重陽の節句(広報おびひろ令和2年9月号掲載)

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ページ番号1001560  更新日 2020年12月14日

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9月9日は、「重陽の節句」にあたります。元々、中国では奇数は「陽」を表し、縁起の良い数字とされてきました。そのため、奇数が連なる日にお祝いをする習わしがあり、それが日本にも節句として伝わりました。3月3日の「桃の節句」や5月5日の「端午の節句」に比べて、重陽の節句はご存じない方が多いかもしれません。
私が初めてその存在を知ったのは、大学の国文学の先生に「重陽の節句を知っているかい」と質問された時のことです。今なら、スマホで検索するところですが、隣の図書館に走り、言葉の起源や意味を調べました。最大奇数の「九」は、「陽」の気が最大になることから、「九」が重なる9月9日は「重陽」となったようです。
次の出会いは、社会人になってから。会社の取引先との宴席が期せずしてこの日にあたり、無病息災や長寿を願いながら、菊の花びらの香りを移したお酒をたしなむ風習があることを知りました。
重陽の節句は、その時期に咲く菊にちなみ、「菊の節句」とも呼ばれています。菊は、日本で古くから栽培されていて、秋になると、全国各地で品評会やお祭りが盛んに行われており、十勝・帯広でも、毎年、10月下旬に「おびひろ菊まつり」を開催しています。
会場に足を運ぶと、いつも菊の多彩さに驚きます。ひと株から何百もの小さい花を一斉に咲かせているものや、見事な大輪を一輪だけ咲かせているものなど、形や色もさまざまな種類があります。
他都市では、会場に飾る菊を外注しているところもあるようですが、十勝・帯広では、約2000株のすべてを、祭りの実行委員でもある「帯広菊花同好会」の皆さんが協力して育ててくれています。
天候の変化に気を配り、温度や光量、水や養分など、一年をかけてコントロールすることで、一番、美しく見える開花のピークを、祭りの開催期間に合わせる。日々の地道な作業の積み重ねでしか得られない技術の賜物だと感じます。
昨年、菊まつりは、50周年の節目を迎え、大切に受け継いできた文化を大切にする一方で、プロジェクションマッピングを活用した新しい展示に挑戦するなど、時代とともに形を変えてきています。
古来より、病気などの邪気を払い、長寿の効能があるとされてきた菊。今年は、感染症の影響で、開催内容を検討している最中ですが、丹精込めて育てられた美しい菊花から、多くの皆さんが元気をもらってほしいと思います。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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