人が真中に居るデジタル化(広報おびひろ令和3年2月号掲載)

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ページ番号1007733  更新日 2021年1月22日

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現在、コロナ禍を機に、「デジタル化」という言葉がクローズアップされ、行政手続きにおける押印や対面でのやり取りを廃止するなどの動きが、加速化しています。
しかし、「脱ハンコ」に象徴されるように押印が煩わしいとの理由で、単に効率化の視点から、すべての手続きを一律に省略しようとすると、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
私が大学時代に学んだ「民事訴訟法」は、手続法と呼ばれる法律の一つですが、初めての講義で教授が「もし、あなたたちがこの大学を受験する時、高校の先生や両親に願書を書いてもらったとしたら、裁判用語では「却下」にあたり、本当は試験も受けられない。」と仰ったことが今も忘れられません。却下はいわゆる門前払いの状態で、手続きの要件を満たさず、裁判すら起こせないことをいいます。手続きとは事務作業ではなく、行為の目的やもたらされる結果について自ら理解し、責任を持つために必要なプロセスであり、それを果たすことで、初めて権利が保護されるということを教えていただいたのだと思います。
デジタル化に当たっては、業務の効率化だけではなく、広い視野で、ものごとの本質を見つめ、人がやるべきことと、デジタルに任せることをしっかりと仕分けする必要があると感じます。
昨年、デジタル行政の先進地として注目される福島県会津若松市の事例をお聞きする機会がありました。人口12万人程度の都市ですが、市民生活に直結するさまざまなサービスにICTなどを活用する取り組みを推進しています。例えば健康の分野では、スマホアプリで病院を予約すると、少ない待ち時間で診療を受けられ、会計もその場で自動決済、さらには処方薬も宅配で受け取れるなど、病院での滞在時間の大幅な短縮につなげるワンストップサービスの開発に取り組んでいるそうです。
視点を変えると、これまで当たり前だと思っていたルールや慣習が、生活する上で不自由さや負担となっている場合もあります。
人々の気持ちや活動に思いを寄せながら、どうしたら人が活躍できたり幸せになれるのか、人の生活を座標軸に置いて、新しい技術と結び付けていくデジタル化は、仕事そのものを見つめ直す機会にもなります。
人に寄り添い、相手を思いやる気持ちが中心にある、そんなまちづくりと同じ視座が、デジタル化にも必要だと思います。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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