創る、観る、支える(広報おびひろ平成30年12月号掲載)
以前、東京藝術大学の副学長にお会いしたとき、「帯広には、市民バレエや市民オペラ、交響楽団まであるんですね」と感心されて、誇らしく感じたことを思い出します。帯広の都市規模で、常設の市民オーケストラが活動している例は、珍しいそうです。
市民が主体となった文化・芸術活動は、音楽に限らず多種多様な分野で広がりをみせ、今年の「おびひろ市民芸術祭」でも、1300人を超える方々が数多くの作品を発表されています。
文化・芸術に情熱を注ぎ、活動し続ける原動力は、どこから生まれるのでしょうか。
自身の内面を表現する喜び、仲間と一緒に作品づくりに取り組む連帯感。「創る」過程には、たくさんの気付きや充実感があり、それが創造の意欲をかき立てるのだと思います。
文化・芸術には、作品を鑑賞して、理解してくれる人の存在も、大切です。海外の美術館では、小学生の子どもたちが、絵画の前で行儀よく体育座りをし、引率の先生による歴史的背景や画法などの解説に熱心に耳を傾けている光景をよく見かけます。私の子ども時代は、鑑賞方法や楽しみ方を教わる機会があまり無かったため、とてもうらやましく感じました。
文化・芸術を育むには、観る人の鑑賞力や感性を養うことも大事なことかもしれません。
「観る」人が増えれば、おのずと活動を「支える」ことにも、つながります。発表の場などを提供する行政、賛同し協賛してくれる企業。後方支援のボランティアの皆さんも「支える」一員です。どんなことでも、一部の人に負担がかかると長続きしないものですが、誰もが無理せず、応援していくことができれば、活動はますます広がっていくのではないでしょうか。
作品を創ることが楽しい、大勢の人が観て楽しい、そして、それを応援している人たちも楽しい。この三つの「楽しい」のバランスを保つことで、豊かな文化・芸術活動が育まれるまちになっていくのだと思います。
4年振りとなる帯広市民バレエ「コッペリア」の公演が12月16日に迫り、7月末から積み重ねてきた練習も、佳境に入っているそうです。当日は、私も、街の市長役として出演し、十勝・帯広のバレエダンサー、帯広交響楽団や舞台スタッフ、総勢200人の皆さんと共演する予定です。創る人、観る人、支える人、みんなで感動を共有したいと思います。
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