図書館1世紀(広報おびひろ令和2年11月号掲載)

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ページ番号1006976  更新日 2020年12月14日

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12月2日、帯広市図書館は百周年を迎えます。私が初めて市の図書館を利用したのは高校3年生の夏休み、わずかな物音を立てるのも気が引けるほど静寂な時間が流れていたことを覚えています。そして、その中で友人とひそひそ話をする楽しみもありました。
これまでの人生で最も図書館を利用したのは大学生の時です。貧乏学生の常で、冬場は下宿の部屋が寒く、図書館に避難したというのが実情ですが、法学部の教室と通路でつながっていた大学の図書館は自習の場所として最適でした。当時は司法試験を受けるなら六法ぐらい暗記しろといわれていた時代で、私も小難しい顔をしながら法律書を読むことにひたすら時間を費やしていました。ある冬の朝、地下鉄駅から図書館に向かう道でゼミの先生とお会いした時に次のような言葉を掛けられました。「法律の条文をいちいち覚えるより、物事を深く考えることが重要で、そのためには社会や生活の仕組み、何より人間そのものをよく知らなければいけない。そしていつも最低三回はなぜ?と自問するくせをつけなさい」この言葉をきっかけに自分で考える時間を大切にするようになり、図書館も思索や気付きを得るために利用することが増え、読書のジャンルは歴史や哲学、文学へと広がりました。
市長に就任した頃、「未来をつくる図書館」という素敵なタイトルの本を読んだことがあります。この本で紹介されている「ニューヨーク公共図書館」は、夢をかなえたい、人生を変えたいと思うニューヨーク市民が最初に行く場所といわれているそうです。例えば、ブロードウェイのスターを目指している人なら、歌や踊りの教本はもちろん、先輩の成功談や過去の舞台映像まで、知りたいことの周辺情報が充実している。そんな住民の多彩な活動をサポートする場として地域で親しまれていることを知り、改めて図書館の役割や機能について考えさせられました。
インターネットの時代では、知りたい情報は、図書館に行くことなく得られるかもしれません。しかしながら、いつの時代においても「知りたい」という知的好奇心は、さまざまなアイデアや人とのつながりを生み出し、社会の発展の源となります。
一世紀もの間、このまちとともに成長してきた図書館。これまでの機能に加え、知りたいことを通じて人と人とがつながる、そして明るい十勝・帯広の未来につながる場になってほしいですね。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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