命(広報おびひろ令和3年3月号掲載)

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ページ番号1008197  更新日 2021年2月25日

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2011年3月11日、東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災が発生してから、まもなく10年という月日が経とうとしています。
今なお収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症も多くの命が犠牲となっていますが、「死」に対する私たちの受け止めは、これまでと全く異なるように感じます。これほどまで日本中、世界中に広がり、一年を超えて毎日のように伝えられる膨大な「死」というものを、正直受け止めきれないというのが現実ではないでしょうか。
ウイルスに感染し、家族に看取られることなく亡くなり、骨壺に入って帰ってくる。災害などの危機が訪れるたび、命の有限性や人間の尊厳について考えさせられましたが、このウイルスは最期を看取ることや、親しい人と悲しみを分かち合うことさえ不可能にするなど、これまで想像もしていなかった「死」のありようを見せつけました。改めて「人生とは、命とは何か」を強く問いかけられているように思います。
以前、企業にとって大切な三つの「人」について教えていただきました。一つ目は企業に投資してくれる人、二つ目は企業の製品やサービスを消費してくれる人、そして三つ目は企業のために専門的な能力を発揮、もたらしてくれる人です。経営陣と従業員は、これらの人が居心地よく、関心を持ってくれるよう尽力すべし。この視点は、まちづくりにも共通するものだと思います。この地域の資源に注目し投資をしてくれる人、ここで活動しサービスを利用する人、経験や知識を活かしてここで新しい価値を創出する人。これらの人たちと市民がそれぞれの役割を果たすことで社会に好循環が生まれ、将来も活気ある地域でいられるのだと考えます。
社会の風潮として「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉を耳にしますが、目先のことや自分だけを守ろうとする生き方は、思考の停止や孤立を招き、未来の可能性を狭めてしまいかねません。「〇〇だけ主義」の発想ではなくソーシャルディスタンスを取りながらも心は近くして、みんなで魅力あるまちづくりを進める必要があると思います。
「自分が日陰を利用できないとわかっていながら老人が木を植えると社会は偉大になる」ギリシャのことわざです。夢や希望を持ち、将来世代の利益に資するポジティブなまちをつくるため、命をつないでいきたいと思います。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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