火をつなぐ(広報おびひろ令和3年6月号掲載)

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ページ番号1009144  更新日 2021年5月26日

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3月25日、東京2020オリンピックの聖火リレーが、福島県からスタートしました。

古代、人類は「火」を手に入れたことで進化し、文明が始まったといわれています。火には、エネルギーとして熱を供給したり、物質を変容させる力があります。また、太陽が沈んだあとの明るさにもなります。人は、こうした火の力を利用し、いつでもどこでも活動できるようになっただけでなく、道具などをつくり出し、労力の低減も実現しました。最近では、たき火だけを映した動画が取り上げられるなど、火を見ていると、自然と心が落ち着き、さまざまなことを感じ、考えさせられます。人の生活だけではなく、人の心に作用する力もある火。改めて、人々と火との多様な関わりを感じます。

聖火リレーには、機運の醸成はもとより、さまざまな意味が込められていると思いますが、国から国へ、人から人へと火をつなぐ姿を通して、人類がつないできた歴史や文化を振り返る機会にもなると思います。

帯広でも、6月13日に競馬場を会場として、聖火リレーが行われる予定です。ばん馬が挽くそりで、聖火をつなぐ試みは、報道でも大きく取り上げられています。一方で、コロナ下での聖火リレーやオリンピックの実施には、否定的な意見も多く聞かれます。

「火種は新しい火を起こす。改革の火種は、お前たちである。」これは、財政難に苦しむ米沢藩の藩主となった「上杉鷹山」が、家臣にかけた言葉とされています。暖も取れないほど貧しい状況下で、灰の中に見つけた火種に自分を重ね、今は小さな火でも、ほかの火種と結びつけば、やがて大きなエネルギーとなり、改革を起こすことができると説いたものです。

15年前、ばんえい競馬にも存続の危機がありました。収益率の悪化に伴い4市による競馬運営の廃止論が強まる中、ばんえいの火を消したくないとの思いで、関係者が帯広市1市単独による努力を続けてきたことで、徐々に応援してくれる人が増え、経営も安定してきました。

しかしながら、時間をかけて人々の共感や信頼を積み重ねてきても、たった一つの不用意・不適切な行動や言動でこれらは、一瞬で揺らいでしまいます。売上が好調となった今、自らの役割や仕事を真摯に見つめ直し、つないできた火を絶やさぬように、倦まず弛まず、努力し続けていくことが大切だと考えています。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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