手話がつなぐ心と心(広報おびひろ令和7年11月号掲載)

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ページ番号1021451  更新日 2025年10月20日

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今年、帯広市は「手話言語条例」制定から10年の節目を迎えます。

皆さんは帯広駅の北口に、大きな三本の手のモニュメントがあるのを見たことがありますか。そして、この三本の手の指が、指文字で帯広を表しているのをご存じでしたか。正面右から順に「お」「ひ」「ろ」の形をしていて、「ひ」を横に動かすと「び」と読むことができます。

手話は、手指や体の動き、豊かな表情を使って視覚的に表現する言語で、固有名詞などは指文字で補います。こうした表現方法は国によって異なり、例えば、日本での「ありがとう」は、力士が懸賞金を受け取っておじぎをする動作を基に表現されていますが、アメリカでは口元から右手を離す、投げキッスのようなしぐさになります。手話を通じて、その国の文化や生活環境が見えてきますし、今では音声言語と対等な言語として国連にも認められています。

手話について、私たち日本人は「大切なもの」との意識は持ちながらも、いざ使うとなるとためらう方も少なくないと思います。喜怒哀楽などの感情を表に出さないことが美徳とされ、生真面目で何事にも完璧さを求める日本人の文化や気質が邪魔をしているのかもしれません。そんな私たちでも、お店で同じ飲み物を二つ頼む時には指を2本立てますし、子どもに声を掛ける時には、怖がらせないよう自然と笑顔になります。また、海外に出掛けた時には、あいさつなどの簡単な会話や身ぶりで楽しく過ごしています。

聴覚に障害のある方との会話も同じです。「こんにちは」や「ありがとう」を手話で交わすだけで、相手を思いやる気持ちが伝わるのではないかと感じています。

11月29日と30日の二日間、障害福祉イベント「オビパラフェスタ」の特別企画として、「ダイアログ・イン・サイレンス・ショーケースin帯広」を開催します。聴覚に障害のある方の進行のもと、静寂の中で集中力や観察力、表現力を高め、視覚による対話を体験する催しです。表情や身ぶり・手ぶりだけで相手の考えを理解し、相手にも伝えることの難しさを感じる一方で、言葉を使わなくても分かり合える喜びを感じられるのではないでしょうか。

多くの手話を覚えることも大切ですが、それ以上に大切なことは、相手の気持ちに寄り添い、思いやる心だと思います。このイベントを通じて手話への関心が高まり、互いが理解し合える地域づくりが広がることを願っています。

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政策推進部広報秘書室広報広聴課広報広聴係
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