ナナ(広報おびひろ令和2年6月号掲載)

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1001563  更新日 2020年12月14日

印刷大きな文字で印刷

かわいい名前を贈ろう。
昭和39年、「おびひろ動物園」の開園の翌年にインドから迎えた3歳の雌のゾウの名前は、公募で「ナナ」になりました。
私が帯広で暮らしている年数は、高校生までの期間を合わせても28年間ですが、ナナは倍の56年間、半世紀余りを帯広で過ごし、3月4日に亡くなりました。市民の皆さんの中には、家族三代に渡って、ナナとの思い出をお持ちの方も居られるかもしれません。
ナナが来た頃の日本の動物園は、国内には生息していない大型の珍しい動物の展示と遊具をセットで整備することで、魅力アップを図っていたように思います。おびひろ動物園においてもゾウやカバなどの北国では見られない大型動物の存在が魅力となっていました。
私がイギリスに赴任していた30年前頃、動物の遺伝子を研究する会社を訪問した際に「アニマルウェルフェア」という言葉に初めて出会いました。当時は意味がわからずに辞書を引いたことを覚えています。動物たちの本来の生態や欲求、行動を尊重するアニマルウェルフェア=動物福祉という考えは、今では世界共通の認識となってきています。また、種の保存を目的に国内の動物園同士が動物を貸し借りして繁殖を目指すなど、これまで娯楽性を追求していた動物園の役割が、時代とともに大きく変わってきています。
市では、こうした動物園を取り巻く環境の変化を踏まえて、老朽化したおびひろ動物園の将来の姿について、専門家の皆さんにもご意見を伺いながら「おびひろ動物園の魅力アップに向けて」という方針を定めました。
方針の柱には十勝・帯広の特色を活かすことなどを掲げています。中心市街地からアクセスしやすく、歴史・文化が学べる百年記念館が隣接しているエリアであること、ばんえい競馬の開催地や日本有数のミルクや肉牛の生産地であること、さらには動物の研究や獣医師を養成する帯広畜産大学があることなど、この地域の特色と結び付けることで、ここにしかない独自性や新たな魅力を持つ動物園に生まれ変わるヒントがあるかもしれません。今後、方針を具体的な形にしていくために、皆さんも一緒にアイデアを出してほしいと思います。
未来の動物園の姿を考えている時に訪れたナナとの別れは、将来のおびひろ動物園の在り方に、さまざまなメッセージを私たちに遺してくれたように感じます。

このページに関するご意見・お問い合わせ

政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
〒080-8670 帯広市西5条南7丁目1番地
電話:0155-65-4109 ファクス:0155-23-0156
ご意見・お問い合わせフォーム