私の好きな3冊の絵本(広報おびひろ平成30年10月号掲載)
先日、あるテレビ番組で、「子どもや孫に買ってあげたい絵本」が紹介されていました。その中の一冊に、私が幼稚園で園長先生から頂いた『はなのすきなうし』があり、とても懐かしく感じました。
ホルスタインが描かれた鮮やかな表紙と、主人公の心優しい子牛を通じて感じた「優しくあることは、強い」というメッセージが、半世紀以上経った今でも鮮明な記憶としてよみがえって来ました。
これまでの人生で多くの素晴らしい絵本に出会って来ましたが、次に、印象深い絵本と言えば、大学一年の時、英文学の先生から「翻訳をしているところだが実にいい」と紹介された絵本。リンゴの木が、少年の成長とともに役に立とうとする物語で、原題の「The Giving Tree(ザ ギビング ツリー)」を直訳すれば「与える木」になりますが、先生は、その絵本に『おおきな木』という邦題を付けました。最初は、葉っぱや枝で遊ばせることや、実をつけることで少年の成長を支えていた木が、いつしか少年が年老いたときには、実も枝もすべて与え尽くし、切り株だけになってしまう。それでも、彼のための腰掛けになろうとします。
この木に母性(母の愛)を重ねて読んだことを思い出します。奥行きがあり、読み手に余韻を残すシンプルな物語は胸に残り、友人や後輩に子どもが生まれた時などにプレゼントしたこともあります。また、数年前、村上春樹の新訳で再版され、話題になりました。
最後は、社会人になってから出会った絵本で、短編小説を基にした『木を植えた男』です。一人の農夫が、フランスの不毛の地に苗木を植え続け、やがてそこが森林となり、後世の人々に恵みをもたらす物語です。
誰にも分かってもらえなくても、黙々と木を植え続ける男の「確信を持ったらブレずにやり続ける」姿勢に、心を動かされました。
絵とストーリーの両方で表現する絵本は、子どもの感性を刺激し、想像力や好奇心を掻き立てる大きな力を持っています。
また、大人に対しても、シンプルな問いかけを通して物事を深く考えさせ、気づきを与えてくれることがあります。
皆さんは帯広市図書館の絵本コーナーをのぞかれたことがありますか。関係者の皆さんのおかげで補修も行き届き内容も充実しています。大人になった今だからこそ、人生を豊かにしてくれる素晴らしい絵本を見つけにちょっと出掛けてみませんか。
このページに関するご意見・お問い合わせ
政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
〒080-8670 帯広市西5条南7丁目1番地
電話:0155-65-4109 ファクス:0155-23-0156
ご意見・お問い合わせフォーム