平成27年7月10日 市長記者会見

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ページ番号1001184  更新日 2020年12月14日

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とき
7月10日(金曜日)16時〜16時30分
ところ
市庁舎4階 会議室
出席者
帯広商工会議所会頭 高橋 勝坦 様
一般社団法人北海道中小企業家同友会
とかち支部支部長 山本 英明 様
独立行政法人国際協力機構 北海道国際センター帯広
代表 睦好 絵美子 様
米沢 則寿 市長

写真:共同記者会見の様子

JICA「草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)」の採択について

<市長>
本日はJICAが実施いたします「草の根技術協力事業 地域活性化特別枠」につきまして、帯広市から提案した2件が採択されたという事で発表させていただきたいと思います。

今回の記者会見は、事業の提案者である帯広市と、事業の実施団体である帯広商工会議所、北海道中小企業家同友会とかち支部、そして事業の採択にあたって、御尽力いただきましたJICA北海道国際センター(帯広)の4者で行うことといたしました。

この事業は、地域が持つ技術や知識を活用して、海外の開発途上地域に貢献する、そして開発途上国のニーズを、この地域のリソースと積極的に結びつけ、地域の活性化も合わせて促進していこうというものであります。

今回採択されましたのは、帯広商工会議所が、タイ・マレーシアにおいて実施するフードバレーとかちを通じた地域ブランドと、ハラル対応(イスラム教の作法に従って処理された食べ物)による産業活性化及び中小企業振興プロジェクトの事業費が4,800万円、北海道中小企業家同友会とかち支部が、モンゴルにおいて実施する農産物等の流通改善及び土壌改良による農業者の収益向上事業の事業費が6,000万円であります。

いずれも平成25年度に引き続き2度目の採択となりました。これまで取り組んできた帯広商工会議所や中小企業家同友会とかち支部の実績と、これをベースに発展的な提案をした今回の事業内容が高く評価されたものと考えております。

今、全国で地方創生に向けた総合戦略の策定が進められておりますが、地方の特色ある企業が、地域にある資源を最大限に活かしながら、世界を舞台に活躍していくという十勝の取り組みが、他の地域にも参考にしていただけるのではないかと思っております。

今後も、中小企業が進める開発途上地域での国際協力と、そこで出来たつながりを活用した積極的な海外展開を、行政、経済界そしてJICAが連携し、後押しすることが、ここ十勝地域の活性化と持続的な成長に繋がっていくのではないかと期待をしているところであります。私からは以上であります。

<高橋会頭>
帯広商工会議所では、これまでの「JICA草の根技術協力事業」において、東南アジアの食産業人材育成事業として、タイとマレーシアを対象に中小企業の派遣、受入交流事業を実施してきました。

タイではタイフェクス(THAIFEX)、マレーシアではスミデックス(SMIDEX)という見本市に出店してまいりました。また、相手国のニーズに対応した研修事業の実施を通じて、中小企業のビジネスチャンスを探ってきました。

本年4月には、マレーシアのハラル展示会であるミハス(MIHAS)にも出店し、現地企業とのコラボレーションビジネスの展開を支援したところです。中札内のとかち製菓においては、ハラル認証の大福の製造に向け、現地企業とOEM生産の契約を交わし、海外ビジネス展開に向けたスタートを切ることができました。昨年のスミデックスにおいて、大福の評判が大変良くて、皆さんから好評をいただき、こうしたことになったわけでございます。

また、タイからは、酪農技術と乳製品加工技術の習得のため、池田町のパパラギを中心とした相互交流が進みまして、今後の現地でのビジネス展開を期待しているところでございます。

平成25年度からスタートした「草の根技術協力事業」は帯広商工会議所で初めて取り組む事業でしたが、このような成果を残すことができたことは、JICAをはじめ、帯広市あるいは帯広畜産大学、とかち財団、十勝地区農協組合長会など、関係機関の皆様には感謝を申し上げます。

この度提案した事業が採択され、今後、両国間の交流がさらに深まっていくことができることになりました。タイはチェンマイ、マレーシアはケダ州において、地域ブランド化に向けた相互交流や、十勝でのハラル認証をめざして、両国間の課題解決とともに、ビジネス交流が発展することができるように帯広商工会議所挙げて事業を実施してまいりたいと考えてございます。今後も関係機関の皆様のご理解とご支援よろしくお願いいたします。

<山本支部長>
北海道中小企業家同友会とかち支部では、2013年から農産物の安定供給のための「貯蔵技術改善普及プロジェクト」を、副支部長である林プロジェクトリーダー中心に行ってまいりました。昨年はモンゴルのウランバートルから北に100キロメートルほど離れたボルノール村に、十勝の寒冷地の保管技術を活かした貯蔵庫を建て、冬季の保管については一つの成果を得たというところで、今年は、そこに氷を入れ夏場の保管についても実験を進めながら、特に馬鈴薯の生産現場で長期の保管ができないものかという実験を次のステップとして進めています。

実は、農産物を保管できないというところが、現地の生産者・農家にとって、相当デメリットになっており、収穫期に全部売ってしまわなければならないという状況が発生しております。生産地で一定の保管ができるという技術を導入することで、安定供給しながら、価格も安定させていくことが可能になると考えております。

今回の新しい事業では、中国からモンゴルを通ってロシアまで行く「国際道路」に面した土地に、新鮮な野菜の直売所の開設を行います。

また、我々同友会のとかち支部には農業者も数多く所属しておりまして、わが国でトップ水準の栽培技術を持っている土地柄であることから、栽培に係る土壌分析や栽培技術向上を、直売所の設置と同時に進めて、このボルノール村のブランド化を図ろうという事業です。

それぞれのプロジェクトには、十勝での豊富な経営実践のある経営者あるいは農業者などが担当し、農業団体とも連携しながら十勝地域全体で支援していきたいと考えております。最終的には、プロジェクト終了後、モンゴルの方々が自分達で直売所等を経営できることを目標に、この事業を進めてまいりたいと考えております。十勝の中小企業家の知恵を集結してこれらの活動にあたりたいと考えておりますので、関係各位の御協力を心からお願いいたします。

<睦好代表>
今回の事業提案にあたりまして、関係者の皆様の御協力に感謝申し上げます。平成26年度補正予算による「草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)」では、全国の提案案件数66件のうち、採択案件が31件でした。このうち、帯広市から提案をいただいた2件がいずれも採択されたことをJICA帯広センターとして大変喜んでおります。今回事業の採択が決まり、これから事業の詳細計画の検討、それぞれの国での実施機関との合意書の締結を経て、JICAと実施団体であります商工会議所、中小企業家同友会とかち支部との年内の契約締結を目指しています。

この草の根技術協力は、日本の地域の知識・技術や経験を活かして開発途上国のさまざまな課題解決を図るため、日本の人材から現地の人材への技術指導を中心とした技術協力であります。特に日本の自治体や地域が持つノウハウが途上国に必要とされておりますが、そういった事業に採用されております日本の民間企業の製品・技術やサービスも求められておりまして、こうした行政と民間企業の両者による協力が途上国側から期待されている状況であります。

この地域活性化特別枠では、日本の地域が相手国で必要とされる協力をするとともに、相手国の様々な需要・ニーズを日本の地域の技術や企業の製品やサービスと積極的に結びつけ、国際化や地域の活性化を支援することを目的としております。この事業は3年間に渡り、現地への派遣や調査・技術指導を行い、また、現地から日本に来ていただいて、こちらでの研修・視察や、こちらの企業や農家などの様々な方と交流を行うといったことを繰り返して実施することで、信頼関係・人間関係の醸成、そして事業内容をより具体化して成果につなげること、そして人材育成が図られることが期待できます。

今回の案件では、十勝の特長であります高い農業生産技術とそれを支える施設や制度、また地場企業による地域の産品・乳製品を使用した安全性の高い食品の生産、そして地域ブランド作りの取り組みなど、これらはアジアの国が今求めている取り組みであると思います。高い経済成長を遂げているアジアの国々ではありますが、農村部の開発・農業地域における農業生産性の向上ですとか高付加価値化の取り組みは、まだまだ成長の余地があります。そうした課題にこのフードバレーとかちで蓄積してこられた技術が非常に求められている状況でございます。

帯広商工会議所のプロジェクトにつきましては、企業のほかに地域の様々な機関が参加し、産官学の連携によって、現地の食産業に関する様々なニーズに対応できること、そして両国の食品分野の中小企業の育成に貢献できるプロジェクトと思います。またこの案件ではマレーシアやタイと協力してハラル対応による産業活性化の推進を行うという点で、他の案件には無い特長となっております。

モンゴルのプロジェクトですが、こちらは中小企業家同友会とかち支部が中心となり、十勝の企業や農家が直接現地において、土壌改良や日本で言う道の駅を作って農産品の販売の支援を行います。これによってモンゴルの農家の生産性向上や収入の向上が期待されております。帯広市そして経済界、企業の皆様、JICA等々が協力しまして、地域発の国際協力により、これらの国々と十勝の両者にとって有意義な成果を上げることができるように、JICAといたしましてもできる限りの支援をしていく所存でございます。

報道機関との質疑応答要旨

<報道>
採択されたのは31件ということですけど、道内では何件か、また、2回目の採択となったのは何件なのか。

<睦好代表>
全体の公表が来週になっておりまして、申し訳ございませんが、現時点では申し上げられない状態です。
※7/15公表:道内採択件数3件(帯広市2件、札幌市1件)
2回目の採択となったのは、9自治体(東京都、香川県、埼玉県、広島県、札幌市、帯広市、東松山市、横浜市、福岡市)

<報道>
採択された二つの事業については、今後、詳細計画と合意書の契約を現地の人と目指していくとのことですが、いつまでに採択が決まるという見通しはたっているのですか。

<睦好代表>
事業の提案として今回採択され、既に両団体とも現地の実施機関とも大まかな内々の合意ができている状態です。今後、文書での詳細な計画に関しての合意書に署名するプロセスがあります。

<報道>
年度内とか、来年1月からとか、合意をしてスタートさせていく具体的な日程を教えてください。

<睦好代表>
2年前の例ですと、この採択から実際に合意書にサインができて契約が開始されたのは4、5ヵ月かかっておりますので、今回につきましても年内を目指しております。

<報道>
前回は、商工会議所が1,500万円、同友会が3,000万円の事業費であったが、今回4,800万円と6,000万円の事業費となったことについて、どう評価をされたと考えておられるのか。

<高橋会頭>
前回の事業では、JICAさんを通じた現地視察のほか、ハラルに関するものにどういうふうに携わっていくのか、あるいは地元の中小企業との関連がどのようにあるのか、そのへんの研究をずっとしてまいりました。
そうした中で、もっと連携や共同開発ができるという事で、今回応募いたしまして、大変大きな金額をいただきました。前回の事業では、現地とのコミュニケーションや流れをつかむことができたので、今回の事業ではもっと深く相互に入っていけるスピーディーな協力関係を築いていきたいと考えています。特に、タイのチェンマイは、農産品を都市に送り込む地域であり、農業生産については、十勝と同じような地域であり、こうした環境の中で、連携を行いしっかり取り組んでいくことで、農業生産、あるいは農畜産の関係で、非常に強くなると思います。

<山本支部長>
現地においては、農産物の保管施設が無く、農産物は買いたたかれていたが、現地ではこれに対する意識が比較的少なく、こうした課題が顕在化していたわけではありませんでした。現実に貯蔵施設を見たり、技術セミナーを開くなど、我々がこうしたアプローチをしたことによって、保管・物流、流通に関する事が、市場に影響するということが現地において顕在化しました。
今回採択をいただき、これだけ大きい金額も与えていただいて、前に進みなさいということは、現地のニーズが非常にあったということ。また、寒冷地の貯蔵で、この北海道・十勝というのは先進的な地域でもありますので、その地域柄とのマッチングもあって、そこを評価していただいたと思っております。

写真撮影後終了

以上

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