雪解け(広報おびひろ令和5年3月号掲載)

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ページ番号1014319  更新日 2023年3月22日

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立春を過ぎ、少しずつ日脚が伸びてきていることを実感する季節となりました。 

以前、物事を考えたり判断したりするには、明け方の時間帯が最適、と聞いたことがあります。 

まだ世の中が動き始めていない静寂な明け方の時間は、大地や空気も澄み切っているように感じ、脳や心がリセットされ、これから昇る太陽の光とともに新たなエネルギーが満ちてくるような感覚になります。 

3月は、凍てついていた雪が徐々に解け始める時期です。北国では、雪解けの季節も、これから来る春を思い、前向きな気持ちになれるタイミングではないでしょうか。 

白い雪に覆われた景色の中で、分厚いコートを着込み、足元を気にして、身体を強張らせながら歩いていたのが、雪解けを合図に身体の緊張がほぐれ、心もフッと軽くなっていく。そして、生命を象徴する緑の色が徐々に現れてくると、新たな意欲が湧いてくるなど、人の心の持ち様は、四季の移ろいやその土地の気候に大きく関係しているように思います。

―わたしたちは、豊かな自然と、この地によって培われたおおらかな気風に誇りをもち、住みよいまちをめざし、よりよい市民として前進するために、この憲章を定めます― 

これは、この地域で暮らす私たちの行動規範を示した「市民憲章」の前文として記されているものです。この前文にある「おおらかな気風」という表現は、ひと言で開拓者精神を表わす素敵な言葉だと思っています。 

開拓の時代、粗末な住まいと貧しい蓄えで、今よりも過酷だった冬を越すことは、文字通り命懸けだったと思います。時に仲間とけんかをしたり行き違いがあっても、折り合いをつけながら、最後にはみんなで力を合わせないと生き抜いていくことができなかったのではないでしょうか。 

そう考えると「おおらかさ」とは、雄大で厳しい自然のもとで奮闘してきた開拓の歴史の中で、仲間と一緒に明るい春を迎えたいという強い思いが培った気質なのかもしれません。 

冬の厳しさに裏打ちされた、おおらかさと寛容さ、優しさを持つ十勝・帯広の人々。北国に住む私たちは、厳しい冬があるからこそ、 春の季節に格別の感慨を抱くように思います。ともに過ごしてきた長い冬が終わり、間もなく楽しみな春が到来します。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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