平成23年12月 市長記者会見

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ページ番号1001205  更新日 2020年12月14日

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とき
12月22日(木曜)17時00分〜17時50分
ところ
北海道経済連合会 会議室(札幌市中央区北1条西3丁目3)
出席者
北海道経:高原副知事
北海道経済連合会:近藤会長
江別市:三好市長
帯広市:米沢市長
札幌市:生島副市長
函館市:佐藤経済部次長

北海道フード・コンプレックス国際戦略特区指定について

写真:記者会見の様子1

1 各出席者からのコメント

【北海道高原副知事】
先ほど、内閣官房から、北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区の指定が決定されたという連絡をいただいたところであり、道として大変うれしく思っています。
この特区については、優れた農水産物の産地である北海道の優位性を、道内の関係者、産学官の知恵と工夫をフルに活かして競争力のある食品産業群を作って、海外・道外のマーケットに打って出るという分かりやすい発想、あるいは国の政策課題にかなう構想内容であることが評価されたものと受け止めています。

国等への説明や要請活動を精力的に行っていただいた道経連の近藤会長を始め、江別市長、帯広市長、さらには札幌市や函館市の皆さんには心より敬意とお礼を申し上げる次第です。
この構想の推進は、知事が最重要施策の一つとして掲げ、今年度から取り組んでいる「食産業立国北海道」の形成のための起爆剤となる上に、昨年来、オール北海道で取り組みを展開している食クラスター活動にとっても大きな推進力になるものと考えています。

今後は、ここにお集まりの皆さまと一緒に、そしてまた道内関係地域の企業や研究機関の皆さんと一緒になって、知恵を出し、汗をかいて、事業の具体化を進め、大きな成果を出せるよう道としても最善を尽くしていきたい。

【北海道経済連合会(以下、「道経連」という) 近藤会長】
今回の特区の指定は、道経連でかねてから進めていた食クラスター活動を加速・拡大・飛躍させるものであり、また、故戸田会長が提唱して全国に先駆けて進めてきたクラスター活動が、優位性のある北海道の農水産業をベースにした食の分野で国の成長戦略に位置付けられたものと理解しています。

さらに歴史をひもとくと、北海道が国家戦略において産業面で位置付けを獲得したものは唯一「石炭産業」と言って過言でないと思っており、それだけに、今回の採択の意義は大変大きいものがあります。
また、今回の特区指定は、少子高齢化・人口減少の進展や経済的な低迷であえいでいる北海道の今後100年の大計を策する重要な転換点にする絶好のチャンスであると考えています。

すなわち、この制度を活かして、北海道人自らがこの大地にしっかりと足を据え、額に汗かき、中核産業である農水産業およびこれを活かした食品産業を盛んにして自立的な北海道経済を形成し、これにより新たな雇用を生み、税収を増やし、そして道民が豊かになっていく、そんな循環が形成されていくことを願っています。

なお、今回の採択は、北海道がわが国食産業の拠点形成を引き受けたと言うことであり、現段階においては、あくまでもそのための土俵を国からいただいたに過ぎないと思っています。
従って、今後、道民がこの土俵の上で、誇りと責任を強くして、本気で目標達成に向けてプレーすることが何より肝心です。私自身、スタートラインに立った現在、この先を思うと、大変荷が重い、それでも挑戦しなければならないということであり、残された人生の全てを賭けてやろうというくらいの気持ちでいます。

今後は、オール北海道で、官と民が総力を結集して、万全の体制を作り、その下で、この特区事業を成し遂げ、次なる展望を開いていかなければならないと、私としても覚悟を新たにしています。道経連会長の立場として最後に一言申せば、そういったことを実現するためにも皆さまを含めて道民全体の理解と協力を切にお願いしたいと考えています。

【江別市三好市長】
このたびの特区指定により、江別市の食産業に関する新たなスタートがきれたものと考えています。江別市では3年ほど前、食品関連企業を支援する道立の食品加工研究センターおよび食分野の大学(情報大学・酪農学園大学)と連携協定を締結しています。さらには、2年ほど前から北海道情報大学と連携して「食品臨床試験・江別モデル」を開始し、1,100人の市民に参加いただいて、食品の機能性の検証、高付加価値化の実証を行っています。

この取り組みはノーステック財団と検証しながら進めており、江別版フードバレーとして取り上げていただいています。これらの取り組みが今回認められたということではないかと思っており、江別における食品産業の新たな一歩を踏み出すことができると考えています。

今後においては、「食のバリューチェーン」の中の「食の知の拠点」として、食品加工研究センター、酪農学園大学、情報大学、さらには札幌市内の大学、研究機関と連携し、道内の食材の高付加価値化、機能性、さらには江別の食に関する「知の資源」を活用して、試作と評価を実証するなどして、道内、国内の企業を支援する役割を担っていきたいと考えています。
非常に荷が重いと感じていますが、食品産業のために市としても一生懸命努力していきます。

写真:記者会見の様子2

【帯広市米沢市長】
帯広市、そして十勝18町村を代表して一言申し上げます。今回の総合特区の指定に当たり、多くの皆さんにご理解・ご支援いただいたことに、まず感謝申し上げます。

わけても近藤会長にはこれまで、常に先頭に立っていただき、ともするとホチキス止めなどとやゆされる連携を誠実かつ情熱的にリードしていただいたことに、せんえつではありますが、心から感謝申し上げます。
かなり厳しい指定獲得までの道のりでしたが、われわれ北海道のやる気、本気度が伝わったものと理解しており、その意味で大変うれしく思っています。最終局面での要請活動、プレゼンテーションに12月議会の開会日が重なったが、議会日程をずらしてまで理解・協力いただいた帯広市議会にもこの場を借りてお礼申し上げます。江別市におかれても同様に議会日程を調整いただき、市長が出席されたと聞いており、このような地域を挙げての特区への取り組みの動きが・情熱が通じたのではと考えています。

特区指定はまさに「食産業形成」というビッグチャレンジのスタートラインに過ぎません。本格的な事業展開で、これからわれわれの力量が問われることになるわけで、今、改めて大変重い責任を感じています。試されるのは「大地」ではなく、われわれの「覚悟」と「実行力」だと思います。
その意味で、これまで2年間弱、十勝で展開してきた「フードバレーとかち」をさらに加速化させ、食のバリューチェーンを創出・強化し、食という国の一大産業をここ北海道に創り出すのだという「思い」にこれからフルコミットしていきたいと思います。

十勝・帯広は、大規模畑作農業・畜産業の観点から、「強い農業」創りをベースに、食の成長産業化を進め、基本財としての安心・安全を担保しつつ、食料自給率アップ、食料安全保障といった国家戦略にも「十勝の責任」をしっかり果たしていきます。今回の特区指定をてこに、さらなる飛躍・展開を期したいと考えています。

最終局面での要請活動、プレゼンテーションに12月議会の開会日が重なったが、議会日程をずらしてまで理解・協力いただいた帯広市議会にもこの場を借りてお礼申し上げます。江別市におかれても同様に議会日程を調整いただき、市長が出席されたと聞いており、このような地域を挙げての特区への取り組みの動きが・情熱が通じたのではと考えています。

特区指定はまさに「食産業形成」というビッグチャレンジのスタートラインに過ぎません。本格的な事業展開で、これからわれわれの力量が問われることになるわけで、今、改めて大変重い責任を感じています。試されるのは「大地」ではなく、われわれの「覚悟」と「実行力」だと思います。
その意味で、これまで2年間弱、十勝で展開してきた「フードバレーとかち」をさらに加速化させ、食のバリューチェーンを創出・強化し、食という国の一大産業をここ北海道に創り出すのだという「思い」にこれからフルコミットしていきたいと思います。

十勝・帯広は、大規模畑作農業・畜産業の観点から、「強い農業」創りをベースに、食の成長産業化を進め、基本財としての安心・安全を担保しつつ、食料自給率アップ、食料安全保障といった国家戦略にも「十勝の責任」をしっかり果たしていきます。今回の特区指定をてこに、さらなる飛躍・展開を期したいと考えています。

【札幌市生島副市長】
市長が出張中のため、代わってひとこと申し上げます。このたび国の特区指定をいただいたこと、大変うれしく思っています。札幌、北海道の食産業の発展に大きな一歩になるものと、確信しています。
札幌市が果たすべき役割、札幌の機能について2点申し上げます。

一つは、札幌の研究開発機能について。
札幌には、北大を始め、数多くの研究機関が集積しています。今までも「さっぽろバイオクラスタ“BIO-S”」などにより、多くの成果を上げてきていますが、特区指定により、食の安全性・有用性に係る評価体制や製品化支援体制の一層の強化が期待されると思っています。
また、食・バイオ産業の関連では、札幌ではIT産業という得意分野があるため、こことの連携に取り組んでいます。IT企業が集積する札幌テクノパークの施設の一部を、食・バイオ産業が研究開発できる構造に改修しており、このようなことで、食・バイオ産業の一層の振興を図っていきます。

2点目は、札幌が持っている食品を製造する力と販売する力について。
札幌には、食品製造業や貿易商社を含む卸売業、つまり食に関連する2次・3次産業が集積しています。このような強みを活かし、市内の2・3次産業と道内の1次産業とが連携する6次産業化などの推進により食の高付加価値化を目指していきます。そして、それを成長著しい東アジア市場に輸出していく、そのようなショップ・商品を作っていく、販路先を拡大していく、このようなことに努めていきたいと考えています。

皆さまからの発言のとおり、このことはオール北海道で取り組む必要があると考えており、札幌市としても持っている機能を十分に活かしながら、オール北海道の一員として取り組んでいきます。北海道全体が元気にならなければ札幌も元気にならないので、一層努力していきたいと考えています。

【函館市佐藤経済部次長】
本日は市長が出席できないため、代わってお話させていただきます
函館市では、これまで水産・海洋分野に関する国際的な研究拠点の形成を目指した「函館国際水産・海洋都市構想」を地域ビジョンとして、北大水産学部や公立はこだて未来大学、そして道立工業技術センターや函館水産試験場など、水産に関連する学術研究機関が集積している優位性を活かし、文部科学省の都市エリア事業やマリンバイオクラスター事業などにおいて、海藻などの水産物に含まれる有用性成分に関連する研究開発に、地域の産学官が連携して取り組んできたところであり、大きな成果を上げています。

このたびの特区においては、当市は「水産資源由来の有用性素材に関連する研究開発拠点」として位置付けられており、平成26年度の供用開始を予定しています、国や民間企業などの学術研究機関が集積した複合的な研究施設の「国際水産・海洋総合研究センター」、これは現在整備を進めているところですが、このセンターをその中核的な施設として各種研究開発を展開していく予定となっています。

今回の特区認定により、事業推進に不可欠である「機能性評価を連携して行っている札幌・江別エリア」、そして「函館の海藻と乳製品を組み合わせた高機能食品の開発を連携して行っている帯広・十勝エリア」などの研究連携がより一層強化されることにより、全道への波及、さらには国際競争力ある食産業の創出が図られていくものと考えています。

報道機関との質疑応答要旨

(報道)今回の特区の特徴を改めて説明願いたい

【近藤会長】
いろいろな視点があると思いますが、私なりに特徴を3点。1点目は、この特区は、最近の国の言葉で言うところの「日本再生の基本戦略」に対応する国家的な事業の一つをわれわれがこの特区で担うことになったということ。

2点目は、オランダのフードバレーのような本格的な食のバリューチェーンの形成を目指したものであること。これまでも国には強くPRしてきましたが、まさしく食の本格的なバリューチェーンを形成し、ひいては食のナショナルバリューチェーンに発展してくれればと願っています。そして北海道のみならず、全国、場合によっては海外の人もこのバリューチェーンを活用して成果を上げていくことを目指したいと考えています。

3点目は、北海道の中核産業である食産業によってこの特区が形成されていること。特に、わが国にとって今も将来も重要になっていく基本的食材、いわゆる土地利用型の農業、これは北海道しかほとんどやっておらず、北海道の中でも十勝がやっています、国の基本食材の自給部分をほとんど担っている十勝がこの特区に参加しているということは、私は意義深いし、大きな特徴と考えています。

【米沢市長】
国際戦略総合特区ということなので、国際的に競争力を持ってやっていける、またはそれを希求する部門に対して今回の措置があったと認識していますが、十勝は食料自給率1,100%、平均経営面積は40haと欧州の農業国に匹敵します。
また、小麦は全国の25%を生産、その他も国内の生産高に占める割合が30%〜40%となっています。そういう所が国際的な競争力を保持しなければ、食料自給率、食料安全保障を考えていく上で、絵に描いた餅になるとの認識を持っています。

そういう立場からも、特区として、より先鋭化した形でまずベースになる一次産品を作っていく、それに新たな付加価値をつける食のバリューチェーン、安全性・有用性の検証などを重ねていくことで、日本型のフードバレー、フード・コンプレックスを形成していくということであり、今回、このようなわれわれのプランに、国がOKを出してくれたと認識しています。

(報道)今後、特区計画の策定や実際の事業運営のための体制づくりが必要になると思うが、どこが中心になって何人位で、新たな組織を作るのか、既存の組織を活用するのかなど、どのように考えているのか。

【近藤会長】
この特区は大変目標が高く、かなり挑戦的な取り組みであるため、体制はかなりしっかりしたものに整備しなければならないと思っています。そしてそのためには、官民挙げて過去にとらわれないしっかりした体制を整備して、それを確実に動かしていかなければならないと考えています。

採択になった現在から、すぐに作業に入らなければならないものとして、計画書の作成があります。年度末の3月までに計画書を国へ提出し、承認されて実際に事業がスタートします。このため、まずは直ちに特区の準備室を6者で構成して、その作業に取り掛かっていきたい。準備室の体制や事務分担については、近々検討に入りますが、いずれにしても6者の参加によって特区準備室を作り、年度末までに計画書を国に提出して承認をもらうという作業に取りかかる体制を作ります。

それと併せて、本格的な体制をどうするか考えていかなければなりません。これについては、特区推進機構を作っていきたい。今のところイメージしているのは、6者参加を前提として、官民からなる法人格をもった活動本部を作り、例えば内閣府の予算の受け皿にもなりますし、私としては、単なる運営管理だけではなく、実務の先頭に立って現場に出て行く機能もこの機構に持たせたいと思っています。

もちろんその段階で、既存の活動体もあるため、有効に機能すると認められるものについてはそれらの協力を求めますし、当然道経連の食クラスター部隊も使いますし、ノーステック財団にも全面的に参画、協力をもらいます。
いずれにしても、他地域を見ても、こういった活動は自治体、官の力がなければできません。従って、道庁さんにも相当の体制整備と結果を引き出す果敢な取組みをお願いしていかなければなりません。

ともに歩み、挑戦していく体制整備、形を作り機能させて、着実に結果を出していく体制を作っていかなければなりません。その中核組織を推進機構にしたい。法人格でなんとかしばらく定常的な仕事ができるようにしたい。その中をどういうメンバーにするかは、これから大変な作業だが、そういうものがないと、これはできません。

(報道)推進機構の人数は?数十人規模か?

【近藤会長】
まだ何とも言えません。たくさん欲しいが(笑)、もちろん10人は下りません。

【高原副知事】
今、近藤会長からお話のあったとおりであり、まずこれから急がなくてはならない計画作りについては、6者連携による準備室を、また計画が出来上がった後、プロジェクトの推進については、専門の推進機構を用意します。これはそのとおりです。

一方で、道庁としても「食産業立国北海道」という政策課題を抱えていることに鑑み、現在の食関連産業振興室のさらなる機能面の整備も必要と考えています。これはこれから早急に検討していく課題と思っており、さらなる充実が必要と考えています。

【近藤会長】
先ほど私が申し上げた内容は、まだ道庁さんとは相談していない自分の構想なので、誤解のないようお願いしたい。これから相談していきます。

(報道)特区の効果を生かすために、地元の企業、国内外の企業など、企業の参加をどう促していくのか。

【近藤会長】
企業との関わりなしでは、この仕事は全くできません。企業との関わりを持つ活動は、従来もしっかりやってきており、道庁もノーステック財団も、道経連の食クラスター活動もまさにそのとおりです。ただし、これをさらに本格的なものにしなければならないということであり、質的には大きな違いはありませんが、規模的に大きなものにして、活動の質もさることながら、商品そのものの質も高いところを目指していこうということです。基本的な活動は従来に類するものですが、それを拡大発展させながら取組んでいくということです。

生産者がいて、生産されたものを直接売りに出す場合もあれば、それにしっかりと付加価値をつけて、特にこれからの「食」は有用性や安全性が評価されてきているので、そういうものをしっかりとつけていく。そしてそれを評価するナショナルセンターのようなものを作り、本州のものも安全評価はこっちでやってやるぞという形にして、そして売りに出していきます。

輸出については、私が気になっているのは、輸出を支援する体制が非常に不備。輸出のためのデモンストレーションやフェアをやっていますが、要は生産者からしっかり買い手に届ける数を増やしていくことが必要なので、そういうものがカウントできるような体制にしていかなければならないと思っています。

【米沢市長】
今の点で付け加えさせていただくと、これまで付加価値をつける加工の部分は消費地に近い所が効率的とされ、食品の加工メーカーが立地しています。しかし、今後は安全という面も含めて、産地のすぐそばで加工することのメリットが、最近また見直されています。

そういう面で北海道はその条件にぴったりの場所です。そこに今、特区の制度的な優遇策が入ってくると、少し世界が変わってくるのではと期待しています。

(報道)韓国でも食をターゲットとした動きがあり、国際競争の中では、販路開拓の意思決定などスピード感を持った対応が必要になるが、世界を相手に競争することを見据え、意思決定を早めるなど組織上の工夫の考えはあるか。

【近藤会長】
まさしく先ほど申し上げた推進機構にその機能を持たせたいと思っています。推進機構という組織を、今言われたことを充足する機能集団にしたい。そこが勝負です。
韓国は明らかに東アジアの食市場を狙っています。この点は国にもしつこく言ってきましたが、韓国に獲られたくない、誰かが頑張るべきではないか、北海道がその役割を果たしたいと。韓国は本気であり、国を挙げてやっています。それは明らかに食品レベルの研究開発であり、韓国の方はいろいろ札幌にも入ってきています。こちらの成果を欲しがっている。

カネと時間がかかっているので、簡単には渡せませんが、いずれにしてもそういう競争はすでに始まっています。そのわりにわが国はのん気に構えてきました。そこでお尻に火をつけて獲得したのがこの特区。われわれとしては必死ですが、カネと時間とヒトが一定程度必要になりますので、これから大変な作業になると思っています。食に関しては、国がもう少し危機意識を持って取り組んでくれないと困ります。いろいろ言ってきて、少しずつ国も本気で考え出してはいますが。今回もその一例でしょう。

(報道)今回の構成メンバーを見ると、行政の主導で動いている印象であり、民間の技術開発やモノを売りこむスピード感と行政の手続き重視のスピードとはズレがあるのではないか。官民のギャップが今後出てくるのではと思うが、どのようにクリアしていくのか。

【近藤会長】
それは熱意と腕力。それしかありません。(高原副知事へ)そういうことですね。

【高原副知事】
腕力というのもいろいろな解釈ができますが、やる気、実行力、本気度。精神論で恐縮ですが、近藤会長が言ったように、東アジアの市場が5年位で倍になると予想されているため、北海道の基本の基本である農業、水産業の生産体制をしっかり堅持して、技術で付加価値をつけて、道外、海外へ輸出して、外貨を稼いで北海道の経済を回していくという発想であり、その各段階、生産から加工、流通、販売の各段階において民間の力が必要となり、食の総合産業化というのもまさにそういうことです。

各段階におけるやる気、本気度、腕力が必要になると思いますので、そこを行政的に皆さんが参画しやすい環境づくりが道庁の役割になりますし、民間の知恵を結集するのが道経連の役割と思っています。また、われわれの連携も大事になります。

【米沢市長】
すでに十勝の場合は、「フードバレーとかち推進協議会」が設立されており、いわゆる民間も農業団体も含めて41団体が同様のコンセプトで動いています。
ただ、ご指摘のとおり、初めての活動なので、いろいろな摩擦も起きています。

起きないと仕事ではないので、そこを腕力で越えていこうというのはまさに至言と思い聞いていましたが、それぞれの自治体で今まで何もしていなかったわけではなく、これまでそれぞれやってきている積み重ねがありますので、それに今回、新しいHFC特区の網をかけていくという作業と思っています。

【近藤会長】
最終的には民間の生産者から、民間の消費者にモノをいかにスムーズに流すかということですので、民のべースで流れることが条件になります。そのために、官がどこまで力になってくれるかということ。今回は大いに道庁さんに期待しています。

仕事の進め方は、北海道は官も民も本州に比べると遅いので、従来よりもスピーディーにやっていく必要があります。民の北海道のスピードに比べればはるかにスピーディーな本州のスピードに追いつかない限り、国際的な成果はあがらないでしょう。

そこまで機動力を持った組織にしなければならないと思っています。そうは言っても、道庁さんは北海道の親分なので、そこがしっかりしてくれないとどうしようもありません。でも今回は、かなり期待できると楽観的に考えています。

(報道)道内にはナショナルブランドの食品メーカーの工場はたくさんあるが、全国規模の食品メーカーは北海道には少ない。東アジア市場を目指すためには、スケールメリットを目指す必要があると思うが、今回の特区は機能性食品のように質を高めて勝負するのか、それとも質を高めながらスケールメリットを追い求めていくのか。

【近藤会長】
それは両方。先ほど米沢市長が言ったとおり、産地で最終商品を作って大々的に売っていくということですので、しっかりとした規模的にも大きな工場、企業がここに参入してくれることを求めていきます。そのために魅力ある特区条件、特区措置があります。

国がくれた特区措置を使いながら、彼らに「そちらに行ってみようか」と言ってもらえるよう、東証一部上場のしっかりした企業が帯広に工場を設けるとか、第二のカルビーを設けるとかいうことは大いに期待しています。そのような話が一つ二つ出て来ないと、輸出なんてできません。ただし多少時間がかかるので、5年ではキツイと思っています。

(報道)今日の資料にも様々なメニューが載っており、将来的な内容もあると思うが、事業がスタートすることで、まず出てくる具体的な動きとして、どのようなことを想定しているか。

【近藤会長】
既存の商品、従来の取り組みがありますので、小規模ながら買い手を見つけて運ぶということは今もやっていますが、それを目に見えるように拡大していくことはすぐにやらなければなりません。その作業は今もうスタートし始めています。

新しい付加価値の高い商品を生み出して売っていくという研究開発もやっています。新しい商品、既存の商品、いろいろと手掛けていますが、まだ皆さんの目に見えるようにはなっていません。ここの部分は、弱いが故に強くしていかなければならないということで大変な作業です。

食品の分野は、一つの商品だけで大きな売り上げを上げることはできず、価格の安い商品を数で稼いでいくという世界なので、一気にご紹介できる所までは至っていませんが、成果は着々と上がっています。地道に取り組まなければならない仕事と思っています。

(報道)北海道ではバックアップ拠点構想を検討中であり、その要素のひとつに食料備蓄がある。道経連でも雪氷冷熱を使った食糧備蓄の構想を手掛けていたと思うが、これとの関連はどうか。

【近藤会長】
食料安全保障上の食料備蓄ということについては、今すぐここに取り込んでということは考えていません。むしろ、備蓄というより雪氷冷熱を使ってできるだけ出荷期間を長くする。イチゴ、カボチャ、イモ、タマネギなど、冬になると本州のモノしか食べることができないのは悔しい。こういう所を1ケ月でも2ケ月でも延ばすように、品種改良と併せて備蓄方式、冷熱を使った貯蔵方式の改良に私どもの関心は移っています。
確かにかつては、コメ600万トンの貯蔵、毎年100万トンを入れてという話があり、この取組みは消えてはいませんが、私はこの取組みとは関わりを少なくして、むしろ出荷期間を延ばすために冷熱を使いたいと考えています。

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