子供たちに遺したいもの(広報おびひろ令和3年12月号掲載)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1010420  更新日 2021年11月22日

印刷大きな文字で印刷

塀を伝って狭い路地を走り抜ける「忍者ごっこ」、空き缶を使う鬼ごっこ「缶けり」、近所の空き地での「三角ベース」野球。これらは、私の幼少時代、時には擦り傷を負いながら毎日のように楽しんでいた遊びで、何十年経ってもその時の光景が鮮やかによみがえります。

子供の遊び場をはじめ、人が交流する「場」には、「時間」・「空間」・「仲間」という三つの「間」があります。私が子供の頃は、この三つの間が揃っていましたが、現代の子供たちには、放課後に塾や習い事があったり、空き地などの遊び場が減るなど、いずれの「間」も失われつつあると感じています。

先月、このコラムで紹介した十勝の起業家コミュニティの「場」の一つ「ドリームマップ会議」。今年は五つのチームに分かれ、子供たちの目線でこの三つの間を取り戻す「遊び場づくり」をテーマに議論していただきました。

大人には不用だったりごみとして扱われるものが、宝物に映ったり遊び道具になるという子供ならではの感性に着目した発想や、母性をも感じさせる大きな樹木が、子供を優しく包み込む遊び場や隠れ家になるとの発想、危険なものとして大人から禁じられている「火」や「石」を使った遊びを通じて、子供の野性を引き出すという発想など、起業家の皆さんのアイデアはどれも、大人である私たちも想像力が刺激され、わくわくするものでした。

「大人は、誰しもかつて子供だった。しかし、そのことを覚えている大人は、ほんのわずかだ。」これは、サン=テグジュペリの代表作「星の王子さま」という絵本の冒頭にある言葉です。私も子育てをする中で、我が子の言動を通して自分の大人としての思い込みや固定観念に気付かされたことが幾度もありました。年を重ねると社会常識や身に付けた知識を基に物ごとを考えるようになり、子供の頃の無邪気な心や目線は忘れてしまいがちです。

子供たちの成長の過程で、十勝・帯広で何を感じて大人になってほしいか。かつて子供であった大人たちが合理性や効率性、利益といった大人の理屈を捨てて、次代の子供たちに何を遺したいのか考えてみる。このことは、未来のまちづくりへの大切な示唆となり、やがて子供たちの「ここに住み続けたい、離れてもまた戻りたい」といった地元への愛着や誇りにつながり、親世代にとってもこの地域で子育てをしてみたいと考えるようになるのではないでしょうか。

このページに関するご意見・お問い合わせ

政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
〒080-8670 帯広市西5条南7丁目1番地
電話:0155-65-4109 ファクス:0155-23-0156
ご意見・お問い合わせフォーム