度補正予算での対応となるため、今後金額を精査していく予定。

 

<時事通信>
資料1の5ページにある市債残高において、右肩下がりの推移に対する市長の思いを伺いたい。もう1点は、14ページにある子ども医療費給付事業において、高校生まで無償化とする自治体もある中、保護者の1割負担を残す意図について伺いたい。

 

<政策推進部長>
市債残高の推移については、公共施設等の整備のピークが過ぎ、償還が終わってきているところだが、今後、帯広市公共施設マネジメント計画に基づく整備が進むと、市債残高も増えていくことから、今は過渡期と捉えている。これまで、市債の発行額に一定の制限を設けるなど、様々な財政操作をしながら減債に努めてきたところ。

<こども健康担当参事>
子どもの医療費について、制度設計した段階で、一定程度の自己負担が必要と判断したことから、保護者に対して1割の自己負担を求めることとしたもの。

<市長>
市債は借金だが、借金というものは悪いわけではないと思っている。ただ、一定程度のバランスが必要であり、過去の借金を返してきて、今は随分良いバランスまで来たと思っている。今後また上がっていく可能性もあるので、このあたりはしっかりと見ながら進めていかなければいけない。たくさん借金して何をやってもいいわけではなく、しっかりと一定の見識を持った上で、帯広市はやっていかなければいけないと考えている。
1割負担の件については、子どものことだから全て無償にすべきなど様々な考え方があり、それぞれに良し悪しあるが、私は一つのけじめみたいなものが必要と思っている。偉そうに聞こえるかもしれないが、子育てをしている人と、それ以外の皆さんとのバランスを考えていかなくてはいけない。一般論として聞いていただきたいが、何でも無償になることは本当に良いことなんだろうかという思いもあり、保護者の負担割合については、全体像を見ながらトータルで考えていかなくてはならない。全体の政策の中で、バランスというものを常に意識しながら制度設計をしており、子どもの医療費については、1割の負担をお願いすることとした。

 

<十勝毎日新聞>
中心市街地活性化の次期計画策定にあたり、国の認定を受ける計画とするのか。また、市長にとって中心市街地はどのような場所であってほしいのか伺う。

 

<経済部長>
中心市街地活性基本化計画については、詳細はこれから議論を積み重ねながらまとめていくこととなる。国の認定を受ける場合には一定の要件が必要となるが、現在の見通しとしては、その要件は整っていないと捉えているため、国の認定を受けない計画になるものと考えている。
ただ、取り組んでいく趣旨や内容については、認定を受けるかどうかに左右されるものではなく、地域として中心市街地の目指す姿や取り組みの方向性を共有し、多様な主体が連携しながら活性化に向けて取り組んでいけるように、計画をまとめていきたい。

<市長>
中心市街地については色々な考え方があり、これまでもみんなで議論しながら中心市街地の活性化に取り組んできた。かつては、商業施設を核として消費というものが中心市街地の大きなコンセプトだったのではないか。ただ、皆さんご存じのように、日本中で大型商業施設が営業を終了するなど、消費行動と業態のミスマッチが起こっており、これは特段帯広に限った話ではないと思っている。そういう背景を考えると、これからは、市民はもとより観光客やビジネス客など、域内外の幅広い世代が集う場として、消費という側面だけではなく、多面的な役割が求められてくるものと考えている。
まちなかの活性化を考えると、消費だけではなく子どもたちの話もよく出る。小さな子もそうだし、学生たちもそう。今後の中心市街地を考える時に、彼ら彼女たちがどういうような位置付けというか、そこに存在してもらうのかということもしっかりと考えていかなくてはいけない。中心市街地にとって、「消費」というキーワードが過去であったとするなら、「交流」や「人と人とのつながり」をつくり上げていく、そういうものが存在する場所として、新しく求められていくのではないかと思う。
私が小さい時は、中心市街地に飲食店や小売店が集まっており、基本的にはそこで消費活動をすることに楽しさや喜びを感じていたが、今は、消費するためのルートが、ネットも含めてたくさん出てきた。そういう面では、新しい中心市街地を考えていく上で、「交流」や「つながり」をどうつくっていくのか、そのためにはどういう構えがそこに必要なのか、次期の計画を策定していく中で、皆さんと考えていくことになる。

 

<十勝毎日新聞>
まちなか居住の促進を今後も続けていく考えはあるのか。

 

<市長>
それは否定するものはなく、まちなかへの居住は可能性があると思うが、どのような形での居住になるかについて議論しなくてはいけない。札幌市でもまちなかに高層ビル群が出てきて居住地区になっているが、所有者が地元の人ではなく、平日はほとんど真っ暗だという高層ビルも散見されている。ドーナツ化現象と言われた時期もあるが、昔のように郊外に広げていくわけでもなく、コンパクトなまちづくりというのは、これからの時代においても基本となっていく。そうするとまちなかに居住しないという選択は無くなり、どのような形態なら居住が可能なのか、どういう施設が必要なのか、このまちに見合った居住形態を考えていく必要がある。
今、東京やその近辺の地域では、大きな形態のものが無くなり、まちなかに小さなスーパーのような形態の店が増えてきた。おそらく近郊に住んでいる人口に合わせたサイズの店舗が出てきていると思う。私も専門家ではないが、帯広もこれから中心市街地の議論をしていく上で、交流人口または定住人口というものを考えながら議論していくことになる。

 

<十勝毎日新聞>
今回の予算編成において、国の財源や有利な起債、基金の活用という話もあったが、財源のやりくりや財政運営面において難しさを感じた部分について伺う。

 

<政策推進部長>
歳出については、物価高騰により2億円ほど膨らんできた中で、国の補助や有利な起債を活用した。具体的には、学校へのエアコン設置においては、令和5年度補正に予算を一度計上し、6年度に繰り越すという形で補正予算債を使っており、これは起債の充当率が100%まで拡充され、交付税バックも引き上げられるなどの有利な面がある。このほか、LED化においては脱炭素債(脱炭素化推進事業債)、農村部の消防施設整備においては、従来からある緊防債(緊急防災・減災事業債)を活用している。このように、財政面で有利となる市債を組み合わせ、公マネ基金などの活用も含めて、歳入面で工夫しながら対応してきたことが、今回の予算の特徴と考えている。

<市長>
昨年は猛暑日が続き、エアコンの必要性が叫ばれる中、北海道市長会としても国へ陳情に行き、その後全国市長会の立場でも、文科省や政権与党などを色々回ってきた。その時に、従来から時限的に行われていた制度、またはそれ以上のものを要求してきたが、今、政策推進部長が説明した補正予算債が有利に使えるなど、色々なアイデアを向こうからサジェスト(示唆する、教える)いただき、色々と工夫しながらこれからやっていかなきゃならないと感じたところ。

 

<十勝毎日新聞>
歳入面では、一番多いのはやはり市税かと思うが、市税を確保していくための取り組みについて市長の考えを伺う。

 

<市長>
簡単にいかないことだが、仕事をつくらないと市税は増えないと、14年前から言ってきた。また、この地域の価値を上げない限り、土地の値段も上がらない。最近は、ふるさと納税が切り札のように言われているが、国から降りてくるお金は別として、我々が自助努力でできるところは、この地域に産業や仕事をつくり、新しい価値を生み出して稼いでいく。そこに新しい雇用が生まれ、この2つが相まって土地の値段も上がっていく。
先ほど北海道新聞の記事の話をしたが、法人所得が他の地域よりも割と高かったのを見て、この10何年でやってきた成果とは言わないが、方向性として間違っていなかった。人が減ると個人所得に関わる税収は減っていく、そうすると法人所得を上げるしかない。そういう面では、そこにある地域の文化や資源を利用し、この地域の価値、資産価値をどうやって上げていくのか、「フードバレーとかち」で議論しながらやってきている。
SDGsや新しい環境エネルギーの課題が出てきている中、この地域はどのような対応をしていくのかということが、ここでビジネスを考えることが可能な大きな企業や新興企業がビジネスモデル作り上げていく上で、どういう場所で、何を使ってビジネス展開するかが、彼らの金融面や企業格付けにおいて影響してくる。今まで私たちは、ここで農業生産することを頑張ってきたが、今度はこの地域が持つ他のアセット(資産)である、緑や空気、水、エネルギーなどが付加価値となるのなら、私たちの資産は従来と違ったものが出てくると思う。
話が大きくなったが、税収にリンクしていくことを考えていかないといけない。広告収入を増やすと言っても、広告する相手に価値があると思われなかったら、ここで事業をやってくれない。そういう面では、地味な取り組みになるかもしれないが、仕事づくりなどをしっかりとやっていこうと、13、14年取り組んできた。少なくとも北海道の中では健闘しているような形になっているが、人口をできるだけ減らさないということ、それから法人所得が堅調なところや、土地の値段も調べると分かると思うが、おそらく北海道の中では札幌圏を除いて一番高くなっていると思うので、このあたりも意識しながら、これからも都市経営に努めていきたい。

 

<北海道新聞>
今、主に新たな財源の獲得について話をされたと思うが、これから新中間処理施設の整備や老朽化した公共施設の整備や更新など、費用がかさむ対応も控えている。今後、公共施設の統廃合など、歳出削減という点における市長の考えを伺う。

 

<市長>
昔と違い、施設はどんどん建てられないので、計画的に進めていく必要があると認識している。新中間処理施設の建設に関わる費用についても、これまで構成市町村で貯金してきており、今回の予算で、それを歳出に計上しているから膨らんでいるように見えている。行政なので中長期の視点を持ち、抑えられるところは抑え、入るを量りて出ずるを制し、その上でやれることはやっていく。必要な投資をしていかないと将来のリターンはないので、シュリンク(萎縮)せずに、どういうものが新しい価値を生み出すのか、内部でも、議会でも、市民の皆さんとも、しっかり議論していかなくてはいけないと思っている。
帯広しか持っていないものの一つとして、帯広の森や中心地にある公園などがあり、それに対する評価というものが随分変わってくると思っている。みんなが利用できる公の資産が持つ価値は、今までは、そこで遊ぶ、散歩する人だけのものだったかもしれないが、帯広市に本社や支店を置く企業にとっても、それらの評価や価値がプラスとなり得るのではないか。緑であったり、CO2の削減であったり、ということが世界規模で行われるようになってきた時、日高襟裳の国立公園化もあるので、帯広市は環境的に良いポジションにいると思っている。
それをどのように税収に結びつけていくのか、交流人口も含めた税収のベースとなる人口増、土地の値段をどう上げていくかなどについても、つなげて考えてかいなくてはいけない。そこに新しい会社が出てきて、その事業の収益に対する税収で、私たちもプラスになっていくというようなことを考えていきたい。

 

<北海道新聞>
歳出の削減というよりも税収増を考えたいということか。

 

<市長>
削減、削減と言っても削減しきれない、生きてく上では。ジャブジャブに何でも新しくすれば良いことを考えているのではなく、従来なら建て直さなくてはいけない施設を、どこまで使いきれるかという帯広市公共施設マネジメント計画を持っている。その上で、新しい投資も我慢して何もしないということは、新しいものが生まれないこととなる。
今まで資産だと思っていなかったものが、これまで先輩たちが遺してくれた中にあるのではないか。帯広の森や緑ヶ丘公園があるから、帯広に移住しようと思ってくれる人たちがこれから出てくるかもしれない。抽象的かもしれないが、そのようなことを考えて地域の活用や発信をしていかなくてはいけない。

 

<十勝毎日新聞>
高等教育整備基金廃止後の財源について、当初の方針では、全額を公マネ基金に積み立てることを表明していたが、今回、その一部となる3億円を財政調整基金に積むこととした理由について伺う。

 

<池原副市長>
高等教育整備基金が廃止となり、その財源をどのような事業に使うかという視点ではなく、今後の財政状況や財政課題を見通した時に、基金にどういう機能を持たせて、どういう役割が果たせるかといった視点で検討した結果、公共施設の老朽化に対する財政負担が大きいと考え、公マネ基金を創設することとした。
公共施設の整備においては、大きな財源負担が生じる年度が、その年度によってデコボコするので、年度間の財源の不均衡を少しでも解消するために、その機能を果たしていく基金が必要と考えた。この間、議会や住民の皆さんなどから様々な意見もあり、やはり財源の均衡を図るということは、単なる公共施設だけではなく、もっと幅広く財源調整の機能を果たしていく必要があるため、この年度間の財源の不均衡を解消しようと、財政調整基金へ振り分けて積み立てることとしたもの。
公共施設マネジメント基金も財政調整基金も、年度間の財源調整と財政収入不足に対する対応ということで、機能は同じと考えており、今回こういった考え方に基づいて整理させていただいたもの。

 

<十勝毎日新聞>
議会や住民から意見をいただいたので、方針を変更したということか。

 

<池原副市長>
デコボコする財源を少しでも均衡を保つことを考え、財政調整基金と公マネ基金に振り分けた形であり、総合的に判断したということ。

 

<十勝毎日新聞>
11月の総務委員会では、全額公マネ基金に積み立てるという説明だったはずだが、一部を財政調整基金へ振り分けた理由について伺う。

 

<池原副市長>
同じ説明となるが、公マネ基金のみでは、公共施設マネジメントに関わる財源調整に限られるが、今後様々な事業を進めていく中では、それ以外にも行政需要が出てくると思う。大きな災害や大きな税収不足などの予測が難しいことも含め、突発的、緊急的な財源不足となる場合も財政調整基金においては対応可能となる。公マネ基金よりも、一つ大きな面での財源調整の機能を果たす役割への積み立ても必要と考えたもので、あくまでも財源調整を幅広く物事を捉えた結果。

 

<十勝毎日新聞>
最初からそういう振り分けをする方針を示しても良かったのではないか。

 

<池原副市長>
様々な検討をしてきた中での最終結果であり、その時々で変わることもある。今回は、財源の一部について振り分けたものであり、大きな方針転換をしたとは捉えていない。

 

<十勝毎日新聞>
公マネ基金をこれから老朽化施設の対応に使っていくという一方で、施設全部を維持していくことは難しいと思う。市民の皆さんも施設全体を減らしていく方向性は理解するが、自分が使っている施設が統廃合などで無くなることに対しては抵抗感が強いと思うが、今後どのように進めていくのか伺う。

 

<市長>
皆さんの意見を聞きながら、私たちの考えを丁寧に説明し、進めていくしかない。
当初考えていたことも、みんなで議論している間に、もっと良い案が出てくることもある。市が考え方をまとめたら、その後も絶対に譲れないとか、それが一番正しいとカチカチになって進める気はない。皆さんの意見を聞きながら、更に良いものにしていくために必要な議論であって、説得するための議論だとは思っていない。どの分野もそうだが、皆さんから色々な声をいただきながら、良いものを模索していきたいと考えている。今の公共施設に関する質問に限らず、一般論としてそう思っている。

 

【以上】

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