非日常とモラル(広報おびひろ平成31年2月号掲載)

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ページ番号1001580  更新日 2020年12月14日

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昨年9月6日午前3時25分、北海道全域が大規模停電「ブラックアウト」に見舞われました。いつもの生活が一変したとき、皆さんはどのような行動を取られたでしょうか。当時、停電により、信号機の停止や交通機関の運行障害が発生したほか、スーパーなどが営業休止し、食事や情報の確保も困難になるなど、市民生活に大きな混乱が生じました。
一方で、店舗などにできた行列には、冷静さを失わず整然と順番を待っている人たちの姿がありました。目前で品物が売り切れ、一緒に並んでいた見ず知らずの人同士が、自宅を行き来して、お互いに必要なものを交換したという話や、ある携帯電話の充電場所では、「1人、1台、20分」というルールが自然とつくられたという話も伺いました。
市では、大規模停電の経験を踏まえ、冬期間に一斉にライフラインや物流が停止することを想定し、各避難所の段ボールベッドやジェットヒーター、米などの備蓄量を増やしました。皆さんも、それぞれ何が必要かを考え、自宅や会社で新たに備蓄されたものがあるかもしれません。こうした備えは、発災直後の混乱を最小限に抑えるために、大変重要です。しかし、甚大な被害が発生した場合、その影響が収束するまでには長い時間を要するため、限界があることも事実です。食料が全員に行き渡らないので、配らずにいたら傷んでしまった。優先的に物資を配られた高齢者がみんなから妬ねたまれた。大都市の避難所で、実際に起きたといわれていることです。
災害は、時には私たちの生活を支えるさまざまなシステムを一挙に機能停止に陥らせ、当たり前と思われている常識やルール、価値観さえも揺らぐような「非日常」をつくりだします。自然災害に加害者はいません。皆、被害者なのですが、根拠のない中傷や不信感がまん延しがちです。
どんな状況でも、人々が互いを思いやり、信じ合うことができる地域であれば、助け合いながら乗り越えていける。停電時、皆さんが落ち着いて行動し、非日常でのルールを受け入れ、知恵を出し合いながら協力している様子を伺って、この地域の持つ「モラル」を心強く感じました。
2018年に生まれた女の子の名前には、「結」の漢字が使われたものが3位までを占めたそうです。自然災害が相次ぐ中、人と人との結び付きの大切さが見直されているのかもしれません。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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