ふるさと見聞録−おびひろの自然

 「広報おびひろ」でほぼ毎月、帯広の自然や歴史について紹介しているコーナーです。
 本ページでも掲載しており、ご覧いただけます。

クジャクチョウの冬越し 広報おびひろ平成29年12月号

 積み上げたまきの下にチョウを見つけました。裏側を見ただけだと真っ黒で、種類がよく分かりません。驚かさないようにそっと表側を見てみると「クジャクチョウ」でした。
 クジャクチョウはその名の通り、羽の表側にクジャクのように派手な目玉模様があるのが特徴です。派手な表側とは対照的に、裏側は黒色系の地味な色ですが、どちらも外敵から身を守る効果があるといわれています。目玉模様は外敵を威嚇し、地味な色は外敵から気付かれにくく身を隠すのに好都合というわけです。
 皆さんはチョウの越冬の仕方をご存知ですか。多くのチョウは卵やさなぎの状態で越冬しますが、クジャクチョウは、成虫のまま物陰などで越冬します。羽を閉じたときに現れる裏側の地味な色は、無防備になる冬越しのときに役に立つのです。
 もし越冬中のチョウを見つけても、そっとしておいてあげてください。厳しい十勝の冬を乗り越えて、春にはまた、元気に飛び回るチョウと再会できるといいですね。

冬眠するクジャクチョウ

 

羽を開いたクジャクチョウ

帯広の保存樹木「カシワ」 広報おびひろ平成29年10月号

 帯広市は市内にある「由緒・由来のある木」や「学術的価値の高い木」として10本を、保存樹木に指定しています。中央公園(西3南7)東側には、平成2年9月に帯広市で最初の保存樹木に指定された、推定樹齢150年のカシワの木があります。
 中央公園は帯広小学校の跡地に造成されましたが、この木は小学校が建築された時には、すでにそびえ立っていました。その後も、小学校のシンボルとして子どもたちと共に成長してきた歴史があり、中央公園が造成された後も唯一残されてきた木でもあります。カシワは十勝地方を代表する木で、昔はどこにでも見られましたが、今では公園や防風林などの一部に残っている程度です。
 カシワの葉は、縁が丸く大きな波状になっていて、秋に枯れた葉は、春に新芽が出るまで落葉しないのが特徴です。「代が途切れない」縁起物として、塩漬けにして柏餅を包むのに用いられます。  
 ぜひ、まちや人々の営みを途切れることなく見守り続けてきたカシワの老木に触れて、帯広の歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

帯広を150年余り見守るカシワ
帯広を150年余り見守るカシワ

 

森の再生と外来植物オオアワダチソウ 広報おびひろ平成29年9月号

 帯広の森では、十勝に生育する在来植物が生い茂る、ふるさとの森の復元を目指し、市民による森づくり活動が行われています。
 その森の再生を妨げる要因の一つに、外来植物の存在があります。代表格である北アメリカ原産のオオアワダチソウは、種子と地下茎の両方で繁殖し、一面に広がると他の植物の生育が困難になります。帯広の森にも広く分布し、8〜9月に花穂が咲くと一面黄色いじゅうたんのようになります。繁殖力が強い草ですが、刈り取りや抜き取りを3年間続けると、生育を抑えられることが確認されました。また、森づくり活動を行う市民団体「エゾリスの会」は、試験的に表土を30センチ〜1メートルの深さで掘り、オオアワダチソウを根ごと取り去って、自然に在来植物が生育・定着するかを観察しています。これは外来植物がはびこる場所を在来植物が生育する環境へと効率的に転換させる新しい試みで、今後の経過が楽しみです。皆さんも市民団体などが行っている、さまざまな森づくり活動に、ぜひ参加してみてください。

小学生によるオオアワダチソウの抜き取り作業
小学生によるオオアワダチソウの抜き取り作業

 

ナミテントウ〜模様は違っても同じ種類〜 広報おびひろ平成29年8月号

 赤い甲羅に七つの黒い斑点が特徴のナナホシテントウをはじめとして、知名度が高い昆虫「テントウムシ」。愛らしい姿から、「幸運の虫」とされ、世界中で愛される存在です。幼虫、成虫ともに、植物に寄生する害虫のアブラムシやカイガラムシを好んで食べることから、家庭菜園をする人にとっては有益な昆虫でもあります。
 テントウムシ科の仲間のうち、よく見られるものの一つに「ナミテントウ」がいます。甲羅にさまざまな模様があるのが特徴です。黒地に赤の斑点が二つまたは四つ、斑点が欠けたもの、橙地に黒い19個の斑点、無紋のものなど、見た目には、別の種類だと思ってしまうほど模様が異なります。模様の現れ方は遺伝子が関係していて、雄と雌の掛け合わせによって決まります。
 植物につくアブラムシを食べているナミテントウを見つけたら、きっと近くの葉の上にナミテントウのさなぎがいるので探してみてください。模様を想像しながら羽化するところを観察してみるのも面白いですよ。

ナミテントウのさなぎと成虫
ナミテントウのさなぎと成虫

 

「帯広の森」にある自然のお花畑 広報おびひろ平成29年7月号

 真夏を前に、木々の葉が茂って暗くなった林の中では、ランやイチヤクソウの仲間がひっそりと花盛りを迎えています。
 「帯広の森」の、ある一角では、ベニバナイチヤクソウが群生し、自然のお花畑になっています。この植物は、特定の樹木や菌との微妙な関係が成り立つ場所でしか成育できません。発芽には土の中にいる菌の働きが必要で、成長後は別の菌を介して、トドマツなどの樹木から間接的に養分を得ることで、暗い林の中でも生きられるのだそうです。美しさの裏にある、巧みでしたたかな生き様です。
 「帯広の森」はかつてあった郷土の森の再生を目指し、42年前から市民の手で植え、育ててきた人工の森ですが、鳥、昆虫、樹木、草花などさまざまな自然の生き物が姿を見せはじめています。ベニバナイチヤクソウの群落もその一つです。
 もちろん、間伐や外来種の対策など、まだまだ人の手も必要です。自然の力を生かし、時に人の手を入れつつ、みんなで育てていく「帯広の森」の森づくりはこれからも続きます。

帯広の森に咲くベニバナイチヤクソウ
帯広の森に咲く
ベニバナイチヤクソウ

 

帰ってくる?オオアカゲラ 広報おびひろ平成29年4月号

 全長24センチほどのアカゲラは市内でよく見られますが、28センチほどのオオアカゲラを見たことがある人は少ないと思います。例えば身長150センチの人の横に180センチの人が立ったくらいに感じるほど、オオアカゲラは体格が良く、迫力を感じさせるキツツキです。また、アカゲラは木を掘らずに捕れる昆虫をひなに与えますが、オオアカゲラは木の中のカミキリムシの幼虫などをひなに与えます。
 平成6年頃までは緑ヶ丘公園など帯広の市街地でも週に一度は見られましたが、それ以降はほとんど見られていません。アカゲラは生活範囲を1日で周回するのに対し、オオアカゲラは1週間かけて広い範囲を回るようです。帯広は平地の林が細かく分断されていて、その間を飛び渡るのはリスクが高く、効率も悪かったからかも知れません。
 しかし最近「帯広の森」で再び観察されました。森が成長したことで彼らは帰ってきたのでしょうか?そんな彼らの生息条件に合った自然が育まれるように、今後も見守りたいと思います。

木をつつくオオアカゲラ
木をつつくオオアカゲラ

 

春の足音 〜ほころぶヤナギの芽〜 広報おびひろ平成29年3月号

 雪も寒さもまだまだ続く時期ですが、自然の生き物たちは春に向けて、もう動き出しています。
 樹木では、ヤナギの花芽がふくらみ始めています。ヤナギの仲間はとにかくせっかちで、2月ごろに芽がほころび始め、4月の初めごろには他の植物に先駆けて花をつけます。5月下旬ごろには綿毛をまとった種ができ、風に乗せて飛ばし始めます。そのころ、ヤナギが生育場所として好む河原は、ちょうど雪解け水の水位が下がり、まだ湿り気が残って、発芽に適した環境となります。運よくそこに運ばれたヤナギの種はすぐさま芽を出し、夏のうちにぐんぐん成長します。冬の間から始動するのは、発芽時期から逆算してみると合点がいきます。
 昨夏の台風による大増水で、十勝でもあちこちの河原の草や木が流されました。これは、草木たちの次なる陣取り合戦の幕開けでもあります。ヤナギの仲間は、その空き地にいち早く種を運び、先陣争いを制することができるでしょうか。

ほころび始めたヤナギの花芽
ほころび始めたヤナギの花芽

 

外来針葉樹のふるさとを訪ねて 広報おびひろ平成28年11月号

 現在「帯広の森」には、郷土樹種であるカシワやハルニレなどの広葉樹、トドマツやアカエゾマツといった針葉樹のほか、「バンクスマツ」という聞き慣れない外来種の針葉樹もみられます。景観や防風効果を高めるために外来針葉樹の苗木は植えられましたが、環境が合わないのか、その松ぼっくりの種から芽生えることはほとんどありません。本来、どんな場所に自生しているのでしょうか。
 7月にカナダのサスカチュワン州を訪ねました。小麦を代表とする穀倉地帯です。州北部には北方針葉樹林がどこまでも広がり、あまりのスケールの大きさにため息が出るほどです。この広大な森林を構成している樹種の一つが、「バンクスマツ」でした。バンクスマツは強い熱を受けた直後に松ぼっくりが開きます。そのため、バンクスマツの林が新たに成立するには、森林火災によって松ぼっくりが開き、種が散布されなければなりません。植物にはそれぞれ「育つための条件」があるのです。
 帯広の森でも、植えられた郷土樹種は種を落とすほどに大きくなりました。種から芽生えた郷土樹種の「育つための条件」に注目して森づくりを進めていく必要があります。郷土樹種が生い茂る、緑豊かなふるさとの森を、市民の皆さんとともにつくりあげていけたらと思います。

地平線が望める広大な北方針葉樹林帯(カナダ)
地平線が望める広大な北方針葉樹林帯(カナダ)

 

オオウバユリ 広報おびひろ平成28年7月号

 ラッパ型の大きな花をつけるオオウバユリ。帯広の森では7月中旬頃から、一斉に咲く様子を見ることができます。
 人の背丈ほどの大きさがあり、写真で見ると派手な印象ですが、薄緑色の花は森の中だと意外と目立たず、気付かずに通り過ぎてしまう人もいます。
 成長が遅く、開花には8〜10年ほどかかると言われています。しかも花が咲くのは一生に一度きり。秋に実をつけた後は枯れてしまいます。一度の開花で確実に子孫を残すためか、一つの実の中には数百個もの種が入っています。種は風で飛ぶように平たい形になっていて、立ち枯れした実と茎は翌年の春まで残り、その間に種を飛ばします。
 帯広の森では散策路からもオオウバユリが見られます。ぜひ見に来てください。

オオウバユリ

帯広の森に咲くオオウバユリの花

チョウは好き!ガは嫌い? 広報おびひろ平成28年6月号

 大空を華麗に舞うチョウ。十勝地方では104種類が確認されています。チョウは「かわいい」「きれい」などのイメージがあり、愛される存在です。標本をコレクションしている人も多く、初心者でも捕まえやすいので子どもの昆虫採集でも人気があり、親しまれる昆虫と言えるでしょう。
 一方、ガは、チョウに比べて種類が多く、身近に生息しているものの、「気持ちが悪い」「怖い」などのイメージがあり、嫌われがちです。
 好き嫌いが極端に分かれるチョウとガですが、実はどちらも同じチョウ目で、大きな違いはありません。「羽の閉じ方」「昼行性か夜行性か」「派手か地味か」などで分けるにはどれも例外があり、はっきりと分類することはできません。日本では便宜的に触角の形状で分けていますが、外国では区別せず、チョウ目全てをチョウと呼ぶ国もあります。
 野外でチョウやガを見かけたら、じっくり観察してみましょう。どちらか分からないときは、百年記念館に調べに来てくださいね。

実はこちらがチョウ

実はこちらが チョウ

なんとこちらがガ

なんとこちらが ガ

帯広市の保存樹木「ポプラ」 広報おびひろ平成28年5月号

 西4条南9丁目の「さかえ公園」にある立派なポプラ。推定樹齢120年で、帯広市の保存樹木に指定されています。市は「由緒・由来のある木」などを保存樹木に指定していて、このポプラには次のような歴史が伝えられています。
 明治31年、十勝支庁長に着任した諏訪鹿三(すわしかぞう)氏は、さっそく管内の現地視察を行いました。そこで目の当たりにしたのは、開拓により、緑豊かな原始林が次々と切り倒されていく光景でした。「このままでは十勝に木が1本も無くなってしまう」と危惧した諏訪支庁長は、翌年の春、自ら抱いた危機感に賛同する人を集め、共に苗木を植樹したそうです。そのうちの1本がこのポプラで、この取り組みが十勝地方における最初の緑化運動だったと言われています。
 天高く伸びるポプラの雄大な姿はまるで、諏訪支庁長の緑化に対する思いを今もなお語り続けているかのようです。近くを通った際にはぜひ、ポプラの声に耳を傾けてみてください。

天高く伸びる「さかえ公園」のポプラ

天高く伸びる「さかえ公園」のポプラ

ブヨブヨのカエル 広報おびひろ平成28年4月号

 水辺に春の到来を知らせるエゾアカガエル。冬眠明けの姿を写真に収めました。よく見ると、見慣れたカエルの姿とちょっと違います。なんだかブヨブヨとして、体に「ひだ」があります。
 エゾアカガエルは冬の間、川や池の底でじっとしています。11月ごろに小川の底を掘り返してみるとカエルを見つけたり、湧き水の出口付近にいることがあるので、もう秋のうちに冬眠する場所に来ているのかもしれません。
 カエルには魚のような「えら」がないので、水の中では皮膚から酸素を取り入れるしかありません。水中にいる時間が長い冬の間は、体の表面積を大きくするので、冬眠から目覚めたばかりのときは、皮膚が余ってブヨブヨになるようです。
 4月上旬、水の中の石をひっくり返すと、ブヨブヨになったカエルが出てくるかもしれません。

ブヨブヨのカエル

 

街を抜けると森がある 広報おびひろ平成28年3月号

 かつて十勝平野の平地林は、カシワ林に広く覆われていました。農地開拓や市街化などを経て、平地林は急減しました。帯広の街を囲うように広がる「帯広の森」は、平地林の再生を目標につくられた都市公園です。最初の植樹から40年以上が経過し、今では森らしい場所も増えてきました。
 都市近郊の平地林について学ぶため、昨年4月に神奈川県相模原市の「木もれびの森」を訪れました。ここはかつて薪炭林(しんたんりん)として利用された雑木林で、台地の上に残された平たんな樹林として首都圏では貴重な場所です。ベッドタウンの住宅地を抜けると、クヌギ・コナラ林が広がる別世界が現れました。森の道路は通学路にも使われ、散策する人も多くみられました。連なる木々に包み込まれる独特の感覚は、「ここは帯広の森か」と錯覚するほど似ていて、改めて市街地に隣接する平地林の貴重さを実感しました。
 人の手でつくられた帯広の森は、植樹した木々の林床に森の次世代を担う多様な在来種の苗が育ち始めています。多くの市民の協力を得て、将来の森への移行を促していく重要な時期にきています。

木もれびの森

遠くまで広がる平地林
(相模原市にある「木もれびの森」)

ヌップク川源流部河畔林群1 広報おびひろ平成27年11月号

 「ヌップク川源流部河畔林群1」自然環境保全地区は、大正地区を流れる清流「ヌップク川」の源流部に位置する森です。
 この辺りは、大正地区の中でも早くから入植が行われた地域です。湧き水が豊かな小川の源流部は、暮らしに欠かせないきれいな水が手に入るため、入植当時から貴重な場所だったようです。
 当時は、家があり人が暮らしていましたが、今ではその息吹を感じるものは無くなり、森になっています。ヤナギの大木以外はまだ細い木が目立つ若い森ですが、春にオオバナノエンレイソウやエゾオオサクラソウが咲き誇る光景は見事です。
 太古から帯広の大地を潤してきたこの貴重な森を、これからも守り続けていく必要があります。

ヌップク川源流部湖畔林群

森に響く秋の音色 広報おびひろ平成27年9月号

 はぐくーむ西側にある草原では、バッタの仲間の生息場所に配慮して所々に長い草を残して草刈りをしています。
 毎年9月には彼らの鳴き声でうるさいくらいになります。その中でも特にきれいな声で鳴くのが「カンタン」という虫。聞き慣れない名前ですが、「ルルルルルルル…」という美しくもどこか寂しげな鳴き声は、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
 北海道にはスズムシ、マツムシはいないので、秋に鳴く虫といえば、多くはカンタンやコオロギ。8月下旬から鳴き始めるカンタンの声に、夏の終わりを感じる人も多いのではないでしょうか。
 ところで、カンタンはどんな姿か見てみたくなりますが、人の気配に敏感で逃げ足も速く、姿を見たり捕まえたりするのは”簡単“ではありません。その分、見つけた時の喜びは大きいもの。帯広の森や近くの草原に、カンタンを観察しに来てみませんか。

森に響く秋の音色

スズメバチ 広報おびひろ平成27年8月号

 スズメバチの「ブーン」という大きな羽音、黄と黒の模様はまるで「危険!近づかないで!」と伝えているようです。
 寒い冬を朽ち木の隙間などで過ごした女王バチは、5月から6月にかけて、巣を作り産卵します。ふ化した幼虫が成虫になるまで、女王バチ自身が幼虫を育てます。昆虫などを捕まえ、かみくだいて団子状にしたあと、食べやすいように細かくし、幼虫に与えます。幼虫は大あごを巣の壁にこすりつけて「カサッ、カサッ」と音を鳴らして餌を催促するなど、食欲旺盛。女王バチはせっせと餌を運び、幼虫が口から出す栄養豊富な液体をもらってエネルギーにしています。
 8月から9月になると、女王バチに代わって働きバチが巣を大きくし、子育ても大忙しで活動が活発になり、野外で見かけることが多くなります。攻撃的で恐ろしいイメージですが、たくさんの昆虫を捕えて自然界のバランスを保っています。「危険!近づかないで!」のサインに注意して、上手に付き合いたいものです。

スズメバチ

帯広の保存樹木「ハルニレ」 広報おびひろ平成27年7月号

 稲田町東2線にある「はるにれ公園」のハルニレは、平成2年9月7日に帯広市で最初に指定された保存樹木です。公園の真ん中にどっしりと根を張るこのハルニレは、推定樹齢200年といわれています。
 大正時代、岐阜県から帯広に入植した人たちに「山の子さん」と呼ばれ、山の神様として崇拝されていました。男性が樹幹にしめ縄などを飾り、大きなぼた餅をお供えして、その年の豊穣や家庭円満を願ったと伝えられています。
 帯広市内の保存樹木には、このような「由緒・由来のある木」や「学術的価値の高い木」などが指定されています。現在、「はるにれ公園」のハルニレを含めた10本が帯広市の保存樹木として大切に保全されています。
 保存樹木の近くには、樹木名や歴史的背景などが載った看板が設置してあるので、巡って見てみるのも楽しいと思います。

雄大に枝葉を広げる「はるにれ公園」のハルニレ
雄大に枝葉を広げる「はるにれ公園」のハルニレ

春を彩る森の妖精たち 広報おびひろ平成27年5月号

 フクジュソウ、アズマイチゲ、エゾエンゴサク、ニリンソウ、オオバナノエンレイソウ…。春、落葉樹林の林床(森林内の地面)は美しい花々で彩られます。
 雪が解けて木々が開葉するまでの限られた期間が、日差しが林床まで届き、彼らが躍動できる季節です。
 木々が芽吹き始め、上空を若葉が覆い林床に光が届かなくなる頃には花はしおれ、初夏に早々と実を結ぶと、地中に根だけを残して、地上から姿を消してしまいます。
 この花々は「春の妖精」とも呼ばれ、雪解け後の森にふわりと訪れ、可憐に花を咲かせては、はかなく静かに去っていきます。
 妖精たちの競演は、配役を入れ替えながら5月中旬まで続きます。
 薄手のジャケットを羽織って、森に出掛けてみませんか。きっと妖精たちが出迎えてくれるはずです。

帯広の森に咲くオオバナノエンレイソウ
帯広の森に咲くオオバナノエンレイソウ

歌舞伎役者も褒めた帯広の水 広報おびひろ平成27年2月号

 大正5年(1916年)、公演にやって来た歌舞伎役者が帯広の水に大変感激したというエピソードが、当時の新聞に書かれています。歌舞伎役者の名前は七代目澤村訥子。激しい大立ち回りを得意としたため「猛優」の異名をとった人物です。訥子は次のように述べています。
 帯広の水は大変化粧に適している。東京では3回ほど洗面しないとくまどりの化粧が乗らないが、帯広の水では1回で済む。また、くまどりを落とすにも東京 では3回洗顔が必要だが、帯広だとやはり1回で済む。さらに化粧で荒れた肌も、帯広の水で洗えばたちまちスベスベした肌になる。不思議な性質である。
 感激した訥子は、わざわざ使いの者を警察署に向かわせて「この水を瓶詰めにして東京に送り専門家に検査させるべきだ」と訴えたそうです。
 おいしいと評判の帯広の水ですが、100年ほど前にも帯広の水に魅力を感じた人がいたことを、当時の新聞は伝えています。

『とかち新聞』大正5年10月14日
『とかち新聞』大正5年10月14日

厳冬期のエゾリス 広報おびひろ平成26年12月号

 帯広畜産大学が緑ヶ丘公園にすむエゾリスの行動を研究していたときに聞いた話です。気温が氷点下20度を下回る「厳冬期」には、緑ヶ丘公園をすみかにするエゾリスの数が、最も少なくなるのだそうです。
 厳冬期には木の枝で編んだ巣ではなく、大木にできた穴「樹洞」を巣にすることが分かりましたがそのような木が5〜6本しかないため、厳冬期のエゾリスの数は5〜6頭に減ってしまうというのです。樹洞を巣にすることができなかったエゾリスは緑ヶ丘公園を離れる必要があり、交通事故などの危険にさらされてしまいます。
 近ごろはむやみにリスを追いかけたり、物を投げたりする人はいなくなりました。その一方、個体数が大幅に増えたので、エゾリス間の「種内競争」は激化している恐れがあります。厳冬期を過ぎれば、エゾリスは恋の季節。恋の戦いも激化しているのでしょうか。

巣の材料を運ぶエゾリス
巣の材料を運ぶエゾリス

雪虫 広報おびひろ平成26年11月号

 「冬の訪れを告げる虫」といわれる雪虫。白い綿のようなものをまとって飛ぶ姿は、まるで舞い降る雪のようです。そんな雪虫の正体は、トドノネオオワタムシというアブラムシです。アブラムシは、春から夏にかけて植物の葉や茎などに集団を作り、ストロー状の口で植物の汁を吸って過ごします。植物に群がる姿を嫌う人も多く、作物の害虫でもあり決して好かれる昆虫ではありません。
 しかし、アブラムシの中でも雪虫に対しては、優雅に舞う姿に、私たちは暖かい季節の終わりと冬の訪れを感じ、感慨深く見守ります。ニュースや新聞などの記事として、雪虫の発生が取り上げられることもしばしばです。晩秋を表す季語のように、物語の中に登場するなど、親しまれる存在でもあります。
 トドノネオオワタムシは、ヤチダモとトドマツに寄生します。白い綿状のものをまとって飛んでいるのは、卵を産むため、トドマツからヤチダモへ移動するときなのです。このときの季節がちょうど晩秋から初冬。雪虫が「冬の訪れを告げる虫」と呼ばれるゆえんです。
 みなさんは最近、雪虫を見ましたか?雪虫が舞うころ、冬はもうすぐそこです。

冬の訪れを告げる雪虫
冬の訪れを告げる雪虫

どうして木の葉は秋に色づくの? 広報おびひろ平成26年10月号

 植物の葉は、太陽の光で養分を作る「光合成」という働きをしています。春から夏に葉が緑色に見えるのは、葉に含まれる葉緑素が活発に働いて光合成をしているからです。葉緑素の主要な成分である窒素は、樹木が簡単には得られない資源です。そのため多くの樹木は、秋に葉を落とす前に葉緑素を分解して、窒素を翌年以降も使えるように、枝や幹に回収します。その結果、緑色が失われて赤や黄色に変わるのが紅葉です。つまり、貴重な窒素を再利用する、樹木の「資源リサイクル」が紅葉をもたらしているのです。
 これから深まる秋。樹木のつつましい営みを思いながら、木々の美しい彩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

アカトンボの見分け方
鮮やかに色づくヤマモミジ

アカトンボの見分け方 広報おびひろ平成26年9月号

 トンボは5月から10月まで見られる昆虫で、9月はアカトンボの仲間が最も多く見られます。緑ヶ丘公園の十勝池では、アカトンボ類は9種類の生息が確認されています。
 腹だけが赤く、胸の黒く太い帯が特徴のアキアカネは、たまにしか見られません。タイリクアカネは、胸の黒線が細く、羽はオレンジ色がかっています。よく見られますが、活発に飛ぶので捕まえるのが難しいです。マユタテアカネは最も多く見られ、額に一対の眉班があり、腹の先がカギ状に上を向きます。
 脚や羽など全身オレンジ色で、胸に黒い帯が無いのがキトンボです。羽の先が黒く、全身が濃い赤ならコノシメトンボ、羽の中間に茶色の帯模様、体が赤くてかわいらしいのはミヤマアカネです。
 トンボを見分けるのは鳥よりも簡単ですから、ぜひ挑戦してみてくださいね。

鮮やかに色づくヤマモミジ

富士町二十二号湿性林 広報おびひろ平成26年8月号

 富士町二十二号湿性林は、市内平野部に残る森の中では、自然豊かな森の一つです。
 豊かな農作物を育む帯広の平野部にはかつて、さまざまな大地がありました。この森に多く生育するハルニレ、ハンノキ、ヤチダモは、湿り気が多い地面を好みます。森の木々は、昔この辺りが湿潤な大地だったことを物語っています。
 森の地面には、湿り気を好むネコノメソウのような植物が見られます。一方で、林床が乾く過程で見られるササなどの植物も確認されています。森は、周囲の環境の影響を受けて、今もなお様相を変えています。
 昔の記憶をとどめるこの森は、帯広の農業が歩んだ歴史の生き証人として、実り多い大地の行く末を静かに見届けています。

昔の記憶をとどめる森
昔の記憶をとどめる森

十勝の自然 キアゲハの幼虫〜怒ったぞ!〜 広報おびひろ平成26年7月号

 黒と黄色のコントラストがきれいなアゲハチョウの仲間のキアゲハ。体長6〜8センチと他のチョウに比べて大きいので、優雅に飛ぶ姿を見たことがある人も多いと思います。
 キアゲハは、幼虫が食べるセリ科の植物に産卵します。幼虫からさなぎになるまでの約2週間で、脱皮をするたびに姿を変えていきます。外敵から身を守るため、ふ化してしばらくは体の模様を鳥のふんに似せています。さなぎになる時期が近づくと、黒と黄緑のしま模様に、オレンジ色の水玉模様を身にまとい、なんとも奇抜な姿になります。
 ニンジンやミツバを探すと、キアゲハの幼虫が葉を食べていることがあります。幼虫を見つけたら、頭をつついてみてください。「怒ったぞ!」といわんばかりに頭を持ち上げて、オレンジ色の二股の角を出します。これは、嫌な匂いで外敵を撃退する「臭角」です。
 普段はビニール袋を裏返したように体内に収納されていますが、身に危険を感じると、頭部と胸部を反らせて、収納していた角を体液の圧力で反転させて突き出します。
 キアゲハの幼虫は見つけやすく、小学生の自由研究の題材にお勧めです。野外で観察してみてください。

キアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫

おびひろの自然 クロビイタヤ 広報おびひろ平成26年6月号

 緑ヶ丘公園の一角に、クロビイタヤというカエデの木が立っています。葉の形は、日本のカエデよりも、カナダの国旗になっているサトウカエデに似ています。果実も特徴的で、中央付近に茶褐色の、汚れたような毛が密生しています。ちょうど今時期は、黄色い花を咲かせている頃でしょう。
 クロビイタヤは、明治時代の北海道で発見された日本固有種です。発見者は札幌農学校の植物学者宮部金吾です。宮部に頼まれて標本を採集した人物が、後に浦幌で「黒岩牧場」を開くことになる黒岩四方之進です。当時黒岩は、日高の新冠御料牧場長を務めていて、宮部に依頼されて、果実の付いた標本を採集して送りました。この標本が宮部からロシアの植物学者マキシモヴィッチに送られ、新種として発表されたのです。
 クロビイタヤは生育地が限られ、それらの自生地も開発の影響で数を減らしていて、絶滅危惧種に指定されています。クロビイタヤの育つ自然を、大切に受け継いでいきたいものです。

クロビイタヤの葉と花
クロビイタヤの葉と花

豊かな緑ある森へ 広報おびひろ平成26年5月号

 チモシー、クローバー、タンポポ、ヒメジオン…畑や牧草地、道端に生える草です。今から40年前、木を植える前の「帯広の森」は大部分が畑や牧草地だったため、このような草が多く生えていたと考えられます。
 帯広の森は市内の緑地と連携して街を囲むように構想され、昭和50年(1975年)に第1回市民植樹祭が開かれてから今年で40年を迎えます。カシワやハルニレなどの地域になじみ深い郷土樹種が生い茂る、ふるさとの森を作ろうと、30年をかけて行われた市民植樹祭などを通じて、これまで約24万本の木が植えられました。
 歳月を経て、木々が大きくなり森らしくなってきた現在では、オオウバユリ、ササバギンラン、ベニバナイチヤクソウが生育する場所もあります。これらの植物は森に生える草であり、森の環境に近づきつつあることの1つの指標といえるでしょう。
 一方で、木が健全に成長するために必要な間伐が追いつかず、森の中へ光が届かない場所では植物が育ちにくい環境になっています。また、オオアワダチソウなどの外来種が繁茂する場所もあります。
 植物も、動物も、森を利用する私たちにとっても豊かなふるさとの森を育てていきましょう。

林下に生えるベニバナイチヤクソウ
林下に生える
ベニバナイチヤクソウ

カエルの産卵と積雪 広報おびひろ平成26年4月号

 帯広市街地周辺のエゾアカガエルは、例年、4月1日前後から産卵を始めます。しかし、雪解けの遅い場所では2週間以上も遅れます。
 ここ2年間は積雪が多く、雪解けが遅かったために、中旬過ぎから産卵が始まり、下旬にはほとんど終わっていました。産み終わりにはあまり差が無いのです。
 では、今年の春はどうなるでしょうか。
 執筆時点(2月)の降雪量は平成23年よりも浅い32センチです。昨年は61センチもありました。このままなら4月上旬には随所で産卵が始まるでしょう。しかし平成18年のように、3月に大雪が降るようだとやはり産卵は遅れます。
 カエルは雪解けをどのように知るか。産卵するために、雪の上を歩いてくるのか。秋のうちに産卵池で冬眠しているのか。身近なのに謎が多いカエルですが「私たちは自然のことを知らない」ということを改めて確認させてくれる動物でもあります。

カエルの産卵と積雪

松ぼっくりとアカゲラ 広報おびひろ平成26年2月号

 アカゲラは木の中の昆虫以外に、チョウセンゴヨウの種子も食べていて、樹上で松ぼっくりをつついたり、エゾリスの残したものを食べる姿を見かけます。
 東京大学が十勝でアカゲラとチョウセンゴヨウの関係を研究していて、次のような内容でした。
 チョウセンゴヨウは結実に同調性があり、果実が多い豊作年と少ない凶作年が生じます。
 アカゲラの越冬成功率は豊作年で60%、凶作年では30%と深い関係を示しました。
 100年後の予測では、チョウセンゴヨウの数が現在のままならアカゲラ個体群は維持されますが、木が43%に減少すると維持の可能性が50%以下に減るそうです。チョウセンゴヨウが盛んに植えられた期間は短いので、実際には後者になるでしょう。
 元々、十勝には分布していなく、外部から移入されたチョウセンゴヨウは地域の生態系に与える影響の大きさから、維持管理にも注意を払う必要があると、この研究は結んでいます。
 小さな人工林にも、地域の自然の重みが確実に乗っているのです。

松ぼっくりとアカゲラ

羽の新調 マガモ・カルガモ 広報おびひろ平成25年9月号

 マガモとカルガモは市内でも繁殖している鳥です。
 子育てが一段落するこの時期、成鳥は水辺から離れられなくなります。カモの仲間は1年に一度、飛ぶための力を生む羽「風切羽」が一斉に抜け落ちるからです。
 早ければ8月ごろから抜け始め、9月末ごろには、ほとんどの成鳥の風切羽が抜け落ちます。この時期、緑ヶ丘公園の十勝池周辺には、風切羽や尾羽が散らばっているのが見られます。
 飛べなくても、餌と安全が確保しやすい水辺にとどまり、羽が生えそろうのを2週間ほど待ちます。羽ばたく時によく観察すると、翼に羽軸のさやが生えそろっているので、そこから羽が伸びてきているのが分かります。
 カモの本格的な渡りが始まる10月に向けて夏羽から冬羽に生え替わるのです。
 新調した羽を使ってどこまで移動するのか、それは9月13日まで、百年記念館の企画展で紹介しています。ぜひお越しください。

マガモ・カルガモ

子煩悩な虫 モンシデムシ 広報おびひろ平成25年7月号

 背中にオレンジ色の模様があるこの虫は、動物の死体に集まる「モンシデムシ」です。普段目にすることは少ないですが、帯広にも生息しています。この虫は動物の死体を自分の餌にするだけではなく、肉を加工・保存して子どもたちにも食べさせる変わった生態を持っています。

 モンシデムシがネズミなどの動物の死体を見つけると、雄と雌が協力して死体を土の中に埋めていきます。このことから「埋葬虫(まいそうちゅう)」とも呼ばれています。完全に地中に埋めると、脚や口を器用に使って肉を団子状に丸め、毛などを取り除き、口や肛門から分泌液を出して塗り付け、防腐処理をします。

 そして、この肉団子のそばに卵を産みつけます。幼虫が卵からかえると、親虫は肉団子をかみ砕き、エキスを口移しで幼虫に与えます。父虫は2、3日でその場を去ってしまいますが、母虫はとても子煩悩で、その後も幼虫が巣立っていくまで世話を続けます。

 今日もどこかで、モンシデムシが我が子のために埋葬を行っています。

ヨツボシモンシデムシ

ヨツボシモンシデムシ

絶滅危惧種の植物エゾヒメアマナ 広報おびひろ平成25年5月号

 平成23年の春、おびひろ動物園の構内から、絶滅危惧種の植物がみつかりました。エゾヒメアマナと言う、ユリ科の多年草です。

 黄色い花と、糸のように細い緑色の葉が特徴のエゾヒメアマナは、春植物として知られるキバナノアマナに、とてもよく似た植物です。そのため、しばしば間違って記録されてしまうことから、分布の実態が正確に把握されていない植物でもあります。

 動物園のエゾヒメアマナは、「なぜこんな所に?」という場所に、集団で生えていました。動物園で行う定期的な草刈りのおかげで、競合する他の植物の繁茂が抑えられていることと、緑ヶ丘の段丘上からにじみ出る水分をコケのマットが受け止めて、そのコケの上に生育することで、適度な湿った環境を維持していることが、個体群が維持されている理由と思われます。

 帯広市内では、他に岩内仙峡にも生育が知られています。他にももっと生えているかもしれません。現在、市内の分布を詳しく調べています。

エゾヒメアマナ

動物園で細々と生き続ける
エゾヒメアマナ

メスの争い 広報おびひろ平成25年2月号

 多くの野生生物は2月に繁殖期を迎えます。縄張り、さえずり、巣づくりなどに大忙しです。

 身近な環境で繁殖するアカゲラも例外ではありません。縄張りといえばオス同士の争いが思い浮かびますが、実はメスも激しく争います。

 おととしの2月7日、緑ヶ丘公園でアカゲラのドラミングを聞きました。縄張りを主張するために、木をリズミカルにたたく音です。

 ドラミングとともに、小さなうなり声のようないら立った鳴き声が聞こえました。早速、縄張り争いかと探してみると、2羽のアカゲラのメスでした。ドラミングと威嚇を交え、お互いに追い払おうと、木から木へ飛び移りながらの激しい争いです。

 この行動は2月7日〜25日まで観察されましたが、一度だけその間にアカゲラのオスが見られました。オスは全くわれ関せず、ドラミングすらしないで、のんきに餌を探している様子が印象的でした。

争うメスのアカゲラ

争うメスのアカゲラ


のんきなアカゲラのオス

のんきなアカゲラのオス


 

エナシヒゴクサ 広報おびひろ平成24年11月号

 エナシヒゴクサは、やや湿った林縁などに生える、カヤツリグサ科スゲ属の一種です。「エナシ」は「柄無し」で、同じような形をしている「ヒゴクサ」が穂に明瞭な柄を持つのに対し、本種は柄が全く無いように見えるので、この名前が付いています。

 一方、「ヒゴクサ」には「肥後草」と「籤草」の2つの説があります。「肥後」は熊本県の旧国名ですが、西日本に多いヒゴクサに対して、エナシヒゴクサは比較的東日本に多く見られるので、十勝の私たちから見ると違和感のある表記ですね。

 これに対して「籤草」の籤は「たけひご」などの意味です。細い茎を「ひご」に見立てての表記と思われ、私たちにとっても頷ける表記と言えるでしょう。

 スゲの仲間は葉が細長くて穂が付いている事から、一見するとイネ科植物に似ています。しかし、茎の断面が三角形だったり、葉の断面がW状になっていたりと、よく観察するとさまざまなところで違いがあります。目立たない草ですが、大切な帯広の自然のひとつです。

エナシヒコグサ

大山緑地で実を付けるエナシヒゴクサ。頂部の細長い部分が雄花で、膨らんだ実を付けているのが雌花。

 

富士町湿性林 広報おびひろ平成24年10月号

 帯広市の農村地域には、森林が多く残されているところがあり、富士町湿性林の一帯は、そうした地域の一つです。

 富士町湿性林は、平成17年に8ヵ所目の帯広市自然環境保全地区に指定されました。
面積3ヘクタールほどのヤチダモとハルニレの森で、林内にはクロミサンザシやオオバタチツボスミレなど、絶滅の恐れがある植物の自生が確認されています。

 ヤチダモやハルニレは、湿り気のある土地を好み、開拓前には深い森を造り、辺り一帯を覆っていたのかも知れません。この森は、往時のたたずまいを伝える貴重な場所と言えます。

 この森には、ヤチダモの親木が多いのですが、幼木ではハルニレが圧倒的に多くなっています。この森の未来はどうなっているでしょう。ハルニレがヤチダモと肩を並べ、また、別な木々が育ち、より豊かな森になる日が来るのでしょうか。

 この森が来世まで、この地の往時の姿を伝える存在であってほしいと願ってやみません。

富士町湿性林

所在:富士町西6線67番1の内外

 

森の掃除屋さん-フン虫 広報おびひろ平成24年8月号

 私たちはトイレで用をたします。犬や猫などのペットのフンは飼い主が片付けます。では、ペット以外の家畜や野生動物のフンは誰が掃除をするのでしょうか。

 ここで活躍するのが「フン虫」と呼ばれるコガネムシの仲間の昆虫です。ファーブル昆虫記に登場するタマオシコガネもこの仲間です。

 帯広にも、センチコガネやマグソコガネ、エンマコガネといったフン虫が生息しています。動物がフンをすると、それを嗅ぎつけてフン虫が集まってきます。そして、フンを食べたり、卵を生んだり、トンネルを掘って地中に運び込み、きれいに掃除をしてくれます。

 このように、フン虫は「掃除屋さん」として地上のフンを分解し、養分として土へ返すという大切な役割を担っています。彼らがいなかったら、世界はフンだらけになってしまうかもしれません。

 また、ハエが繁殖を始める前にフンを運び去ることで、ハエの数を減らし、ハエがもたらす疫病の波及も防いでいます。

 目立たないところで「掃除屋さん」として活躍しているフン虫たちに注目です。

帯広に生息するセンチコガネ

帯広に生息するセンチコガネ

 

シラカバ 広報おびひろ平成24年7月号

 帯広市の木は、帯広観光協会が公募のもと昭和41年11月10日に決定したカバノキ科の「シラカバ(シラカンバ)」です。児童会館に来る子どもたちに知っている木を聞くと最初に出てくる名前です。

 シラカバは明るい場所と冷涼な気候を好み、伐採跡地や山火事の跡地などに最初に芽を出し、森へと変えてくれます。
 シラカバの種子には翼が付いています。それは親木の下に落ちると日当たりが悪く、良く育たないので風の力で遠くまで移動するためです。そしてシラカバ林にはやがて日陰に強いミズナラなどが育ち、豊かな森へと変わっていきます。 

写真

シラカバの花粉(4000倍)


 5月の初め頃に咲く花は、雄花の花穂は下向きに、雌花の花穂は上向きについています。花粉が風によって運ばれる風媒花で、昆虫などを誘う必要が無いためなのか、地味な花です。飛び散る花粉は春の花粉症を引き起こす原因の一つです。 

 走査電子顕微鏡でシラカバの花粉を4000倍で観察しました。乾燥のため、くぼんでいますが、特徴のある花粉管口が二つ見えます。後ろにもう一つあります。近頃では樹液が飲用されたり、葉や樹皮からはスキンケアに有効な成分が取り出され、活用されています。

 

オオアカゲラ 広報おびひろ平成24年2月号

 アカゲラではなく「オオアカゲラ」をご存知ですか。アカゲラより少し大きく、くちばしが立派で、頭、背中、腹の模様が異なるキツツキです。

 20年ほど前には、週に一度は帯広周辺で見かけましたが、ここ数年は数件しか記録がありません。アカゲラが色々な昆虫をヒナの餌とするのに対し、オオアカゲラはほとんどカミキリムシの幼虫であること、大木の高い位置に営巣し、広い範囲を移動しながら生活するなどの習性を持ち、特に巣の位置は天然記念物のクマゲラよりも高いようです。

 この習性と帯広の自然の状況からみて、(1)自然林が小さく、個々の林だけでは営巣可能な大木や餌の昆虫が得にくい (2)林同士が分断され、行き来が難しくなった−などが原因で減少したと考えられます。

 オオアカゲラにとっての帯広の自然は、量的質的に悪化したといえますが、将来「帯広の森」が立派な森になれば、また出会えるかもしれません。

左:アカゲラ  右:オオアカゲラ

左:アカゲラ  右:オオアカゲラ

 

ハイコウリンタンポポ 広報おびひろ平成23年11月号

 今年の初夏、市民の方から「この植物は何?」との問合せがありました。一見、各地で急速に増えている「キバナコウリンタンポポ」に似ています。尋ねてきた市民の方が「チシマタンポポ」では?と教えてくれましたが、図鑑ではよくわかりませんでした。

 標本を作製して全国に情報提供を求めたところ、北海道野生植物研究所の五十嵐博さんから助言をいただき、Hieracium(ヒエラキウム) pilosella(ピロセラ)と判明しました。帯広市では初記録の外来植物です。

 まだ日本語名はありませんが、五十嵐さんたちによって「ハイコウリンタンポポ」の和名が提唱されています。

 標本は、百年記念館、苫小牧市博物館、北海道大学で収蔵される予定です。標本が証拠や記録となって、新しい発見が生まれることがあるのです。

ハイコウリンタンポポ

帯広市で初確認の
Hieracium pilosella


 

上帯広町河畔林 広報おびひろ平成23年10月号

 上帯広町河畔林は、帯広市自然環境保全地区として7番目、民有林として4番目に指定されました。

 この森は段丘と帯広川の堤防に囲まれ、かつて帯広川の洪水の影響を受けていました。それを物語るように、ドロノキやケヤマハンノキといった洪水のあとに生える木々が、目立ちます。また林床には、かつて市内の随所で見られた草花が、咲いています。

 保全地区はこれまで、カシワ林やハルニレ・ヤチダモ林などを指定してきました。上帯広町河畔林は、これらと異なった木々が中心の森林で、保全する森の種類を広げる重要な役割を担っています。

 森は何十年もの長い目で見ると生える木々が変わっていきます。この森で目立つドロノキなどは、いずれハルニレやヤチダモといった木々に移り変わっていくのでしょう。

 保全地区を訪れたこの日、林床に咲くオオバナノエンレンソウが、森のこれからを見つめていました。

上帯広町河畔林

所在:上帯広町西2線88番の2内外


 

路面間隙(かんげき)雑草 広報おびひろ平成23年8月号

 歩道を歩いていると、アスファルトの割れ目から植物が生えていることを目にします。道路のちょっとした隙間に生育するこれらの植物は「路面間隙雑草」と呼ばれています。

 宇都宮大学の須藤裕子さんは、東京から青森までの国道4号線と新潟から青森までの国道7号線の全線に渡り、路面間隙雑草の種類を調べました。

 その結果、両線で共通の種類が出現すること、しかし東北地方と関東地方では種類や頻度が異なり気温の影響を受けやすいこと、土に生える雑草とは特徴が異なることなどが明らかとなりました。

 一見、どこでも同じように見える雑草も、気象や土壌などの環境に応じて種類が異なります。北海道の路面間隙雑草についてはまだよくわかっていませんが、帯広ではアライトツメクサやコシカギクなどが目立つようです。

 歩道に生える雑草は、都市部に暮らす人たちに、最も身近な自然と言えるでしょう。

路面の隙間に生えるアライトツメクサ

路面の隙間に生えるアライトツメクサ


 

エゾタンポポのなぞ 広報おびひろ平成23年5月号

 5月下旬から大きな花を咲かせるエゾタンポポ。この植物の謎を紹介します。

謎1 森林に数十メートル間隔でぽつりぽつりと生育する場合と、芝生や道路の法面など人口的なところに、数メートルの範囲内で群生する場合があり、好む環境がわかりにくいこと。

謎2 植物は花粉と卵細胞の遺伝子が融合して種子ができると学校で習いますが、エゾタンポポ・セイヨウタンポポは卵細胞だけで分裂し種子をつくり、花粉の遺伝子は不必要です。種子のでき方が同じで群落をつくることもできるのに、平野でのセイヨウタンポポとエゾタンポポの勢力差が極端なこと。

謎3 「トカチタンポポ」は現在消滅した昔の種名です。特徴の記録を見ると、海岸に多いシコタンタンポポに近く、エゾタンポポではないようです。それらが分類学で整理された経緯やエゾ=トカチという混乱が生じた原因はなにか?
 タンポポに限らず、いつもそんな興味をもって観察することで生物の謎に近づきたいと思います。

エゾタンポポ

エゾタンポポ


 

身近な動物?ウサギ 広報おびひろ平成23年2月号

 ウサギはペットやキャラクター・歌や童話などで親しまれていますが、十勝地方の平野部にはエゾユキウサギが生息しています。その昔、人間が林を切り、再び樹木を育てながら利用している土地では、エゾユキウサギは増え林業の害獣とも呼ばれました。

 平成に入ると、市街地周辺のエゾユキウサギは急速に姿を消しました。このことは「帯広の森」の調査でも明らかになっており、野生の姿を見た人は少ないと思います。

 エゾユキウサギは、エゾリスのように木の上を移動できないため、まとまった面積の自然を必要とします。自然の分断や縮小、地表の人工化などで、まとまった生活の場を急速に失ったのでしょう。

 一方、日高山脈の山麓や幕別など地形の変化が多い場所では、まだ足跡(あしあと)を数える事ができます。
 エゾユキウサギはミニチュアダックスフンドと体長は同じくらいですが、大きく見えます。冬の車道で夜中にウサギと出会ったとき、意外な大きさとまばゆい不思議な白さが神秘的でした。

 将来「帯広の森」でエゾユキウサギと出会う体験ができたら、すばらしいことだと思います。

エゾユキウサギ

エゾユキウサギ


 

カエルの秋 広報おびひろ平成22年11月号

 百年記念館の「博物館で学ぶ連続講座・カエルはみんなの先生だ」では、4月〜11月までカエルを調べています。意外なことに、春に比べ秋は、3倍以上の数のカエルか見つかります。9月は草地や林の中で多く、10月から寒くなるにつれ、水の底の泥の中など、深いところで見つかるようになります。11月は水底のさらに深部から見つかります。冬眠に入っているのです。

 写真のカエルは昨年の9月3日のものですが、お腹は食べたエサでとても大きくなっています。冬眠と、雌は翌春の産卵に備え、満腹を忘れて食べ続けるようです。

 カエルの冬眠と産卵、オタマジャクシの成長は同じ水辺で行われることが多いのですが、人工的な水辺では冬眠する個体が多いものの、春の産卵では死卵ばかりでオタマジャクシがいないなどの現象を見かけます。環境配慮のためには調査・研究とその結果を社会でもっと共有することが必要でしょう。 

カエル

エサでお腹が
パンパンになったカエル


 

桜木町広葉樹林 広報おびひろ平成22年10月号

 桜木町広葉樹林は帯広市で6ヵ所目の自然環境保全地区で、民有林としては3番目の保全地区です。丘の斜面上に位置し、面積はおよそ1.4ヘクタールで、眼下に広がる十勝平野、地平線にそびえる日高の山並みとの対照が美しい林です。 

 この林の特徴は、林(りん)床(しょう)に現れる生物の種がほかの林と比べ、豊かで季節ごとに華麗な彩りを見せることです。

 樹木ではオオヤマザクラ、ハリギリ、エゾイタヤ、キタコブシ、ハルニレなどが、草花ではオオウバユリ、スズラン、ヤマブドウなどが、昆虫ではタカネトンボなどが現れます。

 林を構成するカシワやハンノキは古くから緊栄をもたらすシンボルとされています。カシワは若葉が出るまで古い葉を落とさない様子から、子孫を守り繁栄をもたらすといわれています。ハンノキはやせた土地を肥やす木で、欧州の古い言い伝えでは繁栄と幸福のシンボルとされています。
 繁栄と幸福の木々が生い茂り、豊穣(ほうじょう)の大地・十勝を見守るこのような場所が、後世にも引き継がれていくといいですね。

桜木町広葉樹林

所在:桜木町東4線115番2の内外3


小さな虫の生き残り戦略 広報おびひろ平成22年8月号

 農作物や草木の害虫として、悪名高いアブラムシ。アブラムシはとても小さく、か弱い昆虫です。身体は柔らかく、つまむとはじけてしまいます。テントウムシなどの天敵から身を守るすべも持っていません。

 なぜこの小さな昆虫が、これまで生き残り、世界的にも有名な害虫になったのでしょうか。理由の一つに、驚異的な繁殖力があります。

 身の周りの草木にいるアブラムシをよく見てください。集団の中にいる一回り大きい虫がお母さんアブラムシです。ちょうど今時期、アブラムシは卵ではなく、子どもを産みます。この子どもたちは母虫のクローンです。子どもたちもすぐに母虫となり、子どもを産みます。雄と雌が出会い、産卵するまでの工程を省くことで、増殖のスピードを早め、「数の力」を獲得したのです。

ワタアブラムシ

ワタアブラムシ


 アブラムシが進化の過程で手に入れた繁殖力。小さな虫にも生き残るための戦略が秘められています。

 

タンポポ 広報おびひろ平成22年7月号

 春に咲くセイヨウタンポポは帰化植物で、明治時代に食用として輸入され全国に広まったとされています。タンポポは花が終わると茎を傾け種に栄養を送ります。種が熟すと茎を起こして伸び、花よりも高い位置でワタ毛を広げます。ワタ毛に風が当たりやすくなり、種を遠くまで飛ばすことができます。

 また、帯広には在来種のトカチタンポポがあります。この二つのタンポポは、花を包む総ほう(がくのように見える)の状態で見分けることができます。立っているのがトカチタンポポ、反り返っているのがセイヨウタンポポです。

 走査電子顕微鏡で二つの花粉をのぞくと、トカチタンポポはキク科によく見られるとげが全体にあり、セイヨウタンポポは角張った形ととげのある部分が限られています。葉の気孔の数もセイヨウタンポポの方が多く、花の形はそっくりでも、ミクロの世界では違う形態を見ることができます。

セイヨウタンポポの花粉(700倍)

セイヨウタンポポの花粉(700倍)

トカチタンポポの花粉(700倍)

トカチタンポポの花粉(700倍)

セイヨウタンポポ(左)とトカチタンポポ

セイヨウタンポポ(左)とトカチタンポポ



 

春のトンボ 広報おびひろ平成22年5月号

 成虫のまま冬を越すイトトンボの仲間をオツネントンボといいます。漢字で書くと「越年蜻蛉(おつねんとんぼ)」。

 トンボの季節は夏から秋と思い込んでいる方が多いと思います。田んぼが無くなり、小川や水たまりもどんどん少なくなっていく帯広に住んでいたら、そう思い込むのも無理はないかもしれません。

 オツネントンボのように、成虫で冬を越すわけではありませんが、サナエトンボのように、早くて5月から成虫が現れるトンボの仲間は何種類かいます。漢字で書くと「早苗蜻蛉(さなえとんぼ)」。田植えのころに現れるイメージが分かります。

 春、冬眠から目覚めたオツネントンボはすぐに繁殖し、その年の秋までにまた成虫になります。写真のオツネントンボは百年記念館のそばの十勝池でヤゴを採集して育て、成虫になったものです。飛び立つまでの数分、ふるさとの池を眺めるようにじっとしていました。背の銅色の光沢が印象的でした。

モイワサナエ

モイワサナエ

オツネントンボ

オツネントンボ


 

冬のなかの春 広報おびひろ平成21年12月号

 野生の生きものたちにとって、冬は12月まで、冬至を過ぎたら春の始まりです。
 冬至までは、エゾリスは木の実の貯食、鳥たちももっぱらえさ探しで、春らしい行動はありません。

 ところが冬至を過ぎ日が長くなり始めると、シジュウカラがきれいな声でさえずりだし、アカゲラは木をリズミカルにドラミングし始めます。
 エゾリスは追いかけっこが多くなり、1月下旬には交尾期を迎えます。

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 ヤナギの花芽は2月中には茶色の皮を脱いで銀白のつぼみとなります。
 これらの多くは日長、つまり太陽が出ている時間の長さが日々長くなっていくことに、生きものの体が影響されて起きるといわれています。

 たとえばシジュウカラの仲間のさえずり始めは全国でほぼ同じ時期といわれていますし、日長と鳥の産卵の関係についてはたくさんの研究があります。

 空や生きものの世界に気を配って暮らしていれば、カレンダーを眺めるよりも少し早く、春の訪れを体感できるというわけです。

 

夜空の声 広報おびひろ平成21年10月号

 秋の夜空、日没後すぐは夏の星座を、遅い時間には冬の星座を見ることができます。

 この時季に夜空を眺めると、そのときに色々な生き物の声を聞くことができます。

 ピピピピピ、はシギの仲間。
 ヴィヴィッ、と鳴くのはツグミ。
 ギャッ!という叫び声が飛んでいくのはアオサギです。
 もっと鋭く、ギャン!と地上に響くのはキツネの鳴き声。

 耳を澄ますとルルルルルと鳴く秋の虫カンタンやジイッ・ジイッと地味になくマダラスズの声も聞こえるかもしれません。

 不意に、コオッ!コオッ!とかグワン・グワンと鳴く鳥の群れが横切るかもしれません。

 前者はハクチョウの仲間、後者はマガンやヒシクイです。

 鳥はどの種類も北から南に渡る途中です。

 午後8時すぎには頭の真上にあるはくちょう座を見ながら、ハクチョウが渡る声を聞いたり、中秋の名月とともにガンの群れを見たりするなんて、ちょっとぜいたくだと思いませんか。

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基松町湿性林 広報おびひろ平成21年9月号

 基松町湿性林は、現在10カ所ある帯広市自然環境保全地区の1つで、民有林としては2番目に指定されたものです。

面積は3.2ヘクタールで湿ったところによく生えるヤチダモ・ハルニレ・ハンノキといった樹種で構成されている湿性林であり、自然環境保全地区の名称の由来にもなっています。

 絶滅危惧植物種であるクロミサンザシが見られるほか、春にはオオバナノエンレイソウが咲き誇り、秋にはヤマグワ、ヤマブドウ、マユミ等の実がひっそりと色づきます。

 比較的多くの孤立林が残っている富士町付近と帯広市街地を結ぶ位置にある唯一の孤立林であり、動植物の移動に果たす役割が重要である点が、保全地区指定の主な理由となっています。

 今の所有者の方の先代から大切に守られてきた林ですが、このような場所は、数少なくなってきているのが現状です。

 後世に1つでも多くの林が、想いと共に、引き継いでいかれるといいですね。

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エゾチッチゼミ 広報おびひろ平成21年7月号

 エゾハルゼミ・エゾゼミ・コエゾゼミ・アカエゾゼミ、そしてエゾチッチゼミ。
 十勝ではこの5種類が主なセミです。
 ニイニイゼミが観察される地域もあります。

 皆さんは、セミの鳴き声が強いシャワーのように降ってくる「蝉時雨」(せみしぐれ)を知っていますか?
 本州では街の公園でも耳が痛くなるほどの蝉時雨を経験することがあります。

 しかし帯広は、郊外が多少にぎやかな程度、市街地は静かで寂しいものです
 エゾチッチゼミは中国・サハリン・北海道に分布します。
 4センチにもならないミニサイズで、7月下旬から8月にかけて、チッチッチッチ・・・と、か細く鳴くので、気がつかない方が多いでしょう。

 調査や研究もあまり知られていませんし、姿も地味ですね

 もし、少なくなったとしても、省みる人はあまりいないかもしれません。

 なんだか不公平な気がしますが、帯広のセミはみんな、存在感が薄くなってしまったのかも知れません。

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ウスバアゲハ 広報おびひろ平成21年5月号

 ウスバシロチョウとも呼ばれるこのチョウは、モンシロチョウの仲間のように見えますが、アゲハチョウ科です。

 胸や腹の毛が黄色いものがウスバアゲハ、毛が灰色だとヒメウスバアゲハ(ヒメウスバシロチョウ)です。

 「ヒメ」は北海道だけに見られ、十勝地方はこの両種が同時に見られます。幼虫は、自然林の植物のうち、エゾエンゴサクの仲間を食べています。

 「初夏に林の中からわき出るように舞い出る」(十勝大百科事典)ほどたくさん見られたようですが、現在の日常の中では見かけることはほとんどないでしょう。

 緑ヶ丘公園では、外来植物が増えすぎて、エゾエンゴサクなど十勝の植物が少なくなったと感じます。

 帯広市内の林は孤立傾向が強まって、チョウが林から林に飛ぶことが難しくなっているようです。

 自然のつながりを再生できる地域づくりが価値を持つ時代になったと思います。

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ハイタカの冬 広報おびひろ平成20年12月号

 写真はハイタカのオス。
 ハトくらいの小さめのタカです。

 この個体は畜産大学構内の餌台に来るシジュウカラの行き来を見つめていました。

 私が近づいても目もくれません。
 タイミングをはかっていたのでしょう。

 シジュウカラが気付かず飛んできた瞬間、小さく飛んで足を上げ、ボールをキャッチするように、あるいはカウンターパンチを合わせるように素早く捕らえ、飛び去りました。

 私はシャッターも押せずその技に見ほれていました。
 ヒナの時期を除けば、どの鳥も初めての冬に最も多く命を落とすそうです。

 それは食べる側のタカも同じです。オスがほおから腹にかけてオレンジ色を帯びるのは立派な成鳥。
 多くの試練を乗り越えた証しです。

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リスたちの貯食 広報おびひろ平成20年10月号

 リスは木の実だけではなく、昆虫、木の芽、キノコ、イチイなどの果肉、動物の骨もよく食べます。

 リスの貯食は秋に木の実がなってから始まります。

 地中で冬ごもりするシマリスは冬眠穴に皮をむいたドングリを貯食し、冬眠しないエゾリスは地面や木の上などに点々と隠します。

 その貯食の約7割はやはりエゾリスが食べるようです。

 エゾリスは隠した木の実を掘り忘れるといわれますが、雪が積もってもあまり迷わず掘り出していますし、埋めた木の実が多いので残されたと考えた方が良さそうです。

 また、実際に木の実がなる時期は秋ですから、夏の間エゾリスが楽をして、シマリスがせっせと働いているイメージは、作りものだということが分かりますね。

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上帯広町ハンノキ林 広報おびひろ平成20年9月号

 上帯広町のハンノキ林は、帯広市が4番目に指定した自然環境保全地区であり、民有林で初めて指定されたものです。

 その名が示す通り、高木のほとんどがハンノキの木で占められている点が大きな特徴です。

 ハンノキは、耐水性が高いためヤチダモなどと同じく湿地に育成する樹木ですが、ハンノキ主体で構成される林は比較的少なく、特に帯広市では希少価値が高いのが指定の理由となっています。

 ハンノキ属の樹木はその根に根粒菌が共生し、窒素固定を行うので、やせた土地でも生育する事ができます。

 このため、ヨーロッパのケルト民族の間では、「勇気・慈愛・寛容」を表すとされ人々に幸せと繁栄をもたらす象徴として大切にされたようです。

 ここ帯広でも、豊穣(ほうじょう)のシンボルであるハンノキの恩恵にあずかり実りの秋を期待したいですね。

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マルハナバチ 広報おびひろ平成20年7月号

 マルハナバチは毛むくじゃらの丸っこいハチです。

 春先は冬眠から目覚めた女王バチが家に入ってきて驚かされることもありますが、攻撃性が少なく、強く握ったりしなければほとんど刺しません。

 7月になるとマルハナバチの働きバチが盛んにイボタやラベンダー、キイチゴなどへ蜜(みつ)と花粉を集めにきます。

 後ろ脚に付けた花粉団子がかわいらしいです。

 ネズミの古巣などに蜜と花粉を混ぜた団子を作って、幼虫を育てています。

 やや大型でお尻の先が真っ白なのが、セイヨウオオマルハナバチという種類です。

 トマト受粉のために外国から輸入されたのですが、逃げ出して増えてしまったのです。

 野草の花が受粉できないような方法で蜜をとるために花の種ができなかったり、強い繁殖力で北海道に数種類いる在来のマルハナバチを激減させてしまうため、防除が進められています。

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カエルの飼い方とマナー 広報おびひろ平成20年5月号

 カエルの卵は、塊から10粒程(ほど)切り離してください。塊ごと取らないのがマナーです。

 水槽の水は、10センチメートル以下の深さで、日陰にしてください。底に落ち葉を敷くとオタマジャクシのエサとなります。

 カエルには、別な水槽が必要です。腐葉土を5センチメートル程入れ、森の表土、ミミズやワラジムシを入れ、雑草を生やすのも良いでしょう。

 小ビンでショウジョウバエを増やして入れておくと小さなカエルのエサに良いです。

 水槽はふたをし、土は常に湿らせておきます。水たまりは必要ではありませんが、浅い容器に水を張って土に少し埋めておくと良いでしょう。

 水槽などで感染するカエルの病気「カエルツボカビ症」が日本で見つかったので、飼ったオタマジャクシやカエルは絶対に自然へ放してはいけません。

 一生飼うつもりで付き合ってくださいね。

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