平成の終わりに(広報おびひろ平成31年3月号掲載)

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ページ番号1001579  更新日 2020年12月14日

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5月から元号が変わり、「平成」というひとつの時代が終わります。
現在の私は62歳。これまでの人生の半分は「昭和」、半分は平成時代を生きてきたので、二つの時代を生きる、いわばハイブリッド世代と呼べるかもしれません。
私の平成は、金融の仕事でロンドンに赴任し、ベルリンの壁の崩壊を目撃するところから始まりました。当時は、世界的に日本経済の強さが際立っていた時代で、そのおかげで私も時代の寵児といわれるような人たちと交流する機会や場に恵まれ、貴重な経験をすることができました。その後、札幌に戻り数年で北海道拓殖銀行が破綻するなど、バブル景気の終しゅうえん焉を迎え、東京に戻ってからはリーマンショックに遭遇し、まさに平成時代の浮き沈みを体感しました。
今、インターネットやスマートフォンの普及、SNSの広がりなどの技術革新を背景に、私たちは便利さと快適さを手に入れました。特にこの10年ほどで生活は大きく変わり、技術革新の速度はさらに加速していますが、その一方で、人口の約半分が就いている仕事が、AI(人口知能)やロボットに奪われるのではないかという懸念も指摘されています。
最近、書店には、歴史や哲学、宗教などの本が増えているように感じます。急激に変化し、先の見えない社会の中で、多くの人が漠然とした不安を感じ、将来の展望や生きるためのよりどころを求めているのかもしれません。
個人主義や経済的合理性を重視するあまり、今だけ、自分だけ良ければいい、儲かればいいといった考え方が広がり、人々の意識や思考も「善か悪か」「敵か味方か」「損か得か」など二択に偏り、多様な考え方を受け入れない風潮が強まっているようにも思います。
平成は、決して平坦な時代だったとは言えませんが、新しい時代は、昨日の常識も通用しない世界が待っているかもしれません。そんな時代だからこそ、変化に目をつぶらず、変えていくものと変えてはいけないものを冷静に見定めながら時代を切り拓いていくことが必要とされていると感じます。多様な考え方を受け入れ認め合う、互いに助け合う、自ら行動する。もしかしたら、この地域に受け継がれてきたおおらかさや人のつながり、主体性こそ新しい時代が求めているものなのかもしれません。
元号が変わろうとしている今、これから必要なものは何か、十勝・帯広の新しい時代について深く考える時だと思います。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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